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公式マガジン『東京マサラ部、インドをつくる』

インドに行けない僕らが東京にインドを作り上げるまでの挑戦の記録。 カレーは手段ではなく、常に目的である。カレーを作り、カレーを食べ、カレーについて考え続ける。都内某所に存在する… もっと読む
・カレーシェアハウスのヒト、コミュニティ、家についてクローズドで配信します。 ・東京マサラ部室の活… もっと詳しく
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随時更新:『東京マサラ部、インドを作る』のガイドブック [index]

旅に出られない僕たちが東京にインドを作るために始めたカレーシェアハウス東京マサラ部室ですが、早いもので設立より半年が経過しました。まだまだインドは完成していませんが、少しずつカレープレイヤーの集まる場として機能し始めています。数字で言えば、いままでに500を超えるカレーが作られ、来客述べ人数は100人を超えました。 カレーシェアハウスで生み出されたカレー、遊びに来てくれた人、カレーの基礎研究レポートについて発信するカレーシェアハウス公式マガジン『東京マサラ部、インドを作る』

#6 パキスタンに行ってサリサリカリーを探した話(パキスタン家庭カレーのレシピ付き)

毎週月曜更新、勝手にカレー哲学。 先日パキスタンに行ってきた。一週間程度の短い旅だったが、同行者がパキスタン腹(腸内環境アップデート)を発症したり、帰り際にインド側とドンパチが始まり飛行機が欠航するなど波乱万丈の体験であった。カラチの家庭にお邪魔したらジャーナリストがいて、ずっとカメラを回され、パキスタンのTVにも出たらしい。(確認していないが) 家庭もいくつか訪問させていただき、レストランも数軒回った。インドにおいて最上の料理はレストランではなく家庭にあるというのが定石

71杯のチャイから見るインド #印度乳業

インド滞在で飲んだチャイを数えてみたら71杯だった。チャイを通してみたインド旅の景色を少しお裾わけしてみようと思う。 インドでは暮らしと共にある「チャイ」という庶民の飲み物。チャイのあるところに人が集い、心緩む瞬間にはいつもチャイがある。 チャイというのは本来は単に「茶」のことを指す言葉だが、日本ではインド式のスパイスの入った煮出しミルクティーのことを連想するだろう。ちなみにインドではスパイスの入ったチャイはあまり一般的ではなく、入っていても生姜とカルダモンくらい。あえて

えるしっているか いんどじんは あついものしか のまない  #印度乳業

吉祥寺のクラフトミルクスタンド武蔵野デーリーさんとコラボし、「印度乳業」という屋号で、インド料理と牛乳飲料を提供する屋台活動を京都市内で始める。デビューはゴールデンウィーク、京都周遊アコフェスでチャイを売ることになった。屋号にはインドの牛乳文化へのリスペクトを根本に込め、牛乳のおいしさや活用方法を提案して伝えていきたいのだが、いきなりインドでは飲まれない飲み物を開発している。それはアイスチャイだ。 京都でなぜ屋台をやることになったのか、そもそも屋台とは何か、インドの牛乳文化

京都でインド活動を開始しました #カレーだいしゅき手記

葉桜ばっかりになってきた春です。京都はもう初夏のようです。京都に引っ越して活動を開始したのでメンバーシップ参加者向けにご報告と、このnoteでこれから書いていくことの所信表明。 会社を辞めてから大学院を受験して合格し、この春から大学院生というやつをやり始めた。京都・羅生門跡地に程近い与冒庵という物件に引っ越し、インド料理研究活動も再開。京都の町屋は大体そうだが一階の日当たりが悪い。ここに引っ越してきてから何やかんや10日くらい経った。 一週間だけ大学院生というのをやってみ

コルカタのビリヤニについて

ビリヤニにはさまざまなスタイルが存在する。中でもバスマティライスを使用しているものだとハイデラバード、デリー、ラクナウ、コルカタが特に有名だろうか。コルカタにしばらく滞在してコルカタスタイルのビリヤニを食べてきた体験を元に、コルカタのビリヤニにフォーカスして掘り下げてみよう。コルカタのビリヤニの特徴、なぜジャガイモを入れるのか、ハイデラバーディビリヤニとの違いなど。 コルカタビリヤニの特徴コルカタのビリヤニがしゅきだ。しゅきしゅきだいしゅき。少し甘くてシンプルな味付けだが、

オリッサはメシウマ州だ #カレーだいしゅき手記

今回のインド旅でコルカタの次に訪れたのはオリッサ州プリーだった。プリーは海辺の古い街でジャガンナート寺院で有名な古都だ。オリッサには一週間くらいしかいなかったけど基本的にメシうまだった、ということを伝えたい。 オリッサの食については以前1ヶ月調査したときに色々作ったのだが実際に現地で食べた食事は思った以上に美味しかった。 夜行バスでコルカタから一晩でたどり着き、降りた瞬間に耳元で「オートリキシャ?」って日本語のイントネーションで言ってきたやつがいて笑いそうになった。悪魔の

