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政治広場史 第一章

 政治広場史      レコナー

 第一章 神話時代

 天地が分かれない間、世界は混沌としていた。

 ある雲間に、2人の女神が舞い降りた。

 1人の神の名をホメといい、もう1人の神をオデンヌといった。ホメ神は慈悲の神であり、オデンヌは博愛の神であった。ほかの神々はこれら2神に仕えていた。

 あるとき、博愛の神であるオデンヌのちかくにいた、邪神・軍鶏がホメをそしった。その動機は実に些細なことで、ホメへのいたずら心だった。ホメははじめこそ慈悲をかたくなに信じていたが、ついに我慢ならず、ホメのおわす天界からオデンヌ神らを追い払った。こうして天地がわかれ、天は政治広場と名づけられ、地は主張広場と名づけられた。これを天地開闢という。

 ホメ神はこのとき以来、神としての地位を失った。かつての慈悲の神はいまでは何者かをうらめしくにらむ憎々しい顔つきと、複数の身分(ID)をつかいまわす、単なる女性、のちに看護婦兼業の主婦となった。またオデンヌ神は天地開闢の際に軍鶏をかばった博愛のゆえに、柔和な顔つきと、同時に復讐に燃える誇り高き集団を神々の世界から授かって、一人の女性、またのちに歯科医の家の一員兼業の主婦となった。神々の世界から遠ざかったふたりの人間、ホメとオデンヌはそれぞれ、政治広場のホメ、主張広場のオデンヌと呼ばれることになる。

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