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「ネコやイヌに穀物を食べさせてはいけない!?」 ペットフードの都市伝説 その2          



はじめに

ペットフード選びに迷ったときなどにネットやSNSでペットフードについて調べてみると、ウソか本当かよくわからない話に出会うことがあります。

そんな、ちまたにあふれるペットフードについての真偽があやしい噂話のようなものを、僕は「ペットフードの都市伝説」とよんでいます。

このような情報にふれた飼い主さんの中には不安を感じる人も少なくないだろうと思います。
そこで今回は「ペットフードの都市伝説」の第2弾をお届けします。

※参考のためにこちらの記事もぜひご覧ください
・「ペットフードの都市伝説」を語る前に 「正しい」とはどういうことか


ねこさん・わんちゃんにはグレインフリーのペットフード!?

ねこさん・わんちゃんに、できるだけよいペットフードを食べさせてあげたいと思ってネットでいろいろ調べた飼い主さんなら、一度は「グレインフリー」という言葉を見たことがあるのではないでしょうか。

ひと頃に比べると落ち着いた感はありますが、とくに”ねこさん界隈”では、いまだに人気が高いようです。中には「グレインフリーは絶対条件」と考えている飼い主さんもいらっしゃいます。

本当に、「ネコやイヌにとってよいフード」はグレインフリーのフードなのでしょうか?


グレインフリー? グルテンフリー?

そもそも「グレインフリー」のフードとは、どんなフードなのでしょうか。

いささか紛らわしいのですが、「グレインフリー」によく似た名前で、「グルテンフリー」というものもあります。
ねこさん・わんちゃんと暮らすのがはじめて飼い主さんの中には、どう違うのかよく分からないという人もいるかもしれません。

まずはこの違いをはっきりさせておきましょう。

「〇〇フリー」というのは「〇〇が含まれていない」という意味ですよね。
ですから、「グレインフリーのフード」は「グレインが含まれていないフード」のことで、「グルテンフリーのフード」は「グルテンが含まれていないフード」のことです。

「グレイン」というのは「穀物」のことです。
広い意味での穀物には、豆類やそば、キヌアなども含まれますが、グレインフリーのペットフードがいう「穀物」は、一般的に米・麦・トウモロコシをさしています。

いっぽう、「グルテン」は「麦類に含まれるタンパク質」のことです。
ですから、グルテンフリーだけれどグレインフリーじゃないフード(麦類は使っていないけれど、お米やトウモロコシは使っているフード)、もあり得るわけです。

ヒトの食べ物でも「グルテンフリー」は一定の人気があります。
きっかけは、プロテニスのジョコビッチ選手が、食事を”グルテンフリー”のものに変更したら体調がよくなって、そのおかげで世界ランキング1位になったことでした。

ウィキペディアなどには、ジョコビッチ選手は「セリアック病」だと書かれていますが、ジョコビッチ選手は著書のなかで、自分が「グルテン不耐症」であることを知って”グルテンフリー”の食事に変えた、と書いています。

ノバク・ジョコビッチ著 「ジョコビッチの生まれ変わる食事」(扶桑社)

それでは、グレインフリーのペットフードの真実をのぞいて見ましょう。

※今回はちょっと辛口な書き方をしている部分があります。
 とは言っても激辛ではなく、ピリ辛程度ですのでご安心ください。

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