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指す順6th 自戦記(第7回戦)

〜はじめに結論〜

なんて言うか、結論から書くとやらかした。
そして予定外に思わぬ長手数になってしまった。
いつもなら割と細かく書いていくスタイルだが、
今回はもう都合の悪い部分を色々とかっ飛ばしていこうかなと思うので、予めご了承頂きたい。

9/7(火)にコロナワクチンの接種(2回目)
控えている為、このタイミングで対局できるのは非常にありがたかった。ちなみに9/24(金)にはお待ちかねの親知らず抜歯手術があるので、
次戦の調整もなかなかスリリングだ。
歯茎を切開するらしく、しばらくは痛み腫れ出血で対局どころではないし、仕事どころではないので、宝くじを当てて早く仕事をやめたい。
(買ったことないし、これからも買わない)

〜宝くじは当たらない〜

【初手〜27手目】
▲5六歩△8四歩▲7六歩△8五歩▲7七角
△1四歩▲1六歩△9四歩▲9六歩△4二玉
▲5八飛△6二銀▲4八玉△3二玉▲3八玉
△5二金▲2八玉△4二銀▲3八銀△6四歩
▲6八銀△6三銀▲5七銀△7四歩▲6六銀
△7三桂▲8八飛

今回は正直どちらでも良かったが、先手番をゲットしたので、まずは中飛車宣言の歩を突いた。
後手の梅球さんは飛車先の歩をズンズンズンズンドコしてきたので、こちらは角道をあけて角を上がった。様子見と思われる両端の歩のご挨拶を経て、私は飛車を定位置に動かしてから、お互いの玉の囲い合うフェイズに移行した。

ここで最初の誤算。想定してた囲いじゃない。
あまり囲いに詳しくないが、第5回戦の対御鈴さん戦で四間飛車相手に『カニ囲い』というやつを採用していたので、きっと今回もそうだろうと決め打ちして対策を行なっていた。実に愚かな行為だが、もっと愚かなのは、想定と全く異なる局面なのにも関わらず、予定通りの作戦をぶつけようとしてしまったことだ。

〜理由なく向かい飛車〜

【28手目〜33手目】
△3四歩▲5五歩△3三角▲8六歩△同歩▲同飛

当初の作戦をザックリ説明すると、こちらは『美濃囲い』にして、超速みたいに攻めの銀が出てきたら銀対抗にしてから早々に、『向かい飛車』に振り直し、『カニ囲い』に対して飛車交換を仕掛けて、恐らく交換を拒否されるだろうから、桂頭狙ってゴリゴリ攻めようぜ的な感じだった。
『囲い』の堅さにアドバンテージがあるから、
仮に交換して飛車打ち合ってもイケるよね!
みたいな楽観的なものだった。

何事も予定通りにいかないのが人生の醍醐味、
勝負の醍醐味だが、何を血迷ったのか、何の算段もなく、条件の異なる局面に対して、強引に作戦を合わせにいってしまった。例えるならば、楽しみにしていたBBQの直前に開催場所変更の連絡を受けておきながら、変更前の開催場所に集合してしまったようなものだ。ちなみに私はBBQがあまり好きではない。やはりと一緒に食べたいからだ。あと火が怖いし、虫が嫌いだ。

話が逸れてしまったが、こちらは当初の作戦通りに『飛車交換』を挑み、予定通り拒否された。
しかしこれはラッキーだった。条件の異なる局面での『飛車交換』はこちらが悪かったらしい。
この時の私はそれにすら気づいていなかった。
局面は少し進み、当ての外れた私は行き当たりばったりに駒を引いたり、進めたりしてはいたが、完全に方向性を見失っていた。

〜 SEKAI NO OWARI〜

【34手目〜48手目】
△8五歩▲8八飛△6五歩▲5七銀△6四銀
▲5六銀△7五歩▲同歩△8四飛▲4五銀
△5五銀▲5四歩△7六歩▲6八角△5六銀

脳内に「あっかーーーん!!!」という声が響き渡り、目の前が真っ暗になった。脅威の早指しを事前に警戒していたが、思っていたよりは持ち時間に差はなかった。しかしながら、ここで痛恨の大長考をすることになった。本気で負けを覚悟した局面だった。AIの評価値的にはそこまで悲観するほどの局面ではなかったのかもしれないが、
この局面を迎えた私には、何を指すのが正解なのかが全くわからなかった。少なくとも何かを犠牲にするしかないように思えていた。

【49手目〜51手目】第一感
▲5六同銀△8八角成▲4六角

多分、これで良かった。局後にAIの読み筋を見てみたが、そこまで悪くならないようだが、私にはその先に良くなる未来が見えなかった。
とりあえず選んだ手は歩の成り捨てだった。
それで良くなるとは思っていなかったし、むしろ遮断していた飛車の利きを通してしまった。
この後の手も酷かった。飛車をタダで取られないように金を上がったが、これは『銀損』を妥協した諦めの一手だ。その銀を歩で追ったが、まるで無意味。角道を遮断することにもなり、さらに指しづらくなった気がする。

苦し紛れに端歩を突いてみたが、このタイミングで飛車と角を交換された。これはほんの少しだけ助かった気がした。近い将来、この飛車は働く姿が想像できない。角を手持ちにできると、何かしら嫌がらせのようなことができる可能性がある。

【49手目〜69手目】本譜
▲5三歩成△同銀▲7八金△4五銀
▲4六歩△5四銀▲9五歩△8八角成
▲同金△8六歩▲8五歩△同飛▲7四歩
△8七歩成▲8六歩△7五飛▲8七金
△7四飛▲8三角△6四飛▲7二角成

