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【タイ・音楽の旅2023】7日目(1):灯篭船を求めてタイ東北部ナコンパノムへ

2023年10月27日(1)

この旅もようやくここからが本番。4年ぶりのイサーンである。

そもそも今回の旅行はイサーンに行くのが目的だった。最初の計画では、タイについてすぐにイサーンに行こうと思っていたけど、コンサートの情報を収集し計画を立てている内に、やはりバンコクには何日か滞在しなければならなくなって、前半1週間はバンコク滞在となった。

イサーンに行くにはいつも長距離バスでモーチットから行くので、最初はそのつもりだったが、まずナコンパノムへ行かなければならず、そこへは10時間以上かかる事もあって、時間の関係もあり、今回は飛行機を利用することにした。

飛行機の出発時間は15時だったので、ドンムアン空港に行くのはそれほど急ぐ必要ななかったけど、昼食を空港で食べる事も考えて、11時頃ラップラオの宿を出発。まずバスでBTSモーチット駅に向かった。

30分ほどでBTSモーチット駅前に到着し、ドンムアン空港へ向かうA1のバスに乗り換えようと思った所、雨が降ってきた。まさかこの時期に雨が降るとは予想外。しばらく屋根のある歩道橋で雨宿りをする。

モーチット駅で予想外の雨に見舞われた

雨はそれほど長く降らず、30分もしないうちに止んだ。バス停に行くと、すぐに空港行きのバスがやってきた。乗り換えもスムーズにいったので、空港へは12時過ぎには到着できた。

エアアジアのチェックインカウンターでセルフチェックインをして、荷物検査に入る前に食事をする。空港で食べるとほとんどのものが市内よりも高い値段だが、カオゲーン(ぶっかけ飯)とクウィッティアオが食べられるリーズナブルな場所があったので、そこで60バーツのガオラオと白ご飯を食べる。

食事の後に荷物検査をして、ナコンパノム行きの飛行機のゲートに向かったものの、時間的にはだいぶ余裕があって、予定の出発時間まで1時間ほどあった。

このまま予定通りに飛行機が飛んでも全く問題なかったが、そこはエアアジア。順当に飛ぶ訳はなく、やはり30分のディレイになった。

エアアジアはディレイするものと考えておいた方が良いのかも

15時半にようやく離陸となり、1時間ほどでナコンパノムの空港に到着。周りには飛行機が全くなく、どうやらバンコク⇔ナコンパノムを飛んでいるのはエアアジアだけのようだ。

バンコクから1時間でナコンパノムに到着

空港から市内へ行くにはタクシーかロットゥーしかない。空港を出ると、ちょうどロットゥーが呼び込みをしていて、予約しているホテルの名前を告げると「100バーツ」との答えが。選択の余地もないので、これに乗る事にする。

空港から宿がある場所まで、Google Mapを見るとそれほど遠くないと思っていたが、実際には意外と距離があった。だいたい10~15分ほどで到着。宿の目の前で停まってくれたのはありがたかった。

ナコンパノムに来たのは4年ぶりで、コロナになる前、最後にイサーンに来た時の訪問地のひとつがナコンパノムで、その時もライ・ルア・ファイ(灯篭船)の時期だった。

2019年にナコンパノムで観たモーラム。この時は3日間連続でモーラム楽団がきていた。

その4年前はライ・ルア・ファイの事は全く知らず、ただモーラムを観に来ただけだった。昼間、メコン川沿いを散策していると、やけに賑やかだったので、何かあるのかと思っていたが、あとでライ・ルア・ファイというお祭りだったという事が分かった。

また時期を改めて再訪しようと考えていたけど、その後コロナになってしまったので、結果4年ぶりの訪問という事になってしまった。

ホテルにチェックインし、しばらく休憩する。時間を確認すると19時を過ぎていたので、ライ・ルア・ファイをやっているメコン川沿いに行くことにした。この日は18時から2隻の灯篭船が出る予定だった。

