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すずめ

朝、庭先にすずめのヒナが落ちていた。
どこが巣なのか。親が迎えにきたとしても、抱っこして連れて帰れる訳もない。覗き込んでいると、登校前の娘が寄ってきた。
生き物が大好きな娘は、なんとかしてあげたいと言いながらも、時間になったので「ママ、よろしくね!」と言って学校へ向かった。

どうしたらいいかと悩んでいるうちに、急にヒナが、持てる力を出し切るようにグイーーンと伸びをした。そしてそれきり動かなくなった。
仕方なく庭の隅の、金魚やカブトムシの隣で永眠してもらうことにした。何もしてやれなかったことに、胸が痛んだ。

が、大変なことに気が付いた。娘になんて言おう。事実を話せば大泣きするだろう。もっと胸が痛くなった。
案の定、学校から帰ってきた娘が真っ先に聞く。
「すずめちゃん、どうなったの?」「あのあと、お母さんが迎えにきて、一緒に飛んで行ったよ」「よかったぁ」

ごめん、娘。ママ嘘ついた。
「すずめちゃーん、げんきでねー」空に向かって大きく手を振る娘の背中をみながら、あなたも元気に大きくはばたいて欲しいと空に願った。


小牧幸助さんの企画に参加させていただいております。




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