ぴーなっつ
小説『僕と彼女の差分』を公開していきます。
終電まであと30分、そろそろ帰る支度をしようとブラウザで開いたタブの整理をする。タブの開きすぎは非効率と分かっていてもついつい消し忘れるときがある。電源を落とし、PCをリュックに入れ、オフィスを見渡せば残っていたのは僕だけだった。静かなオフィスのなかで得体のしれない高揚感を感じ、脳内では何かしらの物質が放出されている気がした。 「残業、気持ちい。今日も1日やりきった。人生って、楽しいよな」 誰もいないオフィスで僕の心はそう自分に向かって語っているようだ。自宅の最寄りである