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ホラー小説「ドールハウス コレクション」第2話 思い出と妄想

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注意喚起

暴力シーンや過激な表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


4.愛美 2023年4月20日

今日も放課後は彼女を拝むことにした。
学校が終わると、急いで彼女と出会った場所に向かった。
昨日と同じルートを歩いていた。
わたしは先回りして、彼女が良く撮れる位置で彼女を撮影した。

自宅に着いて、彼女の美しくて可愛い表情をゆっくり鑑賞することにした。
今日も良く写っている。
わたしは人間になったマリーの想像をしていた。

「愛美ちゃん、高校は楽しい?」
マリーは久しぶりに再会したわたしの近況が気になっていた。
「楽しいよ。写真部に入って、仲間ができたんだ。」
わたしはマリーと楽しい話をしていた。
「良かったね。私も愛美ちゃんと久しぶりに会えてうれしいよ。」
マリーは久しぶりにわたしと会えて、嬉しそうだった。
「わたしもマリーちゃんと会えてうれしいよ!」
わたしは抱きつけるくらい大きくなった等身大のマリーに抱きついた。
照れたマリーも可愛かった。
遊んでいると、疲れて眠くなっていく。
マリーは眠くなって、わたしより先に寝ちゃっている。
眠りにつくマリーの表情は美しかった。
わたしも眠くなって、眠りに落ちた。

今日の夜はマリーの想像をして、終わった。
それは楽しい夢だった。
その夢が現実になれば、嬉しい事だった。
しかし、マリーとまた遊ぶなんて二度と叶わないだろうと思っていた。
でも、マリーは人間になってわたしに会いに来てくれた。
それは奇跡だった。
きっと、神様からのプレゼントなんだ。

5.春香

昨日は数学の復習で遅くまで勉強していたから、今日の授業中は眠かった。
うとうとしていたら、隣の席のゆかりちゃんが起こしてくれて先生に怒られずに済んだ。
昼休みは愛美ちゃんに数学のわからないところを教えてもらった。
成績優秀な愛美ちゃんの説明はわかりやすかった。

帰宅して、数学の復習をした。
愛美ちゃんに教えてもらったとおりにやってみたら、すらすら解けた。

6.愛美 2023年4月22日

今日は土曜日で休みだった。
この日は朝から人形みたいに美しい彼女を追うことにした。

今日は早起きして、朝の支度を済ませてから彼女が住んでいるアパートに向かった。
わたしは彼女がアパートから出て、顔を出すのを待っていた。
しばらく待っていると、彼女が出てきた。
今日も美しい。
彼女の後を追って、歩いてみた。
どこに行くのかな?

追っていると、彼女はカフェに着いた。
そこで友達と思われる人と会話していた。
わたしは外からカメラをズームして彼女を見ていた。
にこにこ笑っていた。
彼女の笑顔は明るくて、素敵だった。
ちゃんとカメラに収めた。
カフェでコーヒーを飲んだ後、彼女はゲームセンターに行き友達とクレーンゲームを遊んでいた。
彼女は真剣そうに猫のぬいぐるみを狙っていた。
しかし、狙いは外れてしまった。
悔しそうにしながら、楽しんでいた。
あぁ、なんて彼女は可愛いんだろう。
こっそり、スマホのカメラで撮影した。

彼女はゲームセンターで遊んだ後は、洋服屋さんで一緒に買い物をしていた。
その後は、ハンバーガー屋さんで友達と昼食を取った。
彼女の口にソースが付いちゃっている。
友達に指摘されて、口を拭いた。
美人で可愛いから、ずっと見ていられる。

しかし、わたしは人の後を追っている上に、こっそり写真を撮っている。
いけないことなのは分かっているけど、彼女は小さい事大切にしていた人形のマリーに似ていて、可愛いから後を追ってまでも眺めたくなる。
こんな形だけど、マリーと新しい思い出を作れて楽しい毎日だ。

7.百合

医者を目指して大学に進学し、アパートを借りて一人暮らしを始めた。
街の中心部に近くて、いろんなものが近くにあって驚いた。
自然が広がっている私が生まれ育った町と違って、発展していてすごかった。

今日は友達と遊ぶことになった。
カフェでコーヒーとパンケーキを食べたり、ゲームセンターでクレーンゲームを遊んだりした。
その後は、洋服屋さんに行って洋服を友達と選んで買った。
可愛くておしゃれな服が売ってあって、選ぶのが楽しかった。
昼ごはんはハンバーガーを食べた。
私の家の近所は田舎だから、こういう店に行くのは久しぶりだったので注文で緊張した。

今日は楽しい一日だった。

8.愛美 2023年4月23日

今日も休みで予定が無いので、マリーに似た美しい彼女を追うことにした。
近所の人に怪しまれないようにスマホをいじるふりをしながら、彼女が住むアパートで待ち伏せして、出てくるのを待っていた。
早く可愛い顔を見せてほしいなぁ。

しばらく時間が経つと、待っていた彼女が出てきた。
今日も人形みたいに美しかった。
出てきた所を逃さず、ちゃんとカメラで撮影した。
ここ最近、彼女の写真をいっぱい撮っている。
パソコンの写真のフォルダーも満たされていく。

出かけた彼女に付いていくと、図書館に着いた。
彼女は自習コーナーでノートを広げて、勉強を始めた。
わたしは急いで、図書館の近くのコンビニでノートとシャープペンを買ってきて、自習コーナーに戻った。
彼女に気づかれにくそうな席に座って、勉強をするふりをしながら彼女を眺めていた。
真面目に勉強をしている彼女も美しい。
この表情、やっぱりマリーちゃんに似ている。

わたしは想像しながら、マリーちゃんの絵を描いていた。
マリーちゃんと温かい部屋でお昼寝したり、お話をしたり、歌を歌ったり楽しいことを想像していた。
マリーちゃんに似た彼女を遠くから見つめているだけだけど、それだけでも楽しい。
彼女を見ていると、マリーちゃんの記憶を思い出すだけではなく、新しい思い出も生まれてくる。
そのくらい、彼女は人形のマリーちゃんの雰囲気に似ていた。
彼女の高身長で人形のような容姿、憧れてしまう。

昼になると、昼食を食べに行った。
今日はうどんにするみたいだ。
彼女は熱々のうどんを口に運ぶが、「あちっ」とびっくりしてしまった。
どうやら、猫舌みたいだ。
可愛くて、見てて飽きない。

昼食を食べた後、彼女はスーパーに行って、食材とアイスを買ってからアパートに帰宅した。
その後、彼女は顔を出すことは無かった。
夕方になって、門限が近づいてきたのでわたしは帰宅した。

家に帰ってから撮影した彼女の写真を見ていた。
今日もバッチリ撮れてた。
アパートから出る彼女、美味しそうに食事をする彼女、友達と会話して笑う彼女、クレーンゲームでぬいぐるみが取れなくて悔しそうな彼女、真面目に勉強をする彼女、表情豊かで可愛い。
もし、マリーが生きている人間だったらこんな感じなのかな。
茶色のショートヘア、スラッとした高身長、美しくて可愛い顔。
その姿は本当に人形のマリーそっくりだった。

明日も学校が終わったら、彼女を見に行こう。
彼女を眺めていると、心が癒される。

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