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最も美しいクラシック12選~9月フランツ・リスト編

はろーぐりゅすごっと!
Pianist Daiです。

実は体調崩してました!
今までインフルエンザ一度もかかったことないし、風邪も記憶にある限り熱だして寝込んだとかないのですが、今回は咳が止まらず、ある日はしゃっくりが1日止まらずだったりで、仕事もお休み頂いてしまったり。。

人間って何だかんだ上手くできていて、多分ここ最近絶食気味だったり、寝てなかったりだったので、少し休まなきゃいけなかったんだと思います。

先週のぷてぃらじの時は声がMAXにやばくて、濁点に濁点を掛けたくらいにしゃがれ声で酷くて、休もうかなと思ったんですが、ぷてぃらじはどちらかというと、応援してくれているファンの方々寄りのコンテンツなので、できるだけ休みたくはなく。

温かいご飯と温かい飲み物を飲んで喉をできるだけ温めて、のど飴なめてなんとか普通よりの声になったのですが、しゃっくりがひどかった。。

色々な方法を試したら一度は止まるんですが、またすぐ出たりとかして、ほんとなんだったんだろう、と思いながらも、消化器系が弱っているとしゃっくりのでる原因になるみたいなので、多分絶食したりで逆に胃腸が弱ってたんだなぁと思います。

ということで、ご心配おかけしましたが、今はばっちりピーマンなのでご安心下さい。
それでは今回は第2回最も美しいクラシック12選についてお話していこうと思います!ゴー!

1.Dai meets LISTZ(ぼくとリストの出会い)


初めてこのペトラルカのソネットに出会った時が何歳の頃か正確には覚えていませんが、中学生の時だったと思います。
クラシックはその曲において作曲者は勿論のこと、その背景だったり歴史についてもある程度は把握する必要があります。
当時はYouTubeが無かったので、"知らない曲を知ってる曲"にするのはとても難しいものだったので、CDが無ければ楽譜を読んだり(読譜といいます)作曲者の伝記(ぼくは漫画でしたが・・・(笑))を読むことで曲への理解を少しでも深いものにしていました。
主にYouTubeなどのネット社会においてのクラシック曲へのアプローチ(練習方法や知らない曲をすぐネットで聴くということ)についてはまた、別記でお話したいと思っています。

そして何故このような話をしたかというと、このリストのペトラルカのソネットという曲は、ぼくの動画でもご紹介したように、ペトラルカという詩人が書いたソネット(詩の形式)が楽譜の冒頭に記載されているのです。

楽譜というものは当たり前ながら、音符で音楽を記すものですがその認識しかなかったぼくとしては、楽譜に詩が載っている!ということに当時中学生ながらとても驚いた記憶があります。
音楽と詩、なんてロマンチックなんだろうと。
ただグーグルなどなかったし、リストに関連する本を読んでも、ペトラルカのソネットについて詳しく載っていた文献が側になかったので、英語を簡単に和訳したもののいまいち分からなかったし、分かったとしても分からなかったと思います(内容がアレなので)なんだなんだ?って思ってくれる方は動画の最初の説明をご覧下さい)

最も美しいクラシック12選については過去投稿で綴っていますが

過去のリサイタルでペトラルカのソネットを弾いた時に、トークで


「ぼくが、もし"最も美しい曲何選"みたいな感じでクラシックを紹介するとしたら、必ずこの曲を入れたいと思います。」

と何回も言っていたので、このプロジェクトを始める時からこの曲は既にその構想の中の1曲として入っていました。

2.ペトラルカのソネットとは

そもそもこのペトラルカのソネットとは何でしょうか?
動画でも少し触れていますが、ペトラルカは"フランチェスコ・ペトラルカ"という詩人の名前で、ソネットとは詩の形式の一つです。
リストは20代から60代までに作曲した曲をいくつかの曲集としてまとめたもの、それが『巡礼の年』と呼ばれる曲集です。
比較的有名な"エステ荘の噴水"も、この『巡礼の年』の作品の一つです。

『巡礼の年』は

■第1年 スイス
■第2年 イタリア
■ヴェネツィアとナポリ(第2年イタリアに付け足された作品集)
■第3年 (スイスやイタリアの様に名前は付けられていない)

今回演奏したこの"ペトラルカのソネット104番"は第2年イタリアの中の一作品です。
ペトラルカのソネットは他に"47番"、"123番"があります。
第2年イタリアは1837年7月~1839年11月の2年余りの間によって作曲された曲で、この年はリストが26歳から28歳の年にあたります。

