ほどほどに。

昨日、久々に友人に会ったら結婚して、子供が産まれて、映画関係の制作会社の社長になっていた。え、すご。え、なんで?

この友人・タサキとの出会いはティンダーだった。
最初の誘いが「毒きのこ食べに行かない?」で、超良いヤツだと確信。そこから身体の関係にも、恋愛関係にもまっっったくならず、ただただよく遊ぶようになった。

タサキは結構変わったヤツで、行動力も発想力も技術力もすごい。
昨日も腕にギブスをして現れたのでビックリして理由を聞いたら「懸垂バーで懸垂してたら棒が吹っ飛んで腕が折れた」と言っていた。どゆこと?

大学生の時はバイトがしたくないということで、渋谷の路上で「ストリートパフォーマンス」ならぬ「ストリートコーディング」を行い、自分がプログラミングで開発する様子を売り物に、そしてそれによってできたゲームアプリでしこたま稼ぐなど、なんだか変わったことをお金に変えて生きていた。

その延長で当時はキャラクタービジネスの会社を立ち上げ、SNSで人気のイラストレーターを従えてグッズを作ったり、LINEスタンプを作り稼いでいた。

仲良くなり始めたのがちょうどコロナ禍で、自分の仕事もリモートワークになりどこでも働いて良くなったことをタサキに伝えると「うちで仕事していいよ〜」とのことで、高円寺のタサキの事務所に入り浸るようになった。

タサキ以外にはもう一人、ヨシダという社員がいて、彼とも意気投合。
ほとんど毎日を高円寺の事務所で過ごし、3人でよく飲んで、よく遊んだ。

タサキとヨシダはいわゆるイリーガルなモノが大好きで、よく事務所で嗜んではヘロヘロになっていた。
「こういうのやるからぶっ飛んだ発想できんのかな〜」と思って見ていると「やってみる〜?多分得意だと思うよ」と言われたのでやってみたが、自分には何の変化も訪れもなく、得意どころか一度バッドに入ってワンピースが何なのか天啓を受け理解して以降怖くなりやめ、キマってる2人を見る専として過ごしたりしていた。

そんなタサキに子供ができた。

父親になったタサキはめっちゃ普通になっていた。
今はキマりもせず、普通に親バカになっていた。
聞いたエピソードも微笑ましいもので、
「うちの子はマジで賢い」「IQ多分高いと思う、天才だと思うんだよね」
などと言っていた。

狂人も親になると変わることを目の当たりにし、子育てに興味が湧いた。
思えばどんな友人も子どもが生まれると「Kawaii」モードに入り、スマホを見せてきては「Kawaii」と言っている。信じられない。

とは言ってもまあ、ちょっとわかる。
たしかにこの歳になるとやることが無くなり、仕事でどんだけ成功しようが、何かでうまくいこうが、本質的な幸せには繋がらないことが多くなってきた。

何なら上手くいくと次頑張らなきゃいけないことが出てきて、それがちょっとダルいとさえ思うようになってきた。 

人間はもともと変化を嫌う動物なので、何か急激に変わることが「ダルい」のはその通りなのだ。
宇多田ヒカルも『30代はほどほど。』と言っていた。超真理である。

でも驚いたのがタサキは映画の制作会社の仕事の傍ら、英単語アプリを開発して、実際にリリースもしちゃっていた。ぶっ飛んだ事はやらなくなったが、全然『ほどほど』じゃない。

大変じゃない?と聞くと「まだ誰もやってない領域のアイデア思いついて面白そうでやりたくなっちゃった」だって。

面白いと思った事は呼吸をするようにやり切る。
激しさも勢いもいらない。ただただやればいい。
自分も昔はそうだった。ただ面白いからやっていた。なーんだそうじゃん、それでいいんじゃん。
忙しさに流されて忘れていたことを思い出させてくれた。

自分もやりたいことを淡々とやり切ろう。
淡々とが大事だ。
そうじゃないとやるぞ!と立ち上がる瞬間にダルくなる。日常のようにやる。それが大切だ。
ありがとうタサキ。私も頑張るよ。

、、ちなみにこの話は全部フィクションです。
明日も淡々と頑張ろう。


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