未来の天才或いは廃人たる狂人の文学作品と手記/全てのピストルを持たない抵抗と人間革命の…

未来の天才或いは廃人たる狂人の文学作品と手記/全てのピストルを持たない抵抗と人間革命の為の頌歌/愛、罪、信仰、芸術、革命

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【短篇小説】死なない為の葬送

 この文章はフィクションである。登場人物は実在の人物とは関係がない。ただし画家、現代アート作家、歌手と政治家はその限りではない。  ゼロ年代なんてクソだった。イラク戦争反戦歌なんて、どのバンドも歌わなかった。小泉は堂々と靖国を参拝し、ブッシュは十字軍だと言ってイラクを攻撃した。日本はイラクに自衛隊を派兵した。皆はセカチューとmixiに夢中で、反戦運動の「は」の字もなかった。純愛映画で冷めた時代の中で、ただ俺一人が怒っていた。俺が世界を救わなきゃいけない気がしていた。その重圧に

    • 【詩】革命児

       アンドロイドは聖別された魔女達の夢を見る。中華民国は遥かな文明を偉大な血を払って更新する。大和の姫子、祭り事以て統治せよ。アラビアの硝煙はこの国に届かない。手紙としてのミサイルは頭上を素通りして血気旺んな若者は夢を見ない。私の闘争の果てに何があるのか見えない。果てのない峨々たる連山が聳えている。英雄は皆、胎児だった。未来の英雄を侮蔑するなかれ。神仏が雲霞月卿の如く掌を合わせる。閃光。雷電。眠りを覚ませ、同胞。未聞の富と栄誉。求めたものは全て手に入る。君は求めていないか、求め

      • 【詩】僕等は夏に色々仮託し過ぎ、それはそう、それはそうと

        悲しみが悲しみとしてある為に悲しむ よく分からないんだ、君の言ってる事 よく分からないんだ、僕が考えてる事 大人になったら 大人になった時にそういった 悲しみや虚しさを知るのだろうか 夏を追いかけていくから光る 汗も花火もアクエリも光る 手を動かしていればできる 自分で山積みにしてしまった宿題とか 前世から積読のままにしたカルマの 答え合わせとか あの死んでしまった人達への追悼とか 全然望んでない事: 退屈、勉強、訓練、孤独 加齢、改悪、生産、労働 説明、訂正、詳細、確認

        • 【詩】何や良う分からんけど

           絵描きは狂ったように、火傷をした手で親友との平凡な日常を描くのだろうか。その後に、全細胞の憎しみを込めて「地獄変」や「残響のテロル」を描くのか。その時彼等は鬼になる。私は鬼の物語が見たい。私は映画をあまり見なかった。鬼神も哭かん夏の夜半、陣雲暗き五丈原に今、諸葛亮は死に行かんとしている。私は、酩酊した鬼は、眠りから醒めて全員救わせろと言う。お前もお前もお前も、全員救わせろ。表現者の復讐は内側を、政治は外側を救え。錯乱して吐血すれば赤い絵の具で薔薇を描こう。もう帰って来ない人

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        【短篇小説】死なない為の葬送

          【歌集】信仰

          病める身の今際の苦悶癒されよ正法滅びゆかむ憂世の 元品の無明断ち切れ愚かさの故に病の蔓延せしや 爆破した昭和六十一年のチェルノブイリとバブルと彗星 戦闘歌令和三年十月の魑魅魍魎も纏めて食らふ 秋深く濁れる水の月光に澄めば最期の決戦成るか 人間の仮装をしてる化け物も元に戻ろう国動かそう 信念の血を流さない戦争が俺とお前と国を揺るがす 八百年人類夢に見し事をあはれ吾等の無血闘争 焦燥と春愁秋思不安絶ち我が前進はまだ鳴り止まず 野干等に暗殺された彼の王子師子王一度

