見出し画像

No.150 1981年~ 『聖歌集』に載っていた「ひとりの小さな手」は本田路津子さんが歌っていた

 1981年4月に聖心女子学院初等科の教師になった時一番戸惑ったのが宗教のカトリックの儀式でした。毎日朝と帰りのお祈り、当時あった給食の始まりと終わりのお祈り、カトリックの行事に関するごミサのお祈りなどなど毎日行われるのでした。「主のいのり」もきちんと覚えなくてはいけません。
 「主の祈り」
天におられる私たちの父よ
み名が聖とされますように。
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり
地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を
今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。
わたしたちも人をゆるします。
わたしたちをゆうわくにおちいらせず、
悪からお救いください。
                  アーメン
 
 現在はこのようなお祈り文ですが、1981年ごろはもっと難しい言葉で綴られていました。難解な文章でした。最初の頃私がすらすら言えないのを聞いていた担任している3年生の信者の子どもが、「主のいのり」を紙に書いてきて私に渡してくれました。とても優しかったです。
 
 聖歌を集めて編集したのが「聖歌集」です。聖心の「聖歌集」の中に「ひとりの小さな手」がありました(2014年発行版)。

 この「ひとりの小さな手」は学生時代にフォークソング歌手の本田路津子(るつ子)さんが歌っていたなと思い出しました。なぜフォークソングの歌が「聖歌集」に載っていたのだろうかずっと疑問に思っていました。「聖歌集」の「ひとりのちいさな手」には作詞者・作曲者の名前が載っていませんでした。
 
 最近になってやっと調べたのでした。動きが悪いですね。
 ネットで調べてみると、「Uta‐Net」に次のように書かれていました。
  作詞 アレクシス・コムファット、訳詞 本田路津子
  作曲 ピート・シーガー 
  https://www.uta-net.com/song/296283/
 
 本田路津子さんは訳詞をされていたのですね。それで歌っていたのでしょうか。それがなぜ「聖歌集」にあるのか、疑問はまだ解けていません。
 
 訳詞をされたのが、本田路津子さんです。本田路津子さんについて調べてみました。
 「路津子の名前の由来は、両親がキリスト教徒であったので(本人は結婚するまでキリスト教徒ではなかった)、旧約聖書の『ルツ記(英語ではルース)』に出てくるボアズの誠実な嫁ルツから取った。」
「『ひとりの手』は、アレックス・コンフォート英語版)の詩“One Man's Hands”にピート・シーガーがメロディをつけた物で、当時の反戦や人種差別撤廃を訴える歌になっており、日本語の歌詞は本田自身が訳した物。1976年に刊行された日本キリスト教団出版局の『ともにうたおう-新しい讃美歌50曲-』では、末節に讃美歌らしい歌詞が付け加えられ、34番として所収されている。」
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AC%E7%94%B0%E8%B7%AF%E6%B4%A5%E5%AD%90
 
本田さんとキリスト教の関連が分かり、その歌がどのような意味をもつ歌で、賛美歌に所収されていることから「聖歌集」に入っているのではないかと考えられます。
 
 聖堂で「ひとりの小さな手」を子どもたちと一緒に歌う時、私はいつも学生時代のことを思い出していました。
 
 この「ひとりの小さな手」の隣のページにあったのが、「ブラザー サン・シスター ムーン」でした。

 この聖歌は映画「ブラザー・サン シスター・ムーン」との関係があるものでしょうか。この映画を私はビデオやDVDで3度観ました。一人の聖職者の生き方が分かりとてもいい映画と感じました。私の映画のメンター双葉十四郎氏の『外国映画ぼくの500本』(文春新書、2003年)によると次のように解説が付いています。
 「十三世紀初頭、アッシジの富裕な商人の息子フランチェスコは、戦争で負傷してから人が変わり、鳥、花を愛して財産を人に分かち与え、法王に認められ宗派をひらく。という有名なアッシジの聖フランチェスコ伝。金持ちの過保護息子でヒッピー的な素質もあるので、聖者への道を歩む姿が、今日的な共感を生むのである。ドノヴァンの音楽と中世的優雅にあふれた美しい風景。ゼッフィレリっていい監督だなァ。フランチェスコさん、現代日本に渡来して自然保護運動のリーダーになってほしかったデス。」
 「ひとりの小さな手」の隣に「ブラザー・サン シスター・ムーン」があるので、「ひとりの小さな手」を歌う時に、映画「ブラザー・サン シスター・ムーン」の場面も思い出していました。 
 長く疑問に思っていたことが分かり気持ちがすっきりしました。もっと早く調べれば良かっただけのことなのですが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?