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キャラソン日記 2024年3月編

こんにちは、私的音楽同好会です。

今回は、2024年3月分の #キャラソン日記 をまとめました。
ぜひ皆さまも、紹介文を読みながら曲を聴いてみていただければと思います。


3/2 変な恋 (No! No! No! No!)

歌唱:古谷徹
発表年:1983
作品名:ストップ!! ひばりくん!

元祖男の娘漫画として有名な『ストップ!! ひばりくん!』に登場する坂本耕作が、ひばりに首っ丈になる心境を歌った一曲。
本来ならメインキャラであるひばりを取り上げるべきと思う人もいるだろう。しかし、ここで注目したいのはサブキャラである耕作がキャラソンを歌っている点だ。動画のサムネイルになっている雑誌の扉絵には「あだち充ばかりが新番組じゃないよ!」というように、当時流行しつつラブコメを冷やかす姿勢を持っていた。通常のラブコメだと人気のヒロインだけが歌うことが多いが、ギャグを基調としているからこそ、他のキャラが歌ってもコンテンツとして成立したのだろう。
ひばりに対する胸騒ぎが抑えられず、ドリーミーなコーラスワークに乗せて歌われる愛の言葉は、笑いを通り越してロマンティックかもしれない。もちろん、ひばりが歌う「ひばりのテーマ<さあ、ヘンタイ>」も良いキャラソンなので、是非聴いてみてほしい。

3/6 Take!3.2.1.→S・P・A・C・E↑↑

歌唱:松田亜利沙(CV:村川梨衣)
発表年:2018
作品名:アイドルマスター ミリオンライブ!

アイドル兼アイドルオタクである松田亜利沙さんが歌う、フロア爆上げナンバー。
曲中の至るところにコールする箇所が散りばめられており、観客目線も持ち合わせる松田さんならではの観客と一緒にライブで作り上げる一曲である。
あの日憧れたアイドルのステージを宇宙に見立て、自分もその一部になるために飛び立っていく…という熱いストーリーで曲は展開される。「きっといくんです」「飛んでいくんです」「夢に見たんです」「辿り着くんです」と暗示のように畳み掛ける歌詞が、軽快ながらも切実で聞き手の胸に響く。
一貫してこの曲は「飛び立つ」ことに重点が置かれており、目指す場所へ辿り着いた後の物語については描かれていない。まだまだ松田亜利沙さんの物語は進行形なのである。いつか夢を叶えた先で松田さんがどのように物語を終わらせるのか、妄想が捗るとともに、考えたくない気持ちもある。

3/9 明日に向ってシュート

歌唱:小粥よう子
発表年:1985
作品名:キャプテン翼

サッカーマンガの金字塔『キャプテン翼』のアニメ版で、大空翼の声優である小粥よう子が歌うエンディングテーマ。ジャケットには大々的に”大空翼が歌う”と書かれているように、声優ではなくキャラクターが歌っていることとして売り出されている。また、歌の冒頭では「ゆくぜ ゆこうよ 笛が鳴るぜ」とあるように、翼くんが試合に臨むときの心境が表現されていて、キャラソンとして成立していると考えられるだろう。1980年代では女性ファンが多いアニメでもキャラソンのような曲が制作されており、BL・腐女子に下支えされた取り組みを見過ごす訳にはいかないはずだ。

3/13 わたし音頭

歌唱:アクア (CV:雨宮 天)
発表年:2017
作品名:この素晴らしい世界に祝福を! 2

異世界系アニメ『このすば』に登場する女神アクアによる宴会芸キャラソン。
宴会の中で「女神はいかが?」と勧誘し、相手の悩み事を聞きつつも、「シュワシュワもう一杯!あんたのおごりね!そーれカンパーイ!」とちゃっかり言ってしまう”貢がせ癖”が、宴会芸駄女神たる所以であろう。それでも、底抜けに明るい彼女に「遠慮せずドンと語れ!」「生きてればなんとかなる!」と言われると、自然と元気が湧いてくるのは、私だけではないはずだ。