          【歌集】信仰

          【短歌十首】秋の蝶

          気怠げな真夏の蝉の絶唱は土に帰りて秋の夜になる 透明な深い青空澄み渡るこの一刻の君の心は 玲瓏な秋の全てがここにあるロワール地方に勝るこの街 おざなりに貴女は僕を甘やかす肉の汚辱を清める浴槽 人々はいつもそれらに手を伸ばすガラスでできた偽の宝石 雨がもし宝石ならば綺麗だが道に溜まるし当たると痛い 君の眼は神秘湛える星だつた吾が魂をな嫌ひ給ひそ エジプトの古代四千年前の詩人何を心思はむや 虫の音の大劇場の楽団は秋の星座と月祝福す 散る桜染まる紅葉の潔さ命燃やさ

          【短歌十首】秋の蝶

          【歌集】月影

          月蝕 咲いて散り満ちては欠ける輪廻の輪常住壊空の永劫の時 月天子宇宙の不思議人類が滅びし後も何をぞ映す 常しへに微笑し黙す月輪は生まれ変わりて何をぞ問はむ 永遠に死ねぬのならば何事かこの世で成すべき果たすべきかは 月蝕の如く蝕む我が身かな新たな現世この身授けよ 中秋無月 風の吹く中秋無月心思虫の音のみぞ高く響ける 無月なる心の鏡曇る夜は彼の人の事更に思はじ 月天子星々日天胸中におはしますれば吾が身宇宙か 明月 明月のあらまほしさは澄み渡る天から下界を如何

          【歌集】月影

          【歌集】コロナ禍にて

          あの空が輝く頃に戦時下の卒業式で泣かないでよね 病室に心電図の音響く時疲れた医者は何を問うのか 苦しみの果ての命の絶えんとす面会謝絶会えない二人 愛してる嘘だと言ってお願いよあなたみたいな人がどうして 茫然と立ち尽くす夏騒がしい世間のニュース死なないでよね 死の影を素知らぬ顔で通り過ぎ明日は我が身の不慣れな自信 安全な表情隠す防護膜捨てたみたいにマスク落ちてる お前さへ生きてゐたなら其れで良いさう云ひ残しつと絶命し 天命を全うできぬ者達の墓石が並び歌ふ虫の音

          【歌集】コロナ禍にて

          【歌集】平和あれ

          皮爛れ水を飢えて彷徨える人群の中母をば探す 焼け焦げた街を逃れて疎開する少女の瞳に映る残像 瞬間に阿鼻地獄なる現実の影の吾れ等の背後に迫る 数十億死せど恐らく麻痺したる惰眠貪る吾が神経の 焼け焦げる北半球の列島で何も言えない言葉が出ない 広島で二十歳の夏の原爆忌余りに悲惨で考えられない 原爆忌祈りの向こうそれはある絶えてしまった思い出の群れ 壊れたる心持て余し夏の空火薬の音が遠く喧しい 狂ひたる天下泰平天晴れな吾狂人ぞ何も云はすな 祭礼は銀河の彼方聞き飽きて

          【歌集】平和あれ

          【歌集】心思 − うらおもい

          耐え切れずあの日の星を銃殺す生き血の滲んだ幼い憧憬 惜春の燕が低く飛ぶ午後はレゾンデートルふっと思いて ごめんやでほんまごめんな堪忍な何ぼあんたが許す言うても おやすみのキスとハグとで安らいだ幼い僕の星屑の夢 堕落せし薄汚れたるボロ切れの内に潜んだダイヤの塊 貴様には判らぬだらう永劫に判る必要などもないがな 自死したる輩ありて沮喪せる吾を励ます友のありし日 生死をも美醜で分ける理不尽さお前の見つけし光のありしや 誰が為に言の葉一つ笹舟に海迄行けよ遠き陸地に

          【歌集】心思 − うらおもい

          【歌集】泡沫の日々

          罪の無き顔をして居り少年のその寂寞のその宿命を 死を以ちて償へし事有る無しを醒めた目を以て問ふ少年の 許し合ふ醒めた心のテロリストいつそ死ねればどんなに楽かと 澄み渡る裁きの春の天空に凧揚げしたる子らの歓声 面白いああ面白い面白い兎角おもろい面白きかな 貧しさは引き金となる犯罪の故に恵めと国脅す如 百均で扇子なんぞを選び居る我に地獄の熱を送れよ 寂れたる中華料理屋老店主テレビに出し事得意気に云ふ 食べつつも病や過去を思ひつつ心の中を読まれし気のして 無機質に

