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【まとめ】小売業とデータ分析の考え方(分析環境導入検討編)

今回は分析環境導入検討編のまとめです。
今までの記事をまとめていきたいと思います。

「小売業」と「小売業のデータが持つ優位性」は?

  • 小売業の特徴: 「消費者に対し商品を直接販売し、EC含む店舗運用と在庫管理に重点を置く業態。」

  • 小売業の持つデータの優位性: 「エンドユーザーとの直接的な接点から生じる行動データにより、深い顧客理解が可能。」

DXを行わないことで2025年以降に顕著にあらわれてくる機会損失とは?

  • そもそも顧客理解が進まない。
    →モノ、バショ、時系列などのデータ分析だけでは人軸での分析が行えない。小売業という特性上、エンドユーザーの「購買データ」はサプライチェーンの中でかなり重要なデータです。これを活かさないのは機会損失。

  • 従業員のパフォーマンスが向上しない。
    →集計作業や分析作業を部署ごとでバラバラと行っており、結果全員で共有すべきナレッジが部署ごとなどで閉じてしまっている。これでは部分最適化しか出来ないのでマクロの視点が持てない。悲しい。
    そして機械の方が集計も早いし間違わない。悔しい。

  • リテラシーの高い従業員が定着しない。
    →「売上の集計を毎日エクセルでやるのもマーケティングの仕事だ!!」って言われたら確かにそうかもしれんけど、なんか違う。
    「もっとやるべき事あるでしょ」ってなった人が去っていく。

  • 在庫管理が効率化出来ない。
    →データが統合できておらず、お客さんが欲しいって言ってても「すいません。在庫切れなんです」って言うしかない。他の店舗に在庫あるのに。

  • ビジネスモデルがリアルな顧客に対応しきれない。
    →具体的にはオムニチャネル対応、サブスクリプション、ロイヤルティプログラムなどが導入出来ないなどが考えられる。
    これでは顧客のニーズに答えにくい。

  • 結果、顧客体験が低下する。
    →上記のような状態だと例え商品が良くてもサービス面でお客さんの満足度を得ることができにくくなる。顧客理解出来てなかったら商品も良くなるのか怪しいし。

データ分析環境を構築すると改善されるポイント

【現状の業務からの改善点】

  1. 在庫管理の最適化: データ分析を行うことで、歴史的な売上データや季節性を把握し、緻密な在庫の準備と管理を行います。商品の売り切れや余剰在庫といった問題を避け、在庫管理の効率を向上させます。

  2. マーケティング効果の測定: データ分析を利用すれば、各マーケティング活動がどのような影響を与えたのかを具体的に把握できます。活動の費用対効果を正確に評価し、より効果的なマーケティング戦略を見つけます。

  3. カスタマーサービスの改善: 顧客の購買ログや問い合わせ内容などを分析することで、顧客が抱えている問題やニーズを早期に把握し、即時に対応しサービスを改善します。

【より便利になる点】

  1. 顧客理解の深化: データ分析を通じて顧客の購買傾向や行動パターンを理解し、具体的な顧客のニーズを特定します。これにより、パーソナライズされたサービスや効果的なマーケティング戦略を策定できます。

  2. 新たなビジネスチャンスの発見: 売上データや店舗データなどの分析を通じて、新たな商品需要やマーケティングの機会を見つけます。これにより、単に現状維持のためのビジネス運営から一歩進んだ商品開発やサービス改善につなげます。

  3. 業績予測の精度向上: トレンド分析や時系列分析を行うことにより、より正確な売上や利益の予測が可能となります。これにより、未来予測に基づくビジネス戦略を実行できます。

  4. オムニチャネル戦略の強化: オンラインとオフラインの顧客行動データを一元的に管理・分析することで、より一貫性のある顧客体験を提供できます。オムニチャネルの利用者が増える中、そのニーズにあった対応が可能となります。

  5. 動的データ連携とAI活用: 顧客データプラットフォーム(CDP)などを導入することで、各種データをリアルタイムに連携させることが可能となります。またAIの活用により、大量のデータから有益なインサイトを抽出したり、効率的な意思決定を支援することも可能になります。

小売のデータ分析の部署ごとに得られる便益

事業者側で牽引する人の選定基準

  • ビジネスニーズを理解している

  • データや分析に対する興味や理解がある

  • 跨部門のコミュニケーションが取ることができる

  • 新しい技術を学ぶ意欲や能力がある

※専門的な内容については支援会社のヘルプを求めることもアリ。

導入前後のコストシミュレーションについて

導入前

  • 全部署で作成されているレポートなどの集計コストを人件費として計算する。

  • 人が行う作業なので「集計ミス」なども発生しているので、そのあたりの影響も踏まえておく

導入後

※償却期間が5年の場合

<イニシャルコスト>

  • 月額コストに換算するためイニシャルコストの総額をの1/60を月額料金として換算する。

  • 都度支払いの金額のため、後から増えるなどといったような予算計上ではない。ただし開発のシュミレーションなどが甘い場合は追加コストなども発生するので注意が必要。

<ランニングコスト>

  • 毎月かかってくる金額のため総額で見直すと結構なインパクトがある。

  • 中には従量課金のような形で利用料と共に増えていくコストなどもあるのでその点を踏まえてしっかりシミュレーションを行う。

分析環境を構築するスタイルもしっかり選定する

  • 自社構築(全て自社で行う)

  • 自社構築(部分的に支援を依頼する)

  • SaaSなどのサービス利用

  1. オムニチャネル対応:

    • データ統合機能: オフライン(店舗)およびオンライン(ECサイトなど)を含む各チャネルから得られるデータを一元的に統合できる機能が必要です。

  2. 実店舗の役割変化:

    • カスタマージャーニー分析: 顧客の購買行動から顧客体験を理解するため、顧客が経験する触れ合いの全過程(カスタマージャーニー)を分析する機能が必要となります。

  3. 顧客行動の予測:

    • AI/ML機能: 顧客の行動を予測するためには、AIや機械学習を扱う機能が必要となります。

  4. データセキュリティ:

    • セキュリティ対策機能: データの暗号化やアクセス権限管理、不正アクセス検知などのセキュリティ対策機能が必要となります。

  5. リアルタイム分析:

    • 高速処理機能: 大量のデータをリアルタイムに処理するための高速処理機能(インメモリ処理など)が必要です。

ここまでだけでも結構な情報量ですよね…。
そして結構やることも多いです。
個人的には以下の項目に該当する場合は分析環境を構築したほうが良いかなと思っております。

  • 直売の商品売上レコードが年間で300,000行を超える(商品が1日約1000個近く売れる)

  • レポート集計のコストが月間で100万円を超える(システム費用なども込み)

  • 商品数☓店舗数の数が1000を超える

理由はエクセルなどの手動での作業で行うよりもランニングコストは安くなりますし、それ以上に期待できる効果も大きいからです。
上記の条件に該当する場合、最新の分析環境を構築するほうが結果的にコストも抑えられ、機能も向上すると思います。
(コストシミュレーションでざっくり計算し、効果が合いそうなのであれば検討をオススメします。)

次回分の記事からは「小売業とデータ分析の考え方(分析環境構築編)」というマガジンで書き進めていきたいと思います。
読んでいただいてありがとうございました!

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