それではこの詩の和訳をのせたいと思います。


平和を見出せず、戦うでもなく
畏れ、待ち望み、燃えては氷結し
空高く飛ぶかと思えば、地上で凍てつく。
内に閉じこもり、しかも世界を抱擁する。

牢獄に入れ、解放せず、錠もかけず
妨げもせず、縄を解くでもなく
愛の神は私を殺しもせず、自由にもさせず
生かしておこうともせず、身を引かせもしない。

目がないのに見つめ、舌がないのに叫び
死を望みながら助けを求める。
自分を嫌悪しながら他人を愛している。

苦しみを糧として、泣きながら笑い
死も生も同じように疎ましい。
ここまで追い込んだのは、夫人よ、あなたです。

自分を嫌悪しながら他人を愛してる。というフレーズがぼくは好きです。
矛盾というものを抱えて生きているのが人間だし、この世界です。
音楽も陰と陽、明と暗、燃えるほどの情熱を持ちながら冷静に音を絞り出す。
自分の持つ最大の力を使って、ひとひらの雪より繊細なピアニッシモを出す。

動画内では、ぼくもこの詩を朗読しているので、よかったら聞いてください(笑)

3.ペトラルカのソネットの魅力


リストと言えば一般的にはやはり「愛の夢」だと思います。
その甘い旋律に人々は魅了されていると思うのですが、この"ペトラルカのソネット104番"の主旋律の美しさも息を呑むほどです。
もし敢えて比較するとしたら、"愛の夢"はその名の如く「甘美」という言葉がこれ以上ないくらいにあてはまる曲というのに対し、"ペトラルカのソネット"は「端麗」という感じがします(個人的なイメージです)
とは言っても、ペトラルカのソネットの終わりはある意味甘美な味わいもあるかなと思いますが。

専門的に少し注釈すると、序盤はゆったりしているのでとても拍を感じて弾くのが難しくテンポルバートをしてしまいがちです。
ですが、クラシック弾く方は、基本的にテンポルバートという言葉を忘れて下さい。多くの場合それが必要とならないことが多いのと、テンポルバートは非常に高度な演奏手法であって、テンポを揺らして気ままに弾いてしまうというものではありません。
メトロノームでしっかり練習でやると、感性が失われる事も多いのでそこは慎重にしてください。ここら辺もそのうちに、noteで練習について記載しようと思います。

ピアノの表現において度々、”歌う”という表現を使います。
ピアノというのは一度鍵盤を押したら、物理的に音は小さくなるばかりですが、歌を歌様に音をのびるようなイメージで演奏することで、その音に表現力を持たせるという意味です。
歌うにおいて最も重要となる指は”薬指”です。
このペトラルカのソネットの主旋律となる音、

「ソーソーソーソーファーミミー」

というようにソが4連続で鳴りますが、それらは薬指で演奏されます。
これはたった二小節のメロディーですがその半分が薬指によって弾かれるということは薬指で歌えなければこのメロディーは歌えないということです。
また同じ音を連続で弾くということは、4つ全てがある意味違う音色を持たなければいけないので、ここも少し難しいポイントとなります。

と、少し専門的な話になりましたが、この曲のメロディーの美しさは、そういったシンプルな音の構成にもあると思います。
そしてこの曲はメロディーだけでなく、構成も至ってシンプルです。
同じメロディーを含むフレーズが3回変奏しながら繰り返され、最後にコーダ(後奏)が入って終わります。
現代風に言うなら、AメロやBメロもなくサビが、2回3回とアレンジと共に繰り返されて終わるという感じです。
クラシック難しいなぁって思う人多いと思うのですが、これならとってもシンプルだと思いませんか?
よければ、これまでの話を踏まえて是非もう一度聴いてみてください。

4.最後に

今回は第2回最も美しいクラシック12選、リストのペトラルカのソネットについて書いてみました。
少しでも興味でてきたら、リストについて調べてみるとより深く演奏を聴けて面白くなるかもしれません。
漫画の伝記とかも導入においておすすめです。
昔から毎回思いますが、クラシックはほんと一朝一夕にはいかず、沢山練習し、熟成期間を設けたり色んな舞台で露出したり、そうして出来上がっていくものです。
今月のクラシック12選もどうぞ楽しみにして頂ければと思います。
それではまた次回。

ちゅーすばっばー!
Pianist Dai

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