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【Tracing the Veins】 曲目紹介④ ギヤ・カンチェリ 《18のMiniatures》

いよいよ『"Tracing the Veins" 田中慎太郎 with Phidias Trio』の公演も、今週末に迫りました!12月9日はぜひ幡ヶ谷KMアートホールへお越しください!

https://tracing-the-veins.peatix.com/

今回は、ギヤ・カンチェリの《18のMiniatures》をご紹介します。

ギヤ・カンチェリ(1935ー2019)は、ジョージア出身の作曲家です。多くの旧ソ連圏の仲間たちと同様に、その音楽が西側で注目されるようになったのは1990年以降のことでした。彼は、悲しみ、恐怖、孤独、抗議などの本質的なテーマを探求してきましたが、作品の中には郷愁や無邪気さといった要素も時折感じさせます。

彼はこう述べています。「「音楽」は、人生そのものと同じように、ロマンティシズムなしには考えられない。ロマンティシズムとは、過去、現在、未来に対する高い夢であり、無知、偏見、暴力、悪の力の上にそびえ立ち、それを征服する無敵の美の力である」。

沈黙もまた、彼の音楽を特徴づける重要な要素です。実際、カンチェリ自身、彼を最も魅了するのは「音色の出現に先立つ神秘的な沈黙」だと明言しています。カンチェリの作品の多くは、ゆったりとしたパルスによって静かに展開しますが、突然、火山のような激しい爆発によって中断されます。

交響曲や大規模な作品だけでなく、劇伴音楽も多く手がけたカンチェリ。
様々な時代に制作した戯曲や映画音楽の中から、作曲家自身が特に大切にしているテーマを選出した曲集《18のMiniatures》より、ヴァイオリン、クラリネットでそれぞれ3曲演奏します。短い瞬間の中で描かれるノスタルジックな情景や抒情的な旋律は、聴く者を内面の奥深くへと誘うことでしょう。(松岡麻衣子)

公演詳細

Tracing the Veins
田中慎太郎 with Phidias Trio

日時 2023年 12月9日(土)
15時開演 (14時半開場)
場所 KMアートホール

チケット料金 
一般3000円
学生1500円

プログラム
ギヤ・カンチェリ
・18のMiniatures より

田中慎太郎
・水理をたどって(新曲初演)
・冬の朝に
・寒茜
・時灯
・夢を花筏に乗せて

橋本信
・Late autumn(新曲初演)

ハウ・ワトキンス
・Dream

出演
Phidias Trio
松岡麻衣子(ヴァイオリン)
岩瀬龍太(クラリネット)
川村恵里佳(ピアノ)

田中慎太郎(ギター)

田中慎太郎
音の肌触り・静けさをテーマに、モダンクラシカルからアンビエント、映像作品への楽曲提供など多様な形式での制作活動を展開。2018年、堀坂有紀とのユニット「静かの基地」としてアルバム「つきのふね」をリリースする。以降、バイオリニスト新村隆慶とのデュオ「詩音李」によるアルバム「夢は真冬の追憶のうちに凍る」のリリース(2021年)、踊りと演奏によるグループ「満月カルテット」による2日間公演「明月の夜」(2022年)など、コラボレーションによる活動も多数。2022年、室内楽アンサンブルによるソロアルバム「永遠と一日」をリリース。

Phidias Trio (フィディアス・トリオ)

ヴァイオリンの松岡麻衣子、クラリネットの岩瀬龍太、ピアノの川村恵里佳により2017年に結成。これまでの主催公演では、現代の優れたクラリネット三重奏の作品を取り上げるとともに、 オーストリア、アルゼンチン、ブラジル、チリ、トルコ、韓国、日本の若手作曲家の新作を初演し、 好評を博す。また、ハニャン現代音楽祭(韓国・ソウル)や、日本作曲家協議会主催「日本の作曲 家2021」等、数々のプロジェクトに招聘されている。2021年12月に出演した日本現代音楽協会 主催「ペガサス・コンサート vol.3」の公演の模様は、NHK-FM「現代の音楽」にて、2週に渡って放送された。
https://phidias-trio.com

お問合せ phidias.trio@gmail.com

主催: Phidias Trio

https://tracing-the-veins.peatix.com/

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