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私の逆噴射小説大賞参加作品

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私の逆噴射小説大賞参加作のリストです。
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#妖怪

ハロウィンナイト・コー!ホー!

 ハロウィンは祭では無い。商戦だ。セールス・コンピューターと呼ばれる俺の仕事はこの戦いを制することである。 「…という訳で暫く忙しい」 「ふざけんな!」 木杭が撃ち込まれるが、難なく躱す。 「分かってるのか!?私たちはモンスターなんだぞ!?」 「だから?」 「絶対ハロウィンの人気者になれるだろ!」 オオカミ女の妻 シーラはイベント好きだ。今回も随分はしゃいでるようだ。 「シーラ、この機は逃せないんだ。ハロウィンは2倍の広告効果が見込まれるし、吸血鬼の僕が手掛け

妖怪と小説家は廃屋に住む。

「妖怪は存在する」  ボロ新聞を纏う老人が据わった目で語る。 「あるだろ、子供の頃見た記憶」  川辺は物事を考えるに良い。しかし色んな人も来るものだ。宗教の勧誘はよくあるが、ホームレスに話しかけられたのは初めてだ。 「いや常識的に考えたら居ない。俺だって分かる」  老人は続ける。 「でもな、君だって思うだろ?子供の頃見たアレは幻でも妄想でもないって」  確かに。思ったよりマトモに話せる人だ。 「僕もそう思いますよ。でもね今はもう大人ですから見えませんよ」  

千年魔京

「だからな、やっぱり京都はクソなんだよ」 鴨川河川敷の夜は無法地帯であり飲酒が許される。京極雅之は飲み会の後二次会と称しここで酒を飲むのが好きであった。 「車は方向指示器出さねぇし、バスが四条河原町を曲がるのに10分はかかる」 今夜の京極は随分機嫌が良いらしく大声で管を巻いていた。倉橋はそう言う京極が嫌いではなく、落ちていた枝を弄びながら微笑んでいた。 「宮崎駿こそが典型的オタクって感じするよなぁ…オタクに才能載せたらああも凄くなるんだなぁ」 「なぁ京極」 「

黄泉路のバガボンド

 慶応13年 東海道 元 尾張藩 名古屋。清州城の復活で往年の活気を失えど、まだ多くの町人が暮らす。第六天魔王の憲兵による厳しい監視が外の混沌から国を守っていた。 「聞いたか堺の話」「怪魚の話か」「商人連合め、いい気味だ」 「若いの!お前も交ざらんかい」 他から離れサーベルの手入れをするトビに声がかかる。 「どうだ憲兵暮らしは?ええ?」「アーまぁまぁですかね」 「そうか。おまえ生まれは武士か?」「アー武士というか農民というか」 「ま、そんなもんだろうな」「ハイ」 「