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文章を書くこと

noteを毎日書き始めて2週間くらい経過したが、
当初の予定はこんなはずではなかった。
『指す将順位戦』の自戦記を書く人が今期は非常に多いようなので、便乗してみたかっただけだ。
書くと宣言してみたものの正直、ちょっとめんどくさいなぁ…くらいに思っていた。

いざ書き始めてみると、意外とピコピコと指が動くもので、やめられない、とまらない、かっぱえびせんが如くnoteを更新し続けてしまった。
ものを書くことが嫌いじゃないというか、
むしろ趣味なんじゃないかとすら思えてきた。

毎日、何かしらの記事を公開すると、note
褒めてくれるので、ついつい調子に乗ってしまい、自分の中で書き続けることに義務感があったような気がする。書きたいネタはいくらでもあるのだが、将棋についてのネタはそんなにないし、毎回納得のいく文章になるかと聞かれると、そうでもない。

それでも何かしら書き続けたい意思もある。
しかし、書いたところで読んでもらえているのか?という不安と、読んだ人はどう感じているのだろう?という疑問が湧いてきたのである。

やはり書いたからには多くの人に読んでもらいたいし、何か感想的なものを聞きたい気持ちにはなる。ただ、私のような一般人が書いた、よくわからない記事を読んでくれる人は多くないだろうし、仮に読んだところで「ふ〜ん」とか、
「へぇ〜」くらいの感想しか出てこないだろう。

何か書き続けるモチベーションになるものが欲しいが、結局ただの自己満足で書いているだけなので、やめたところで誰も困らない。やめたきゃやめればいいのだ。それでも書き続けたいのなら勝手にすればいいだけの話だ。

そういえば話は変わるが、私はその昔、小説家を目指した期間が数ヶ月くらいある。リーマンショックの影響なのか、ただ上司と社長に嫌われていただけなのか、初めて就職した会社を辞める事になった。再就職するアテもないし、組織や社会に対して失望していていた私は、現実逃避がしたかった。

そんな時に出会った漫画家志望のKさんだった。年齢は一学年上だったが、とても話が合う人で、好きな漫画やアニメの話で盛り上がった。その中で、「物語を書くのが好き」という話をした。

小中学生の頃、漫画を描いていたが、絶望的に絵を描くのが下手だった為、挫折した。正確に言うと、私の描くキャラクターの髪型はみんなギザギザだし、右に向くことしかできなかった。
ストーリーばかりが脳内で先行し、絵を描く作業が追いつかないのでプロットばかり書いていた。その一部が奇跡的に残っていた。黒歴史とも呼べる代物だったが、Kさんはそれを賞賛してくれた。
「小説を書いてみればいいじゃん!」
私はその言葉を真に受けてしまった。

失業保険が貰えるのは早くて4ヶ月後、
ならば『小説を書こう!』…という
謎の思考回路になった。
狙うは賞金2000万円の小説大賞だった。

しかし、何となくのシナリオは思いついたものの、実は生まれてこの方、小説らしい小説を読んだ事がなかった。それで小説家になろうとしている、なれると思い込んでいるのだから、この頃の私は頭がハッピーセットだ。

とりあえず出版されている過去の大賞作品と、
優秀作品の本を買ってきて読んでみた。
面白かったが、決してこれから私が書こうとしている作品が負けているとは思わなかった。
そして執筆を開始した。何かに取り憑かれたかのように慣れないWordで原稿を進めていった。

執筆開始から1ヶ月くらいで、初めから終わりまで書きたいシナリオの全てを書ききった。周りの友人に読んでもらい、アドバイスを貰いながら、加筆したり、修正したりを繰り返して、応募期間ギリギリで何とか、それなりに納得できる作品に仕上がった。

それから数ヶ月後、私は職業訓練校に通っていた。自分の書いた作品が大賞に選ばれ、2000万円をゲットし、その本が出版され、晴れて小説家になる未来を信じて疑わなかったが、保険をかけていた。就職難の中、堅実に手に職をつけて再就職する選択肢も残していたのだ。

1次選考、2次選考、そして最終選考…
という流れになっていた。そしてついに迎えた
『1次選考結果発表』の日、いつになく落ち着きがなく、ソワソワしていた。1次選考くらいは余裕で当たり前に通過するものだと思っていた。

結果は落選。まったく見込みなし。早々に小説家の道は諦めた。1作品書いてみて、こんな生活ずっと続けたくないし、続けられないな…と、
薄々感じてはいた。

書いていた頃はライターズハイみたいな状態で、
とても楽しかったが、常に書きたいものを書けるとは限らないし、書きたいものがなくても何かを生み出し続けなければならないのは苦痛だろうなと容易に想像できた。

ちなみにこの年は『大賞』どころか、『優秀賞』さえも『該当作品なし』という何とも言えない結末だった。駄作ばかりだったのだろうか。
そして翌年、某有名俳優が大賞を受賞し、2000万円をゲットした。すでにいっぱい稼いでいるのだから、少しくらい分けてくれたらいいのに…と心の底から純粋に思った。

私にとって、文章を書くことは将棋以外の楽しい趣味の一つだ。例え誰かに評価されなかったとしても書き続けたいとは思うし、きっと書き続けるだろう。

しかし、義務になったら終わりだ。それはもう趣味じゃない。だから毎日noteの更新は、これでやめようと思う。次に書くのは明日かもしれないし、10年後かもしれない。それくらいのゆるいスタイルの方が良いのだと思う。

最後に一つ、小説家を諦めた私は、次は漫画家を目指して、Kさんと合作で漫画を描いて、集英社と小学館に持ち込み、玉砕することになるのだが、
それはまた別のお話。

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