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「はい!タイムスリップしました!」〜恋愛マスターから学ぶ人生論〜

看護学生時代、同級生に“恋愛マスター”がいた。恋愛マスターとは、私が心の中で勝手に呼んでいただけなのだが、彼女がなぜ公式恋愛マスターでないのか不思議に思う程超ハイパーミラクルスーパー恋愛マスターで、恋愛面において同い歳とはにわかに信じ難いものであった。

彼女の何がそんなに凄いのかというと、とにかく相談に対する返答のスピードの速さだ。「あぁ、その問題の解決方法はね…」というように、恋愛に関する一般的な問題は一通り済ませてきましたよ、なんて言いたげな顔をしてスラスラ解決策を打ち出していく。そしてそれがなんとも的確かつ有効的で、ドンピシャリなのも驚きだ。
少々気の強い性格だった彼女の、「◯◯しなさい!」といった強い語尾も説得力があり、でも も だって も返す隙間がなかった。
とにかく、彼女に話しを持ちかければ間違う事は何一つなかった。

そして、彼女の凄さはもう1つ。「あれ、私、恋愛の相談してたはずだよね…?」と一瞬迷子になってしまうくらい深イイ言葉を、二酸化炭素を吐き出すような滑らかさで綴っていく事。精神的な強さか、もしかして人生何度目かなのか、その真実は謎のままだが彼女の言葉には半端ない重みがあり、私はその独特な人生論を1冊の書籍にするべきだと言いたくなった。(言わなかったが)






「ちょっと聞いて欲しい事あってさ」
私からの相談に、彼女は一瞬驚きなのか怪訝なのか、何とも言えない表情になった。私の恋愛偏差値と経験は彼女のそれとは真逆だったのと、浮いた話しなどゼロに等しかったからこの表情は当然。
少し間を置いて、「どうした?」と聞き返した彼女。恋愛マスターの顔、ご登壇。

「友達の紹介で知り合った1つ下の社会人の人なんやけど。連絡先教えてって言われて交換して、そっからほぼ毎日LINEしとるんやけどね。」

ふんふん、と真剣に話しを聞く恋愛マスター。不安な顔で話しを続ける相談者(私)。

「ずーっとLINEだけでもう2週間くらい経っとってさ。私はご飯とかどっか遊びに行くとか、とにかくまた会いたいなって思っとんの。でもなんか勇気出んし向こうは別に会いたくないって思っとるんかもしれんし、どうしよう…って悩んどって。」

黙り出す、恋愛マスター。相談者(私)の不安な表情は変わらない。

30秒の沈黙の後、彼女は口を開いてゆっくりどっしり話し出した。

「例えばさ、“あん時ちょっと勇気出して「ご飯一緒に食べいかん?」って一言送ればよかったな〜タイムスリップ出来たら絶対送るのにな〜”みたいな小さい後悔したことない?」 「あぁ、ある。」 「はい!タイムスリップしました!が、今のあなたですってなっても同じ事で悩める?もう次無いよ?」 
ハッとした、と言うのを言葉と表情で伝えたら彼女は、簡単やろ?と笑った。恋愛相談の解を人生論と混ぜながら答えてくれた斬新さに感嘆とした。




生きていれば、幾度となく立たされる分岐点。真っ直ぐで当たり障りのないAの道と、曲がり角が多いBの道。先が全く見えないCがある事も。どれを選んでも“間違い”ではないが選んだ先の私が後悔しない道がベスト。しかし、そう分かってはいても保守的になったり、勇気が出ない時もある。

そんな時頭の中で唱えるのは、「はい!タイムスリップしました!」の一言。パチンッと手を叩いて魔法をかける。タイムスリップしたいなぁと嘆く未来の私がやってきた。
さぁ、2度目の私よ!もう次のチャンスはない。後悔しないように、心がときめく方へ、進んでくれ。


ちなみに、「気になっている年下の彼」とはその後ご飯に行って遊びに行ってを繰り返して5回目のデートで告白され付き合うことが出来ました。(元恋人)


恋愛マスター直伝。声が聞きたいちょっと寂しい夜、でも今電話を掛けて相手の邪魔をするのも気が引ける…とモヤモヤする時は、「おやすみが言いたいから3分だけ電話いい?」と言うのが◎ 99.9%「俺も言いたいから電話しよ?」とおっけいが貰えるらしい。

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