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沖縄東村にインドをつくる!村の食材でつくる、朝採れバナナリーフミールスパーティ #カレーだいしゅき手記

東村は沖縄本島北部のいわゆる「やんばる」地区に位置し、パイナップルが有名な人口1800程度の小さな村だ。

昨年のヒージャー(ヤギ)ビリヤニイベントで地元の青年会と繋がったことがきっかけとなり、今年も地元の食材をスパイスで料理し、村でとれたてのバナナリーフの上にのせてミールスを食べてもらうことになった。

沖縄の食材は熱帯の気候もあってスパイス料理と相性が良く、最近ではインド料理店も急速に増えてきている。

しかし東村は小さな村で、夜は電灯も全くなく真っ暗になるし、最寄りのコンビニまでは車で数十分かかるような場所だ。飲食店は小さな食堂が二つある程度で、インド料理を食べられるような場所はない。村の人たちにいつもの馴染みの食材の意外な一面を体験してもらうことが一つの目標であったが、どうだったのだろうか。

スーツケースを開けられたらやばい


東村では、お皿も食材も全て地元で調達できる

スパイス以外は現地で調達できるのがよいところ。

ジャングルだぁ

沖縄ではあらゆるところにバナナが生えているため、ミールスのお皿となるバナナの葉には困らない。自宅や畑のすみっこの余りの土地に植えてあることも多く、車で走っていると道端によく見かけるのだが、日差しからバナナの実を守るために必要で除去できず、台風が来ると葉はボロボロになってしまう。だからあまり普段からお皿として使えるようなものではないらしい。

材料となる野菜たちも地元の農家さんやファーマーズマーケットから、たくさん手に入れることができた。

例を挙げるとキリがないが、へちま(ナーベラ)、マンゴー、ハイビスカスの花、ゴーヤ、キャッサバ、パパイヤ、青マンゴー、沖縄の魚、シークワーサー、もずく、レモングラス、グアバ、バタフライピー、空芯菜、モロヘイヤ、廃鶏、パイトン、海ぶどう、カレーリーフ、しいたけ、にんにく、ガランガル、サラダへちま、紅芋、玉ねぎ、うずら豆…など。どれも格安か無料で手に入れられたものだ。

強い日差しを受けて育った沖縄の野菜からは生命力を感じる。ウリやヘチマはインドでもよく食べられているものだし、新鮮なマンゴーやパパイヤが格安で手に入るのも嬉しい。

他にもスパイスとして使えそうな面白いものがいくつかあった。

途中で立ち寄った名護のファーマーズマーケットやうるま市のうるマルシェでは、月桃の葉にくるまれた「じゅーしー(炊き込みご飯)」と「むーちー(どぅるどぅるのもち)」を見かけた。月桃はショウガ科の植物で、生姜や胡椒っぽいスパイシーな香りと甘やかな香りが同居している。赤い実がなり、系統は少し違うが国産のカルダモンの代用として使える。

ジューシー
むーちー

また、沖縄ではヒバーチや島コショウという名前でロングペッパーが至る所で育てられている。古代インドでもロングペッパーは簡単に育つことから胡椒の普及前には広く使われていたらしい。

葉っぱも売っていて、ちぎって嗅いでみると何やら面白い香りがする。軽く油でテンパリングして引き出してやると香りが立つのでこれも料理に使ってみることになった。

公民館の調理室をお借りして、通算20種類程度の料理を完成させた。昨年は自分達の賄いとして料理を作りまくったのだが、それを村の人たちにも味わってもらおうという趣旨。

調理が終わった後は現地メンバーの実家のテントサウナにお邪魔した。テントの中にストーブが設置してあり、薪を燃やすと温まる。背もたれのない木のベンチが置いており、4人も入るといっぱいになるのだが、ぎゅうぎゅうになりながら汗をかく。
ローズマリーのアロマが含まれた水をストーブにかけることで蒸気が立ち、温度が一気に上がる。

外はとても蒸し暑かったのに、熱いサウナに入ると体感温度は下がる。山がちな東村は、そもそも夜になると涼しくなるという。

ビニールプールの深い壺型の水風呂に入り、椅子に横たわる。東村でとれたパイナップルシロップのソーダを飲み空を見上げると星の数が多い。夜の明かりもほとんどない東村では星がたくさん見える。無職になったのに何やかんやと忙しない日々を送っていた自分は、このとき初めてちゃんと休めた気がした。

村の人たちを招待し、バナナリーフカレーパーティ本番

軽トラックに乗せられて、朝採れたばかりのバナナリーフが勢揃いした。

合計で30人ほどの人々に寄ってたかって料理をサーブしミールスを食べてもらった。今回は細かいことは言わず、地元の食材でインスピレーションを受けてその場で作ったスパイス料理をバナナリーフの上に乗せて食べてもらうという趣旨。

今回は地元のバナナ農家の方がありがたく譲ってくださり、ぴちぴちの朝とれバナナリーフは香りも最高だった。

地元のものばかりなので食材には馴染みがあるのに、味は食べたことのないものばっかりという声もいただいた。村長さんともご挨拶したが、果敢にも手食にチャレンジしてくださっていた。

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