後手の飛車を自陣から遠ざけ、敵陣に何とか馬を
作ることに成功したが、まだ安心はできない。
主導権はまだ後手が握っている。こちらはとにかく可能な限り耐え凌ぐしかない。まず持ち駒の
飛車で角を追われ、桂馬を取りながら龍に成った手がさらに金取りになっている。金を逃げたら、
次は持ち駒の銀を角取りにぶつけられたが、こちらは馬で飛車に当てながら桂馬を取った。

飛車と角の交換になり、さらに銀と金の交換になった。ちなみに私は『銀と金』の続編を長年待ち望んでいる。福本作品では、『カイジ』『最強伝説 黒沢』と並んで、『銀と金』が好きだ。
ドラマ版の主題歌であるamazarashi の
ヒーロー』は大好きな曲の一つだ。

話がまた完全に逸れてしまったが、こんな話でも書いていないとまともな精神状態を維持できないほど悪い局面だ。こちらの囲いに手がつき始め、
ついに終盤を迎えそうな雰囲気が出てくるのだが、ここから100手以上指すことになるとは全く予想していなかった。少なくとも後手玉はまだまだ堅いし、遠い。こちらだけが一方的に攻められそうな今にも泣き出しそうな局面だ。

〜崩れかけの美濃囲い〜

【70手目〜82手目】
△6九飛▲5七角△6六歩▲6六角△8九飛成
▲7六金△5五銀▲7三馬△6六飛▲6六金
△6六銀▲同歩△5六角

この手を見て、自玉の安全度はよくわからないが、5筋に底歩を打った。良し悪しもよくわからない。角に金を重ねられ、受けになるのかよくわからない銀を打った。ないないばっかでキリがない。現状はそんなんで…

【83手目〜95手目】
▲5九歩△4七金▲3九銀△5八歩▲4七銀
△4七角成▲3八銀△5七馬▲5八歩△5六馬
▲5七金△7八馬▲7二飛

なんやかんやの攻防で後手の馬を退けられたので、ようやくこちらも敵陣に飛車を打つことができた。この手にはとても意識の低い、あわよくばの狙いがあった。もちろん、何かの拍子に防壁の金がひょこっと上でも下でも動いてくれれば、
王手放置で私の大逆転勝利になる。非常に後味が悪いが、そこまでしてでも勝ちたかった。

だがしかしたかし、狙いはすぐに見破られた。
歩で飛車の横利きは遮断された。が、実はこちらは囮でもう一つの狙いがあった。こちらの馬で
香車を取った瞬間、相手の馬に当たる。とは言え、龍の紐がついている以上、ただの飛車と角の交換にしかならないのだが、幸運は訪れた。

【96手目〜98手目】
△6二歩▲9一馬△9九龍

ここで恐らく逆転した。ここから勝ち切るのは、もちろん容易ではないが、間違いなく流れは来ている。なるべく駒損することなく指すことを心がけた。と言うよりも、駒を渡さない手を選ぶことに注力した。

〜やっててよかった駒サプリ〜

【99手目〜191手目】
▲7八飛成△5五香▲5六香△同香▲5六金
△5五歩▲5五金△5五銀▲5五馬△4四銀
▲5六馬△5四香▲3四馬△3三銀▲6七馬
△4四歩▲7九歩△9五龍▲2六香△3一桂
▲8五歩△3六歩▲同歩△5六金▲7六馬
△4六金▲5五銀△4五金▲5四銀△同銀
▲5四馬△4三銀▲7六馬△5四歩▲3五桂
△同金▲3五歩△4二金▲3四香△同銀
▲同歩△同銀▲5四馬△4三金▲7二馬
△8五龍▲6七角△3五龍▲3七歩△2五桂
▲同香△同銀▲4七桂△4六龍▲5七銀
△4五龍▲同角△同歩▲同馬△3四銀▲5五馬
△4四歩打▲7一龍△4一香▲6二龍△5二香
▲6五馬△3六歩▲5五桂△同香▲5五馬
△3七歩成▲同馬△4五桂▲4六馬△3七歩
▲3九香△3八歩成▲同香△3七銀▲同桂
△同桂成▲同香△4五桂▲3四香△同金
▲3三歩△同桂▲3五歩△2四金▲3四桂
△2五桂▲2二飛

自分でもビックリするくらい端折ったが、
なんやかんやの攻防が100手近く続いた。
最後の桂馬打ちは最近の自身の課題である
『詰めろ』を意識して指した手であり、
直前に駒サプリをやっていた成果かもしれない。

そして、そこからの飛車打ちは、直前に
駒サプリをやっていた成果かもしれない。

対局を振り返って、とにかく胃が痛い(物理的に)一局だった。いつもなら、対局中にお茶も飲むし、コーヒーや炭酸飲料水も飲むし、場合によってはオレオを食べることもあるが、この対局中、全く何も喉を通らず、しばらくトイレに篭っていたくらいだ。終局後の感想戦が終わっても、しばらく胃の痛みからは解放されなかった。

【192手目〜193手目】投了
△3三玉▲4二飛成

ここで得た一勝は、成績的にはかなり大きいが、
反省点が多く残る一局になった。事前研究に慢心せず、目の前の相手が指す一手一手を咀嚼し、
自分の指せる最高の一手を模索することが何よりも大事だということを改めて痛感した。

どこかで使おうとしたが、タイミングを逃したので、ここに供養して自戦記を終わることにする。

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