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れな奥様ストーリー【3】

3:
 そうして待ち合わせ場所にやってきた彼女は、写真の数倍は魅力的だった。無邪気な笑顔で、小走りでこちらに寄ってくる様子が、なんだかたまらなかった。
「敷田さんですか? お待たせしてすみません!」
「あっ、どうも、こちらこそ」
 華やかな雰囲気に当てられて、一気に鼓動が早まる。
 れなさんはこちらの手を取ると、優しく包み込む動きをした。
「今日はたくさん楽しめたらいいなって……よろしくお願いします」
 キラキラした瞳を見返しているうちに、手の中のものに気付く。
 そうだった。俺は予約したんだ――とびっこコースというやつを。
 不恰好にも、ああ、とか言いながらリモコンをポケットに突っ込んだ。そわそわとする彼女。スカートの下を想像し始めたら止まらない。
 ごくりと生唾を飲んでから、気を取り直した。ここで楽しまなくてどうする。
(最初から飛ばしたらダメだ。まずは反応を見たいよな)
「すみませんね、ちょっとこういうの、久しぶりで緊張してて。行きましょうか」
「はい!」
 元気な返事だ。笑顔がまた懐っこくて、リモコンのスイッチを入れるのに少しためらうほどだ。

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