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ラヴェル/《クープランの墓》

モーリス・ラヴェル(1875-1937)はフランスを代表する作曲家で、こちらは40歳頃の作品である。

ラヴェルの時代よりもおよそ200年前、作曲家 F. クープランはフランス鍵盤音楽の礎を築いた。
当時はいくつかの舞曲や小曲を組み合わせて一作品とする「組曲」の形式が栄えており、その古の形式を借りて書き上げられたのが、この『クープランの墓』である。  

「墓」という言葉から想像できるように、この作品には追悼曲の側面がある。
一つ一つの曲は、 ラヴェルと親交が深かった、そして第一次世界大戦で戦死した6人の思い出に捧げられた。
同時期には母親をも亡くし、彼の痛みには底知れないものがあるが、音楽そのものは決して重く暗いものではない。

絶えず機知に富む色彩は懐かしく、温かく、さながらアール・ヌーヴォーの工芸品のように香り立つ。

2022.07.20 東京藝術大学ランチタイムコンサート2022 〈大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノジョイントリサイタル Vol.2〉より(一部加筆)
出演:佐伯日菜子、伊達広輝

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