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問題集・参考書レビューvol.07 短期集中ゼミ 数学IAIIB

今回紹介する問題集・参考書は
「短期集中ゼミ 数学IAIIB」(福島 國光)
である。

【掲載問題数】 160テーマ

 問題数は160テーマで、テーマごとに例題・解答・アドバイス・「これで解決!」・練習問題がおよそ1ページに1テーマまとめられている。アドバイスが問題の方針や考え方の説明になっており、覚えておきたいポイントが「これで解決!」にまとめられている。 

【分野の網羅具合】 IAIIBの全範囲から入試頻出を網羅

 IAIIBの全範囲を対象に、入試頻出のテーマを厳選して1冊にまとめてある。入試に臨むにあたり、必ず一回は見たことがあるであろう問題(あるいは解いたことがある状態にしておいて欲しい問題)が分野ごとに掲載されており、頻出テーマの確認はこの一冊で対応できる網羅度と言える。一方で、基本的な問題や応用的な類題は掲載されていないため、頻出テーマのインプットや最終チェックに特化した問題集と言える。

【問題の難易度】 教科書の章末問題程度

 問題の難易度は教科書の章末問題と同程度である。難しすぎもせず、簡単すぎもしない。まさに標準的なレベルの集約となっている。教科書の内容が身についてからであれば、頻出の考え方や解き方のインプットに利用できるであろう。

【解答・解説の詳しさ】 例題は詳しめ 練習はあっさり

 テーマごとの例題解説は詳しく掲載されている。「アドバイス」で考え方や道筋を詳しく説明したり、解答中の注釈も比較的多い。自習を通じて理解を深めるには申し分ない詳しさと言える。

 一方で、練習の解答は大筋の方針にのみ言及するだけで、あとは解答が掲載されて終わりである。頻出テーマを扱っているせいもあって、別解もそれほど現れず、例題で身につけたことがちゃんと使えるようになったかの確認程度にしかならない。

【特筆すべき点】 アドバイスのわかりやすさと「これで解決!」・冊子の薄さに対する内容の充実度

 特筆すべきは、アドバイスのわかりやすさにある。理屈的な面まで完全に解説しているわけではないが、頻出の考え方をインプットするのに必要な道筋は十分示されている。また、「これで解決!」のまとめによって、テーマごとにおさえておくべきポイントがはっきりしていることも良い。

 また、この問題集は頻出テーマをほぼ網羅しているにも関わらず、そこまで分厚い問題集ではない。持ち運びしやすいということは、取り回しが効くということであり、電車移動などの隙間時間に解法のインプットをするのにも使える。

【オススメする対象】

 この問題集は、以下のような人に対してオススメできる

・教科書の学習が一通り終わり、受験対策をこれから本格的に始めたい人
・共通テスト対策が必要な人で、共通テスト特化の問題集以外を考えている人
・解法の定石などを確認したい人

【注意すべき点】

 本問題集は、もともと「10日あればいい!シリーズ」のIA・II・Bから、全260題を160題に厳選したものである。そのため、時間が十分に確保できるのであれば、各シリーズを利用してより網羅的に学習をした方が賢明である。この問題集は「頻出テーマの厳選」によって最低限のインプットや、押さえておきたい知識・考え方の最終チェックに特化していると思えば良い。

 また、この手の「厳選しました」問題集の性ではあるが、実際の入試問題で問われる応用的な問題に対応するためには、問題演習を通じて身につけた内容がどのように発揮されるのかを1つ1つ確かめる必要がある、という点には注意がいる。結局、この1冊を完璧にやったから受験対策は万全、とはならないことを、ゆめゆめ忘るるなかれ。

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