エンシトレルビル(営業名ゾコーバ)まとめ

ゾコーバが緊急承認された、とのことで、これ絶対いろいろ問い合わせくるやつ、と思い、ざっくりメモを作りました。

〇エンシトレルビル フマル酸錠
 
営業名
ゾコーバ錠
 
適応
SARS-CoV-2による感染症
 
特徴
・医師の処方に基づいて使う薬。
・処方できる医療機関、対応できる薬局は都道府県が選定する。12月月頭迄はパキロビッド処方実績がある医療機関、薬局から選定される。その後はパキロビッド対応実績の有無は要件とされないが、選定される医療機関、薬局は多くはない見込み。
・体の中のウイルス量を減らせる。プラセボと比較しても有意に減少させる。ただし6月時点での審査では、もともと無治療でもウイルスは速やかに減ることを指摘されていることに注意が必要。
・プラセボに比較すると特定の症状をわずかに早く軽減させる。ただしその差も治験プロトコルを4回変更してようやく得られた結果であることに注意が必要。また日本人のデータではその差ですら有意ではない。
・入院、死亡をプラセボに比べて減らすデータはない。(ニルマトレルビル(パキロビッド)、モルヌピラビル(ラゲブリオ)はこれらを有意に減らす。ただし、エンシトレルビルの試験時にはそもそも重症化する割合が減っていたため、入院、死亡はプラセボ群でも低かったであろうことに留意する必要はある。)

 
・CYP3Aを強力に阻害するため、多くの薬と併用禁忌、併用注意
  例えばトリアゾラムの代謝を阻害するため、禁忌となる。本剤の症状軽減効果が高くないことを考慮すると、トリアゾラムをいったん中止して本剤を使うかどうかは十分に考慮が必要。
  カルバマゼピンは本剤の代謝酵素であるCYP3Aを誘導するため、併用禁忌だが、誘導増強されたCYPの発現状態が低下するまで時間がかかるので、カルバマゼピンを中止して本剤を服用するのは現実的ではない。
・すごく高価な薬になりそうだが、当面は自己負担なし。
・12歳以上で使える。(12歳未満での試験は未実施)
・ウサギで催奇形性等が確認されたため妊婦には使えない。
・投与中、投与後2週間は避妊が必要
・1×服用。初日3錠、2から5日目は1錠
・食後服用でTmaxが空腹時服用に比べて数時間遅れるが、AUCは低下しない。服用タイミングの規定は特にない。
・無症状者は対象外(20221122事務連絡 医療機関及び薬局への配分についてのQ&A)
・重症化リスクの有無によらず使える。(ラゲブリオ、パキロビッドは重症化リスクがある人が対象)
・4人分(28錠)包装で流通。100万人分確保とされているが、実際は25万箱と思われる。1処方1包装でないため、死蔵品、廃棄薬が大量に出る可能性がある
 理由(推定) 14錠ヒート(縦切り)2枚で1包装。7錠ヒートが間に合わなかった?
 理由(推定) 廃棄されること前提で売り上げを上げたかった?
・光には安定だが、吸湿性、硬度等は不明。服用期間は5日間と短いので一包化しても問題が生じる可能性は低そう。
 
参考資料
添付文書
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29325.html
審査報告書(1)20220617
審査報告書(2)20220712
審査報告書(3)20221115
ゾコーバ®錠 125mg による治療に係る同意説明文書
事務連絡令和4年11月22日新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(ゾコーバ錠 125mg)の医療機関及び薬局への配分について


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