3/16 Serious Eyes

歌唱:川村万梨阿
発表年:1990
作品名:GALL FORCE

7人の美少女が戦うSFアニメである『GALL FORCE』に登場する、副艦長エルザの声優の川村万梨阿による一曲。『Lady's Song Of Gallforce』というアルバムでは、特定のキャラクターだけが歌うのではなく、他の主要キャラクターも歌っていることが特徴である。声優名義で歌われているが、キャラクターの内情を表現した楽曲となっており、キャラソンのアルバムとして聴ける内容となっている。1990年ごろには、主人公やヒロインといった人気が高いキャラクター以外にも、サブキャラクターも歌うことが当たり前になってきたと考えられるのではないだろうか。

3/20 アオイハル

歌唱:堀京子(戸松遥)
発表年:2021
作品名:ホリミヤ

恋愛群像劇である『ホリミヤ』の主人公である堀京子が彼氏の宮村への想いを歌った一曲。「アオイハル」で堀京子が歌う二人称は、全て彼氏の宮村のことを指している。普段なら強がって気持ちを表に出すことが少ない彼女だが、キャラソンでは心の中に抱えている葛藤を聴くことができ、堀京子という1人の人物を存分に味わうことができる点が魅力だ。一般的に、視聴者が没入しやすいように主人公のキャラソンは作品のテーマ全体を歌うことが多い印象が、視点が複数存在する群像劇だからこそ、主人公でも私的なことを歌えるのではないだろうか。

3/23 おれとお前

歌唱:水木一郎
発表年:1982
作品名:エロイカより愛をこめて

青池保子により1976年から連載されている少女漫画『エロイカより愛をこめて』はアニメ化はされていない。しかし、当時は”イメージアルバム”という漫画の世界観を音楽で表現するという形式が定着しており、エロイカでも制作が行われた。
アルバムは音声だけのドラマやインストの曲など様々な曲が収録されているが、その中でも「おれとお前」はキャラクターの心情を歌った曲となっている。基本的にはおれ(=少佐)からお前(=伯爵)への気持ちが歌われており、伯爵のことを鬱陶しく感じながらも嫌いにはなれない少佐がよく表現されている。
当時キャラクターが歌うことは一般的でなく、アニソン歌手として一才を風靡した水木一郎がキャラクター(=少佐)の代わりに歌っているものの、楽曲におけるキャラクターの内面の吐露という点では新しい取り組みであったのではないだろうか。キャラクターソングの土壌とも考えられる一曲。

3/27 雨の夜 虹の朝

歌唱:湯浅比呂美(名塚佳織)
発表年:2010
作品名:true tears

青春群像劇を描いた『true tears』に登場する湯浅比呂美による、密かに思いを寄せていた仲上眞一郎に対する気持ちを歌った曲。
とある事情から仲上家で居候している比呂美は、親戚同然だった眞一郎に対する想いに素直になり、「この先の思い出に全部君がいてほしい」と歌う。過去に辛い出来事があったとしても、本当の気持ちに向き合い、「これからは 一人じゃない」と思えるようになったからこそ、彼女は一歩踏み出せるのだ。そんな彼女の静かな決心が伝わる一曲。

3/30 Moment

歌唱:國府田マリ子
発表年:1994
作品名:ママレードボーイ

乙女心をくすぐる複雑な恋愛事情を描いた『ママレードボーイ』のアニメ版の挿入歌として度々使われていた一曲。主人公の小石川光希の声優を務める國府田マリ子によって歌われており、再婚などの複雑な家庭環境の中で感じる不安の中で、新たな恋愛が舞い込む時の心情が歌われている。アニメの中では、サビで「くちびるで変わるの 今までの2人が」と歌われているように、1話では再婚相手の連れ子である松浦遊にキスされるシーンで使われており、光希の不安混じりの高揚感が伝わってくるような演出になっている。 少女漫画の特徴として繊細な心理描写が挙げられるが、キャラソンにも同じ傾向が見られており、キャラソンの裾野の広さを感じる一曲である。

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