ロビーや廊下に沢山の絵画が飾られていて、非常に美的センスの良いホテルだった

さすがに19時を過ぎると、さすがに外は暗くなっている。ホテルからメコン川までは1kmちょっとなので、全然歩いて行ける距離なのだが、心配なのは野犬である。人が多い賑やかな場所ならまだしも、人がほとんどいなく暗い道だと、だいたい野犬がいる。そして、地方は暗い道が多いのだ。

イベントをやっている県庁付近までは、目の前の道をただまっすぐ行けばいいだけで、ホテルはとても立地の良い場所にあったのだが、その道を入るとすぐに犬がいて、100mくらい先から僕に向かって吠えてきた。こりゃダメだと思い、ホテルに引き返して、フロントの人に「モーターサイってないですかね?」と聞いてみたが、答えは当然「無い」だった。

しかし、たまたまそこにデリバリーか何かで来ていた女性がいて、フロントの人が「県庁の方に行くんだったら、乗せてあげたら」と言ってくれて、申し訳ないと思いながらも、乗せてもらう事にした。

1km程度の距離なので、わずか1、2分で到着。とはいえ、タダというのも失礼だからと思い、わずかな額だが渡そうとしたが、受け取ってはくれなかった。

とりあえずメインステージの予定をチェック

県庁付近は沢山の出店が出ていて、歩くのもやっとなくらい人で溢れていた。その大勢の人の間を縫って、急いでメコン川をめざす。この日のライ・ルア・ファイは18時から2隻出る予定だったので、時間的にもギリギリ間に合うかどうかというタイミングだった。

メコン川に着くと、遠くの方に船が見えた。やはり1時間過ぎてしまっていたので、間に合わなかったようだ。とは言え、メインの日は2日後なので、これはこれでしょうがないとして、メコン川沿いを散策することにした。

遠くに見えた灯篭船。電飾ではなく、本物の火を使っている。

ナコンパノムの象徴であるナーガの像を目指して歩いて行くと、徐々に音楽を演奏している音が聞こえてきた。きっと近くにステージがあるはずと、音を頼りに探してみると、ちょうどナーガの像の真下にステージがあった。

実は事前にイサーンの伝統音楽を演奏しているステージがある事は知っていたので、必ず見たいと思っていたのだが、あまり苦労せずに見つける事が出来たのはラッキーだった。

このステージではナコンパノムにある学校の生徒たちがイサーンの伝統音楽を日替わりで演奏していて、この日はターウテーン郡(อ.ท่าอุเทน)にある、創立66年目を迎えたウテーン・パッタナー学校(โรงเรียนอุเทนพัฒนา)の「シン・ティン・ヨー(วงศิลป์ถิ่นญ้อ)」というポーンラーン・グループが演奏していた。

ウテーン・パッタナー学校のポーンラーン・グループ「シン・ティン・ヨー」

演奏しているのは高等部に通う生徒達だと思われる。だいたい15~18歳くらいの年齢の学生たちがステージに上がっていた。しかし、これが学生たちの演奏とは思えないほどの高いクオリティーで、楽器の演奏はもちろん、踊りや歌も含めて非常に見応えのあるパフォーマンスを繰り広げていた。

テクニック云々に関しては、ツッコミどころがあるかもしれないが、それよりも生徒の皆が楽しそうに、そしてイサーンの伝統に対して愛情をもっている演じている事が伝わってきて、そこが何よりも良かったし、観ていた自分の心を温かいものにさせてくれた。

ケーン、ウォート、ポーンラーンのパート
リズムのパート
ピン、ベースのパート
踊りを担当する生徒たち

来るのが遅かったので、1時間ほどしか観る事が出来なかったのが残念だったけど、それでも充分満足のいくステージだった。

最後は裏方を担当していたメンバーも全員ステージに上がっての記念撮影。数えてみると総勢80名以上もいて、これだけの若者がイサーンの伝統に誇りを持ち、それを未来につなげようとしている事に、日本人としてうらやましい気持ちになった。

グループの監督も含めて全員で記念撮影

時計を見ると22時近くになっていた。そろそろメインステージが始まる頃かもしれなかったので、足早にメインステージがある方へと急いだ。

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