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言葉はその人を明確に表す、なんて

疲れて、自分の時間をとるべく休職した友人たちは口々に言う
「前はアニメをみる集中力ですら続かなかったのに、今は昔みたいに分厚い本をずっと読める。それが嬉しい」

心が疲れていくと、その心の疲れに脳の考える力や集中する力をさいてしまうからか、活字を読むのがしんどくなる。次は漫画、次はアニメ。そのうちにLINEを返すような短い文章を作るのですら億劫になる。

その片鱗を感じながら土日になんとか回復して、気になったアニメや漫画を読む毎日を送っている。活字はなかなか読めない。

その中で、最近読み直した「ブランチライン」池辺葵(全3巻)がとても心に残る。何度も読み直す。優しい時間が流れる中で、不意に胸を刺す言葉がやってくる。何度も。

母、4姉妹、4姉妹の長女の息子・岳。彼らを取り巻く人々と生活、彼らが大切にしているものが柔らかな線で描かれる。
末っ子の仁衣が放ったと、同僚の山田へ告げられるこの言葉。

「言葉はその人を明確に表すってね」

思わず漫画を閉じてしまう。パタンと。


私が放った言葉は、相手のみでなく私の耳から私の脳にも届く。
優しい言葉も美しい言葉も粗野な言葉も。粗野な言葉を使えば使うほど、自分が乱雑に乱れていくような気持ちになる。
丁寧に考え、何度も推敲した言葉だけ、私の口から出ていけばいいのにと思う。

しかし、言葉には鮮度があるとも思っている。時間は有限であり、どうしても言葉を発せるまでの時間には限りがある。昔、歴史の先生が「指名されたら必ず3秒以内に何か言いなさい」といっていた。それはすごく頷ける教えだ。
自分の中で熟成されて鮮度を失った言葉は、悪くすればもう出ていく舞台すらない。

ここで、葛藤が生じる。丁寧に考えるには時間が必要で、私はいつも考えなしに粗野な言葉を使ってしまう。発音した時のインパクトや響きの強さを優先してしまうことがある。優しさよりも。

それはここ最近の私のふんわりした懸念事項であって、すぐに忘れてしまうようなことだけども、ブランチラインのこの言葉でそれがより明らかになった。

粗野な言葉を使う人より、優しい言葉を使える人になりたい。
そんなのね、当たり前に思いますよね。
どうしたら素早く、丁寧に練られたような優しい言葉を選べるのか。

優しい人間になる他ないのかな。
どうしたらなれるんでしょうか。
私が優しいと感じる人は、どうやってその境地に辿り着いているんだろう。

わからないことを考えながら、日曜日が終わっていきます。


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