カシミールピンクチャイ試行錯誤メモ #カレーだいしゅき手記

インドとパキスタンにまたがるカシミール地方にはピンク色のチャイがある。チャイと言っても緑茶を長時間煮込み、重曹でpHを調整し酸化させ、仕上げに牛乳を加えることでピンク色にするというものだ。 一ヶ月ほどカシミール料理研究をしていた時、女性陣を中心にやたら盛り上がっていた。それももはや2年くらい前だが、今更になってカシミールピンクチャイをつくってみた。 参考にしたnote(いわゆるdoya.レポート) 今回は吉祥寺のクラフトミルクスタンド武蔵野デーリーさんの牛乳を使わせてい

嘘から出たマサランド。 トーキョーマサランドをShibuya Sakura Stageで開催します! #イベント告知

インドから日本に戻ったのもつかの間、確定申告の闇に飲まれておりましてnoteが更新できませんでした。言い訳せずに書きましょう。 日本は忙しくて便利な国だが、寒くて色合いも乏しい。やっぱりインドと日本は別の国なんだということを、今回のインド渡航で改めて実感しました。 一番印象的だったのはタンジャイミールスのShankarさんの実家に行った時。Thanjavurという古都の村の方にあり、中心からバスで1時間ほど。お姉さんと近所の主婦、小さな子供たちがもてなしてくれたのですが野

コルカタで印象的だった食べ物と旅の8つの断片 #カレーだいしゅき手記

時間の流れは主観的に経験され、それは出来事の単位でできている。出来事とはつまり食べ物のことである。よって旅の経過は食べ物によってのみ認識され記憶に刻まれる。そうして出会った食べ物たちを通して、このコルカタの地の文化の広がりと、そこに根付いた複雑な経緯を辿ってきた歴史にわずかながら触れた気になった。 旅は単なる消費行動なのか。それはお前のちょっとした態度や姿勢によって変わる。自らの手を動かして何かを作り出すことだけが創造的な行為ではないはずだ。 全ての食体験は、過去と現在を

シャンティニケトンで出会った田舎のベンガル料理 #カレーだいしゅき手記

シャンティニケトンはインドの西ベンガル州に位置し、コルカタからは北西に位置する。インド国歌とバングラデシュ国歌の作詞者であるラビンドラナート・タゴールによって設立されたビシュヴァバーティ大学があり、街全体が世界文化遺産に指定されている。大学のキャンパスがある街というよりは、街全体が大学であり、その中に街があるという状況らしい。どういうこと。 シャンティニケトンとタゴールには以前から関心を寄せていて、かなり前にKindleで買ったこの本を読んでいた。著者はプロビール・ビカシュ

コルカタホームステイで学んだ家庭伝統ベンガル料理12選 #レシピ

無職になったしインドでも行くか、と思って旅に出て、いまはコルカタにおる。たまたまひょんな縁でコルカタに25年以上住んでいる日本人のドン的な方を紹介してもらうことができ、日本語教師のSubhaさんの家庭でホームステイをさせてもらった。Subhaさんは教員ということと日本語がわかるということが影響しているのかとても面倒見が良く、笑い方は日本人のよう。 コルカタは人々も穏やかだし文化と芸術に満ちている。デリーが政治的な中心地でムンバイが経済の中心地だとしたら、コルカタは文化の中心

東インドから南インドを陸路で抜ける

無職になったのでちょっとインド行ってくる。ものを書く人であり続けるために暇な時はとにかく書きたい。いま目撃していることは世界にとって最も新しい出来事だ。ただ、書くことが己の体験を侵食してしまうということは忘れてはならない。何事も純粋に味わえなくなる。それはある種卑しい態度だと思う。極端に言えばスマートフォンを掲げながらライブ鑑賞をするようなものだが、それによって一回性に宿るアウラは別に失われるものではないとも同時に思う。 コルカタinチェンナイoutでいきます。今回初めてバ

キッチンの歴史 #カレースタディーノート

ビーウィルソン『キッチンの歴史』が面白かったので読書メモと内容の要約を書いておく。カレーとは直接の関係はなく文脈の本ではあるが、内容は応用できる部分も多いのではないか。月並みな感想だが、古今東西あらゆるトピックが登場するため読み応えがある。食文化研究という意味では大変参考になりそうな文献。10年前の本ではあるがツイッターやスマートフォンなどハイテクな単語も登場し、キッチンから見た人類史をざっと見返せる良本。 本の概要・個人的思考と思われているものの多くが、実はテクノロジーの