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ギリシャでのワクチン接種とシングルー病院について


シングルー病院3

ギリシャのワクチン接収の状況

ギリシャでは早い段階でワクチン接種が行われ、人口の約半分(2021年9月現在では55%が必要回数の接種を終えています)が接種を終えていると言われています。

現在若者を中心にデルタウィルスが強い感染力で感染者数を増やしています。約2000人が毎日感染しており、決していい状況ではないのは確かです。

観光業で成り立っている国として早い段階からコロナ禍でも観光客を受け入れる国として世界にアピールをしていましたので、今年は主に、アメリカ、ヨーロッパからの観光客がギリシャを訪れています。

また、3ヶ月の夏休みを終えた子供達は、ギリシャの学校の新学期が始まり、マスクをつけながら学校に通っています。

よっぽどでないと薬をのまず、自分の免疫力で病気を治す私としては、ワクチン接種は正直避けたかったのですが、世界中の大多数がワクチンを接種しないことには、このコロナは収束しないということだったので、ワクチンを受けることにしました。

現在、ギリシャでは、ファイザー、モデルナ、ジョンソンアンドジョンソン、アストラゼネカーのワクチンが使用されています。

ギリシャワクチン接種看板

ワクチン接種会場にて

私が選んだ接種会場は、アテネの街中にある元々は皮膚専門のシングルー病院です。1回目も2回目もバカンスシーズン中ということで、非常に空いていました。

事務的な手続きをとった後、待合室にいると、若いギリシャ人女性が不安そうな面持ちで座っていました。看護婦さんから中に入るように誘導されると、より一層不安な表情になり、胸で小さく十字架を何回も何回も切っていました。ワクチンに関していろいろな情報が飛び交っているので、多かれ少なかれ不安な思いを抱きながら接種しているのが現状なのでしょう。

私の順番となり、女医さんにその日の体調や、アレルギーがないかなど尋ねられ、接種となりました。チクっと通常の注射より痛い感じはしました。注射を終え、「今晩ビール一杯だけ飲んでもいいですか」と看護婦さんに尋ねました。看護婦さんは笑顔で、「オヒオヒオヒ」(オヒはギリシャ語でダメという意味)とダメを三回連続で言われました。さらに、「2日間は飲んじゃダメよ」と付け加えられました。可能性として、頭痛と倦怠感があるかもしれないということでした。

ジョンソンアンドジョンソンを受けた主人のときは、接種後二日間、お酒、卵、ナッツ類、魚介類は控えるようにということと、かなりの可能性として熱が出るということを接種時言われたそうです。1回のみの接種なので体にはきつく反応するということで、実際接種した当日の夜に発熱がありました。

私は1回目の接種では副反応はなかったのですが、2回目には熱がでて、本調子に戻るまでに3日間くらいかかりましたが、ワクチン接種を無事終えることができました。

シングルー病院2

ギリシャの病院とシングルー病院について

ギリシャには、公立の病院と私立の病院があります。公立の病院は基本、無料で診察を受けれます。そのためと言っては何ですが、高い付加価値税を払っており、今では24パーセントの付加価値税が一部の生活必需品を除いて課けられています。

私立は完全な自費となります。私たちのような一般市民にとっては高額になるので、公立へ行かざるを得ません。

無料といえば聞こえはいいですが、予約がなかなかとれないこともあり、見てもらいたいときに見てもらえないこともあります。また、子供が小さい頃はよく発熱し、あたふたしながら公立の子供専門の救急病院に何度も行きましたが、人で溢れている状況の時もありました。みてもらうまでに1日はかかるだろうという判断がつく時には、診てもらわずにその場を去り、私立の小児科クリニックに引き返すということも何度かありました。

日本のように病院に簡単にアクセスできないということで、ギリシャでは健康であるということが非常に重要なポイントだとしみじみ感じます。日本の医療制度がただ単に素晴らしいと思えます。

アンドレア・シングルー

ギリシャの公立の病院での経験とアンドレア・シングロス

出産では私もギリシャの公立病院にお世話になり、息子は公立病院に入院したこともあります。システムとしては改善すべきところが多々あると思いますが、そこで働く私が出会ったギリシャの医療関係者の方達は本当に親切でプロフェッショナルでした。感謝の念しかありません。

私がワクチン接種を受けたシングルー病院は皮膚専門の大きな病院で、ここでも以前に、息子がお世話になりました。その時の先生は何とか抗生物質を使わない治療法で治したいという先生で一生懸命やってくれました。


この病院はアンドレア・シングロスという人物の寄贈による病院です。この人物は1830年にコンスタンチノープル(現在のイスタンブール)で生まれ、その時代での最もパワフルなビジネスマン、銀行家でもありました。彼の行った慈善活動は有名です。その慈善活動の一つがこの病院の設立ですが、そのほかにもデルフィ博物館、オリンピア博物館やコリントス運河の開通にも貢献した人です。またファリロへと続く大通りの道の整備をし、近代化をはかりました。この道はシングルー通りと現在でも呼ばれています。

最後に

ワクチン接種を受けた病院の設立者アンドレア・シングルーも偉大な人物ですが、今回接種でお世話になった、女医さんや看護婦さんたちの親切な対応に感謝しています。外国人の私でも、分け隔てすることなく、親切に、気さくに接してくださいました。

また、長く続くコロナ禍で、人々のために働き続ける医療関係者の人々に感謝の念しかありません。早くこのコロナが収束し、人々が以前のように距離を考えることなく接する日が来ることを願います。

特にギリシャ人は、本来、人との距離が非常に近いので、このソーシャルディスタンスは彼らにとっても辛いことだろうと思います。挨拶にはハグやほっぺのキスが欠かせず、何か気持ちが通じた時もハグをします。愛らしい子供を見ると頭をなぜたり、人が悲しんでいると背中をさすったりと、とにかくスキンシップが人との関係に欠かせない人たちなのです。本当に今まで通りに振る舞え、人と密接に付き合える日が戻る日を望んでいます。(Written by Yuki)


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