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2024年4月28日投開票の、衆議院東京15区補欠選挙における選挙妨害について

①2024年4月28日は、東京15区の衆院補欠選挙が行なわれました。今回の選挙では、つばさの党の候補者と支持者による、大規模な選挙妨害が行なわれました。これは私たちの社会に悪影響を与えますし、受験でも問われる可能性があります。まとめてみましょう。

②東京15区で何が行なわれたかについては、選挙ウォッチャーのちだいさんのnoteが詳しいです。つばさの党は対立候補に対し拡声器で演説をじゃましたり、「質問」と称して事務所に大声を出したり、対立候補のスタッフに暴力を振るったりしました。
https://note.com/chidaism/n/na7b1acbb6edc

③公職選挙法には「選挙の自由妨害罪」が規定されており、懲役、罰金刑が課されます。ではなぜつばさの党はこうした行為を行なうのでしょうか。それは彼らも供託金を払い、立候補しているためです。彼らの言い分では、他者の妨害も「選挙活動」なのです。

④選挙の自由妨害罪で罰金刑以上が課せられた場合、公民権停止となり、立候補も投票もできなくなります。これはまっとうな候補者なら大きなマイナスですが、彼らには痛くもかゆくもありません。なぜなら彼らは当選するつもりがなく、投票できなくてもよいからです。

⑤彼らが狙っているのは一つ、お金です。こうした騒ぎを動画サイトにアップし、収益を得るのが目的なのです。また候補者本人も、こうした行為を「ビジネスにしよう」と発言しています。https://twitter.com/kataokamasashi/status/1782317308595319056

⑥ネットには、こうした行為が大手を振って行なわれるのは、左翼のせいだ、いや右翼のせいだと、いろいろな意見が挙がっています。ですが私はどちらでもなく、ちだいさんが述べているように、N国がやって来たことや迷惑系ユーチューバーの延長線上にあると思います。

⑦もともとつばさの党の党首は、N国の幹事長を務めていましたが、コロナワクチンへの対応をめぐって袂を分かっています。ですが倫理観のない派手な行動を動画で配信し、注目を集める(収益をあげる)方法は、N国と共通しています。

⑧ではこうした行為はどこが問題なのでしょうか。第一に、「公正な選挙が行なわれなくなると、民主主義が成立しなくなる」ことです。歴史の中でさまざまな選挙妨害が行なわれてきましたが、その多くは特定の勢力が権力を独占するためのものでした。

⑨例えばナチスは、1933年3月の選挙で大規模な選挙妨害を行ないました。選挙直前に国会議事堂が放火されたことを口実に、暴力で対立陣営の支持者を逮捕しました。この後ナチスは全権委任法を成立させ、ヒトラーが全ての権力を握ります。https://president.jp/articles/-/72794

⑩ある勢力が権力を独占すると、その勢力の仲間だけが利益を得て、それ以外の人々の人権は抑圧されます。ミャンマーや北朝鮮を思い出してみましょう。選挙妨害を許容・黙認することは、私たちの自由や人権が奪われることにつながるのです。

⑪第二に、「お金のためなら何をやってもよい」世の中になってしまうことです。妨害を行なっている側は、自由や権利を主張していますが、本当の目的はお金です。「ビジネスにしたい」という候補者の言葉は、まさに彼らの本音を示しています。

⑫すでに現在の世の中では、「倫理や社会正義に反していても、金を稼いだ人が勝者」という考え方が広まっています。見てきた通り、選挙妨害は私たちの社会を破壊する危険性を持っていますが、金によってそれが正当化されてしまう可能性があるのです。

⑬選挙のしくみを壊すのは、今回の例を見ればとても簡単なのがわかります。ですが彼らがわずかな金を稼ぐために破壊した秩序やシステムを修復するのには、とても多くの時間とコストがかかります。きわめて不均衡な構図になっているのです。

⑭ですから、こうした秩序やシステムに対する破壊行為は、小さなうちに止める必要があるのです。さもなくば、私たちは法が通用しない社会、経済システムが成り立たない社会で暮らさなくてはならなくなるかもしれないのです。

⑮では私たちはどうすればよいのでしょうか。まず「面白がる」ことをやめることです。どうせ投票しても何も変わらないのなら、面白そうな連中に投票しようという考えがあります。それがガーシーを生みましたが、彼は私たちにどんな利益をもたらしたでしょうか。

⑯次に、「選挙のシステムをあきらめない」ことです。確かに現在の選挙システムはベストではありません。ですが公正な選挙が行なわれなければ、私たちは選択することすらできなくなってしまいます。選挙のルールを堅持することが必要なのです。

⑰そして、投票して終わりにするのではなく、選ばれた人を監視することも重要です。選ばれた人が不正をしていないか、有権者を裏切っていないかをきちんと監視できれば、政治不信も多少は減るのではないでしょうか。

⑱忘れてはいけないのは、中学受験は「秩序」がないと成り立たないことです。受験生も、その親も、「秩序」を破壊する側になってはいけないでしょう。

⑲そして受験では、こうした選挙の妨害行為にはどんな問題があるか、どんな未来をもたらすかが問われるでしょう。こうしたことを考えるために、これら一連の発言を役立てていただきたいと思います。

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