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Thank you 大拙

夫が、一晩で、50万円使ってきた

簡単に言うとそれだけのことである。
泥酔した挙句ぼったくりバーかキャバクラか
まあそんな感じのお店で記憶が飛んでる間にカード切ってたらしい、
簡単に言うとね。
割と巷にありふれた話である。
ありふれた話だけどまさか自分の身内でそんなことが起こるとは思ってもみなかった。
そもそもそんなところに出入りするタイプの人だと思ってなかった。
20年以上一緒にいても分からないものなのね。

早朝3時と5時にクレジットご利用のお知らせのメールが来ていたのを見つけたときの私の衝撃を想像してみてほしい。
始めて血の気が引く音を聞いた(笑)
いや笑えない、笑えない。
今回は痛い出費だけどいい教訓だと思って家族でまた頑張って行こうね!
なんて思えるかボケ。

さてこの事実が発覚して私の頭の中では緊急脳内会議が招集された。

議題1:金銭的補填
夫も大いに反省していて自分に掛かるコストの削減案を出してきた。
しかしどう考えても家計からの出費も削減せざるを得ない。
ちょうど無駄遣いを見直すいい機会だね!なんて思えるかボケ(2回目)
頭にきてるから目に見えるかたちで節約しようと思う。
例えば、これまでから揚げ5個だったのを3個にするとかね。

議題2:離婚は選択肢になりえるか
一応最悪のケースもシミュレーションしたが結論は現時点ではメリットよりもデメリットの方が多いと判断。
金銭的にも損害が今判明している50万円だけならなんとかやりくりは出来る。また離婚したところで夫の収入から慰謝料も養育費もこちらの希望の額は払えないだろうし一緒にいることで育児家事の半分を負担してもらえる方がメリットは大きい。ただ子供が大きくなったり、想像したくないがこれ以上の損害があった場合は要再検討。

議題3:私の気持ち
これが一番やっかい。
夫は平謝りである。そりゃそうだろうよ。
おいおい泣いて怒鳴り散らす私に恐れをなして土下座しようとしたが、察した私が阻止した。
そんなパフォーマンスいらんねん。
でもどんな形であれ謝ったらゆるさないといけないのだろうか。
あちらは謝ってることで少しずつ罪悪感を流しているのだろうけどこちらはそんなにすぐに受け止められない。
夫は自分のしでかしたことだから受け入れられるだろう。
でも私は完全に巻き込まれただけである。
私は夫が50万もぼったくられている間家で子供とすやすや眠っていただけだ。
仕方ないですね~で済ませられるかボケ(3回目)
そして最大の問題は夫への信頼が完全に揺らいでしまったことである。
詳細は割愛するが夫は私に嘘をついていた。
まずそこに激怒したし失望した。
お金の信用がない人と会社の共同経営出来ますかって話だし、寝食を共にする相手を欺こうとした人と暮らせますかって話。

そんなこんなを2,3日の間ずっと考えていたら当然情緒もぶっ壊れて、涙腺もぶっ壊れて気軽に涙がでるようになってしまった。

そんな時にちょうど手元にあったのがこちらの本

始めて大拙さんを知ったのは私の尊敬する星野源さんがラジオで金沢の鈴木大拙館に行ったお話をされていたから。
そしてその金沢旅行で感じたことが新曲の光の跡にも影響していると聞いた。その時から大拙さんの本を読みたいと思っていて実は一度別の著書を読んでみようとしたのだけれど、私には内容が難しすぎて途中で挫折してしまった。そこからの大拙ふたたびである。

はじめての大拙というタイトル通り大拙さんの言葉が5つのジャンル別に日常的な言葉でピックアップされ編まれていた。

読んでみていくつかビビっとくる言葉があった。
日記に書き留めたものもある。
ここにそれらを紹介するのは簡単だけど、この本はそれを望んでいないような気がするので書きません。
ただ一つだけ、編者の大熊玄さんが『はじめに』で書かれている内容がとても素晴らしい。
大熊さんは大拙を「専門性の高い凝縮された知識をほぐして”普通の言葉”で語る達人」だと述べていらっしゃるが、大熊さんご自身もその普通の言葉を私たち読者へ伝える達人だと思いました。

きっとこの本はこれから私の生活の中で折に触れて対話する事になるメンターのような存在になるのかしら?なんて思っている。

実際この数日の修羅場で、考えすぎてパニックになりそうな時に大拙さんの言葉を読みその言葉の先を想うことで何度も冷静になれた。

サンキュー大拙。
ピンチを救ってくれてありがとう。
これからもお世話になります。

星野さんも行った金沢の鈴木大拙館に私も行く。

そして大拙さんの言葉と同じぐらい荒ぶる私の心をなだめてくれたのがこの曲

それまでもうっすらとは思っていたが、光の跡に関しても歌詞やインタビュー記事などから禅の考え方と共鳴するところがいくつかあると思っていた。諸行無常、諦観、死生観と言ったワードがこの曲からは感じられる。

いつかその点についても書きたいと思っているけどそれは私がもう少し大拙と対話したあとになりそうです。

家人の失態からの着地が星野源。
離れ技すぎる(笑)

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