          【歌集】泡沫の日々

          【短篇小説】【随筆】Oamaru

           19歳の夏休み、オーストラリアとニュージーランドを旅行した時のこと。幼い頃にコペル21という子供向けの科学雑誌で読んだ、球体の巨大な岩が波打ち際にいくつも転がる絶景、モエラキ・ボルダーズが観たくて、そこに近いオマルーという小さな街に滞在した。  石灰岩でできた建物が建ち並ぶ玩具のような街並みだった。南半球のニュージーランドは当然冬で、少し肌寒く、ジャケットを羽織って僕は歩いた。空には灰色の雲が垂れ込めていた。  石工達が長い鋸で石灰岩を切っていた。鋸を引く逞しいお兄さんに「

          【短篇小説】【随筆】Oamaru

          【文語詩】【新体詩】獄門謡

          零落の音ぞする 雪の散る梢から あらまほしきや 堕つるべき時 唯ひたすらに堕ち抜く事の 地獄の血 紅き火の光無き骸の眼 どす黒き空底から見上ぐ 果て無き癖に夢見し業苦 霊域の撹乱の贖ひは骨以てす 曽根崎心中邪婬の呪ひ 護国神社の荒ぶる御霊 然あれど 然あれど 吾御法貫けり あはれなるかな 獄も天下と 閻魔たりとも道譲り給ふ さあれども俗人は狂人の戯れと 荒魂幾度捨てたりとても 護法の御旗汚すはならじ 錯乱の汚辱にて汚さなむ 覚へずに 功徳と罰を一身に受け 尚も呼吸を

          【文語詩】【新体詩】獄門謡

          【自動筆記】ネヴァーランドにての習作

           古い神々を断頭台に送ったフランスの白い昼間の午後に、葡萄酒で眠った翼のないイカロスの逆鱗に溶けたキャンディ一個で買収された皇帝は、全ての土地を売り払う。晩鐘響く愛の庭に疲れ果てた空の憂鬱が海老になる時、鏡に映る生贄を正餐の席に招き、ヘルツェゴビナのビートニクを切り刻んで写真に収めた。嗚呼、時よ、空間よ、歪みを止めてくれ。色の花咲く崖から落ちた林檎の毒を、白鳥に与えて、真実の隙間に脳髄から記憶と大洋を詰めよ。革命の歌声が街頭に木霊する時、我々はスマートフォンで日記を書いていた

          【自動筆記】ネヴァーランドにての習作

          【詩】【短篇小説】サマーフレンズエンドワールド

           5階のベランダの窓からは小高い山並みの上に立つ数基の鉄塔、その上に青い空と湧き立つ入道雲が見える。もしもSTAP細胞がまたできたら、アイスキャンディーを咥えながら僕は16歳の退屈な夏を100万回繰り返しながら君達の事を待ち続ける。  皆んなで公園で花火をしよう。口にバンダナを巻いて誰もいない街灯だけが輝く都市封鎖された繁華街を、発煙筒を持って駆け抜けて無人の革命ごっこをしよう。車の通らない大通りの真ん中に寝そべってふざける。あの人は橋の欄干を渡る。僕は危ねえから早く降りろと

          【詩】【短篇小説】サマーフレンズエンドワールド

          【詩】伝説或いは神話と化け物の夜

           月が今雲に隠れて、うっすらとした光が雲に残る。酷く寒い10月末の夜だ。チェ・ブラックの煙が宙に溶けて消えていくように溶けて消えた幾つもの思い出を、燃やしながら呼吸をして、呼吸を辞めない事がもう難しい所まで、俺は来た。雲が晴れ、月が全き姿を現して煌々と輝いている。闇の中の月。俺の汚い魂を星座にしてくれ。  「勇敢な彗星とは言いませんよね?」と奴が言った時、俺は「勇敢な彗星とは言うよ」と言った。今日、あいつは命を燃やして歌ったんだ。拳を握り締めていた。伝説に、神話になりたいんだ

          【詩】伝説或いは神話と化け物の夜