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8月29日(木)〜9月1日(日) バンドをやるしかない

8月29日(木)

新宿のスタジオでバンド練習。面子は滝本竜彦(ベース・ボーカル)、佐藤友哉(ギター)、pha(ドラムス)という3ピースの作家バンド。
こないだ海猫沢めろんさんの家で滝本さんに会ったとき、最近バンドを始めたという話を聞いて、僕もやりたい、と言って参加させてもらった。
佐藤さんとは今回が初対面だったけど気さくな感じの人だったのでよかった。「僕は普通の常識人ですよ」と言っていた。

去年からたまに一人でスタジオに行ってドラムの練習をしていたのだけど、人と合わせて叩くのは今回が初めてだった。
昔、友達とバンドをやってギターを弾いたことはあるのだけど、実はずっとドラムに憧れがあった。自分はメロディーよりもリズム向きじゃないかという気がしていた。メロディーよりもリズムのほうが、なんとなく即興でも思い浮かぶ。ギターを弾いていたときも、カッティングとかのリズム的な要素は好きだったけど、メロディーを弾くのは嫌いだった。ちなみに前にやってたのはニルヴァーナのコピーバンドで、僕はギターボーカルだった。ニルヴァーナのよいところはギターソロが全くないところだ。

練習は不安だったけど、意外と楽しくできた。滝本さんがアイデアやコンセプトを出して、その場でみんなで話しながら曲や歌詞を考えていく感じ。自分の演奏はまだまだ未熟だったけど、3人で合わせて演奏するのは楽しかった。

そもそもなぜ僕がドラムの練習を始めたかというと、なんだか全てがむなしくてやりたいことが特になかったからだ。
もう人生でやりたいことは大体やってしまった気がするし、この先にすごく楽しみなことも特にない。そんな自分が、少しでもやってみたいと思えるものはないか、心が沸き立つものはないか、と考えて、思いついたのがドラムだった。両手両足を自由に動かしてドラムを叩けるようになったらものすごく気持ちいいだろうな、と思った。

だけどそれも、若い頃のようにそれをやることでものすごくエキサイティングになる、という感じではない。音楽への憧れの残滓をかき集めれば、ようやく少しは心が動く、というくらいのものだ。だけどそんなものでもいいから利用していかないと、本当に虚無でどうしようもなくなってしまいそうだ。
結婚したり子どもがいたりしたら、もうちょっとむなしさを感じず生きていけるのだろうか、と、ときどき考える。ちょっと憧れはあるけど、うまくできないのだけど。
練習が終わったあとの居酒屋でそんな話をしたら、妻と子がいる佐藤さんは、
「妻や子どもがいて幸せな家庭があっても悩みが解決するわけじゃないですよ、結局は自分自身の問題なので」
というようなことを言った。
家に帰ってから佐藤さんがウェブで書いている連載を読んだら、まさにそういう話が書かれてあった。

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