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「新しい音楽を聴くとき、解説本に頼るべきか」論争

3名で運営しているディスクガイド(?)の編集会議録シリーズ。登場人物は下記。

  • 中野ゆざめ:解説本を頼りにHip hopにチャレンジ中。その記事が割と跳ねたから読んでね!バンドサウンド畑。解説本は便利派。

  • induction_heating:Hip hop素人。クラブミュージック畑で雅楽もやってる。アンチ解説本。

  • Phillsy:Hip hop素人。クラシック畑。バンドは割と聴く。アンチ解説本。

解説本を読んで、Hip hopにチャレンジし始めた。

(中野ゆざめ)記事書いたんだけど、『文化系のためのヒップホップ入門』って本を読みつつ、最近Hip hopに挑戦してるんだよね。これまでなんとなく敬遠してきたんだけども、この本のおかげで、Hip hopについて疑問に思ってたことが腑に落ちた。良書。

(Phillsy & induction_heating)おぉ〜良いね。ついに、Hip hopに本腰入れたか。

(中野ゆざめ)やっぱり、新しい音楽ジャンルにチャレンジする時は、入門書必須だよね。

(Phillsy & induction_heating)ん??

論争勃発

解説本に頼らず新しい曲を聴く。

(Phillsy)うーん、なんの根拠もない意地なんだけど、俺はとりあえず最初は、解説本読みたくない。どうしても、人って最初に目にするものに引っ張られちゃうし、著者の視点に染まっちゃう気がする。

(中野ゆざめ)この歳になると、結構価値観(音楽観?)も固まってきちゃうから、何もなしで新しいジャンルの曲聴くのは難しくない??やっぱり、何が「良い」とされているかもジャンルによって違ったりするし、魅力だったり楽しみ方だったりが「言われないとわからない」という部分は少なからずある気がする。
あとHip hopに関して言うと、こういう本読んでなければ歴史的な文脈とかの音楽以外の側面がなかなかわからなかったと思うし。

(Phillsy)うーん、自分は、新しいジャンル聴くときは、クロスオーバー的なものから入るかな。シューゲイザーとか、今では好きだけど、最初は、羊文学みたいな「音がでかいロック」から入った。

(induction_heating)それで言うと、二人とも(広義の)ロックは結構好きだと思うんだけど、ダンス畑の自分にとっては、結構新しい音楽ジャンルって感じするんだよね。
最近は、バンドものは、ライブ音源とか聴くとすんなり入ってくるなと発見した。新しいものは、本を読むよりは、こういう聴きどころを探って聴いてるかな。

(Phillsy)確かに、シン・仮面ライダーの話じゃないけど、「生」感が、バンド音楽と打ち込み音楽の違いであって、聴きどころなんだろうね。

これは僕の勝手な解釈ですけど、もしアニメーションに勝てるとしたら「肉体感」と「生っぽさ」しかないと思う。きっと庵野さんは、そういうところを探して反応してるんじゃないかな。

NHK『ドキュメント「シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション 挑戦の舞台裏~』より、池松壮亮の指摘

どうやって新しい曲と出会うか。

(中野ゆざめ)一方で、Hip hopが特に良い例なんだけど、音楽だけじゃないムーブメントだったり、複雑な文化的背景がある場合は、単に曲を聴くだけでは理解できないと思うんだよね。
Hip hopの場合、DJ、MC、ブレイクダンス、グラフィティの4要素があるわけだけど、特に後ろ2つは曲を聴いているだけじゃわからないし、音楽的にも、サンプリングやラップの評価は、そのルーツ……つまり「何のために行われているのか」を踏まえないとわかりにくい。こう考えると、Hip hopミュージック自体が、文脈を理解した上で聴くジャンルであって、曲だけ聴いてメロディがどうとか、そういうことじゃないのかもしれない。

(induction_heating)なるほどね。そういうことだと、自分はHip hopの聴き方を理解できる時がきても、好きにはなれないかもしれない。自分は、「曲との出会い」というか、いろんな曲を流し聴きしながら、「刺さる曲」を見つけるのを楽しんでるから。

(Phillsy)これは、誰しもあると思うんだけど、「ビールを好きになる瞬間」ってない?二十歳になって飲み始めは、苦いし意味わからんと思ってても、ふと仕事終わりとかに急に美味しく思う瞬間があって、以後大好きになるみたいな。別に、ビール以外でもあると思うけど。こういう瞬間を、音楽でも探したいと思ってる。
で、ある程度ビールを飲み進んだ段階で、初めてビール解説本とか買って読んで、「へぇ〜!ラガーとエールって違うんだ」って知るみたいなのが理想。

(induction_heating)ちょっと困ったなぁとか、自分のこれまで聴いた曲を体系的に整理したいってときに、解説本に手を出すってことだよね。

(Phillsy)そうそう。

Hip hop食わず嫌い。

(induction_heating)でも、ことHip hopに関しては、ジャンルがものすごく盛り上がってることは伝わってくるし、そろそろ聴いていかないといけないかな。

(中野ゆざめ)この前のCoachellaでも、ラップしてる人多かったしね。

(Phillsy)自分の素人Hip hop食わず嫌いの理由の一つとして、政治的な主張が激しいイメージがあるってのがある。「政治的な」ってのは、選挙とか国政とかじゃなくて、「個人的なことは政治的なことである」の方の広義の意味で。

(中野ゆざめ)この本によると、Hip hop自体が、マイノリティのコミュニティでみんなが思ってる不満感とかを代弁しようとするものだから、主義主張が含まれるのは必然的らしい。

(induction_heating)人種を背景とした緊張関係のあるアメリカと違って、その「みんな」っていうのが日本でどう線引きされるのかわからない。

(Phillsy)そもそもTwitter2.0的なというか、自分は、(それが善いことかはさておき)音楽を聴く時に、思想とか政治とか、そういうものが入ってきて欲しくないっていう気持ちがある。

(induction_heating)うーん、ここまで、「なんでHip hopがいまいち自分には理解できないのか」は理解できてきたけど、まだ食指が伸びるには今一歩だなぁ。

(Phillsy)Hip hop勉強合宿でもしないといけないかしら。みなさん御用達のMusicmapとか見ながら、自分との接点を探して行きますかね。

(induction_heating)こう見ると、レゲエとかのジャマイカ音楽と、ブレイクビーツ/ドラムンベースとかと近縁だね。自分の守備範囲のEDMの関わりで言えば、サンプリングはHip hopが起源って言われてるし、DJがいるっていう共通点もあるし、その辺からも攻められそう。

(Phillsy)これまで、全然聴いてこなかったから、どう手をつけていいかわからないな……。

(induction_heating)自分が敬遠してきたからこその、実はいけるんじゃないかというひねくれた期待感がある。よく飲兵衛が日本酒嫌いの人に言う、「おいしい日本酒を飲めば好きになるよ」的な。あとは、JPEGMAFIAの新譜とかは聴きやすかったから、その辺から攻めてくかな。

(今回の書記:Phillsy)

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