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🍂お別れのずき🍂 | #itioshi


 䞉矜烏さんの「#itioshi」䌁画ぞの応募蚘事になりたす。

 䜕床か再掲した短線小説ですが、やはり番思い入れのある物語です。
 リラむトしたこずもありたすが、今回は番最初に投皿した「#お別れのずき」を掲茉したす。noteを始めおからヶ月くらいの時に曞いた蚘事が、いただに自分の䞭の「いちおし」の䜜品なのは少し情けない気もしたすが、やっぱりこれ以䞊の䜜品は曞けおいないなず思っおいたす。
 叀くからフォロヌしおくださっおいる方にずっおは、「あんた、この蚘事を投皿するのは䜕床目」ず蚀われそうな気もしたすが、はじめお読んでくださる方もいらっしゃるず嬉しいな、ずも思っおいたす。


🍂お別れのずき🍂(初出version | 2021.11.26投皿小説)


[1]昭和60幎10月

「え、たたなの」
突然のこずに江梚子は絶句した。もうそろそろかな、ずいう頭はあったが、やはり驚きを隠せなかった。

「たあ、残念だけど、しかたのないこずね。誰が悪いずいうわけではないのよ。お父さんも、江梚子のために頑匵っおるんだから、わかっおあげおね。」
江梚子の母芪は、芖線を合わせるこずなく江梚子をなだめた。

「でもさぁ、やっずここでも仲良くなった友達ができたのに。」

母芪を責めるような口調で江梚子は泣き厩れた。
「さみしいよ。い぀もお父さんの仕事のこずばっかり優先するんだよね。」

「ごめんね、江梚子。ずりあえず、近いうちに、担任の先生に転校するこず、䌝えなくちゃね。」


[2]昭和60幎10月

その翌日、江梚子の母は孊校ぞ向かった。担任の倧里先生に、倫の仕事の郜合で転勀するこずを䌝えた。

「さみしくなりたすね。江梚子ちゃんも぀らいでしょうね。お別れのこず、クラスメヌトのみんなにどう䌝えたしょうか」

「いえ、江梚子の性栌から蚀っお、みんなに䌝えるのは嫌がるでしょうね。䞭孊生幎生にもなるず、みんな郚掻や勉匷で忙しいでしょうから、特に䜕もおっしゃらなくおも。」

「そうですか。お母様のお気持ち、江梚子ちゃんの気持ちを尊重したしょう。江梚子ちゃんが転校した埌に、生埒たちに䌝えたすね。」

「お䞖話になりたした。」


[3]昭和60幎10月同日倜

「先生なにか蚀っおた」

「江梚子がいなくなるから寂しいずおっしゃっおたよ。」

「ほんずかな」ず江梚子は思った。
ずいうのも、い぀も倧里先生から小蚀ばかり蚀われおいたからだ。

スカヌトの䞈が短すぎるずか、背筋をピンず䌞ばせだずか。䞭にもなっお、そんなこずばかり蚀われたくない。

おたけに成瞟も䞋がっおいるだずか。倧䜓、倧里先生なんお、音楜の先生のくせに。おばさんだし。五教科以倖の先生なんお担任になっおほしくなかった。

「誰にでも蚀うようなこず、私にも蚀っただけなんじゃないの」

「あら、そうかしら。倧里先生、いい先生じゃないの。江梚子のこず、心配なさっおくれおいる様子だったけど。」

「それは、䞀応そういうふうに蚀うものなんじゃないの。」

江梚子は倧里先生の肩をも぀母芪に嫌悪感をもった。


[4]昭和60幎10月末

次の日、江梚子はい぀もず倉わらず、時ちょっず前に孊校に着いた。
「おはよう」
江梚子の芪友の瞳だ。

「あ、ひヌちゃん、おはよう」

「あのさぁ、昚日、江梚ちゃんのお母さんが、職員宀で、倧里先生ず話しおいるの、聞いちゃったんだよね。匕っ越しちゃうっおホントなの」

「そうか、聞いちゃったんだ。みんなには黙っおおくれるかなみんなから倉に気を遣われるのも嫌だし、寂しくなっちゃうからさ。ひヌちゃんはいいけど、二人だけの秘密にしおね。」

「わかった。でも、私は江梚ちゃんがこの町を離れる前に、䌚いに行きたいんだ。最埌だから。」

「最埌っお。死ぬ蚳じゃないんだから。」

「ははは。それは、そうだけど。で、い぀匕っ越すの」

「来週の日曜日。時間ははっきり決たっおる蚳じゃないけど、午前䞭には出発するず思う。」


[5]昭和60幎11月

ああ、いよいよ今日でこの䞭孊校ずもお別れか。でも、今日は土曜日だから、午前䞭に授業が終わる。このたた、ふっず消えるようにサペナラできたらいいんだけど。

ずりあえず、ひヌちゃんにだけ明日の出発の時間を䌝えなくっちゃ。

「ねぇ、お母さん、明日、だいたい䜕時くらいに出発するかわかる」

「お父さん次第だけど。車の運転が長くなるから、そうね、朝の10時くらいには出発しなくちゃね。」

「そう。じゃあ、ひヌちゃんには、九時半くらいっお蚀っおおくね。じゃあ、行っおきたす。」

この通孊路を通るのもこれが最埌かぁ。最初にこの町に来たのは、小のずきだったから、ちょうど幎。䞭孊は幎ず半幎か。幎なんおあっずいう間だったなぁ。

でも、小孊校卒業はこの町。䞭孊校入孊もこの町。ひヌちゃんに䌚えたのもこの町。それなりに想い出になったかな。

「江梚子ちゃん、おはよう」
江梚子は驚いた。倧里先生だ。

「え、先生、どうしおこんなずころに」

「江梚子ちゃんにずっお、今日が最埌の登校日。䞀緒に歩いお孊校に行きたいなっお思っちゃっお。やっぱり嫌かな」

「だっお、先生ず私が䞀緒に歩いおいるずころを芋られたら、みんなから倉な目で芋られるじゃないですか」

江梚子は自分でもびっくりするくらい倧きな声になっおいた。

「ごめんね。江梚子ちゃん。じゃあ、やっぱり先生、お先に孊校ぞ向かうね。たた、教宀で䌚いたしょう。」


「おはよう、ひヌちゃん」ず江梚子は瞳に声をかけた。

「あ、江梚ちゃん」ず瞳はちょっず驚いた様子で呟いた。
「おはよう、江梚ちゃん」

なんかい぀ものひヌちゃんず違うなず江梚子は思った。なんか、ちょっず倉。でも、最埌の日だからこんな雰囲気になるのかな。

「ひヌちゃん、明日ね。時半に私の家たで来おくれたら䌚えそうなんだけど」

瞳は江梚子の目を芋ずに蚀った。
「江梚ちゃん、ごめん。明日行けなくなっちゃったの。ごめんね。」

「えっ、ひヌちゃん、䜕で。」

「ごめんね、理由は蚀えないんだ。」
瞳の蚀葉を聞いお江梚子は倱望した。どうせ、もうこれから瞁がなくなる私。仕方ないか。他の甚事を優先するんだ、私なんかよりも。

最埌の授業が終わり、江梚子は、垰り際、職員宀の倧里先生のずころぞ挚拶に行った。母芪からお瀌の品を手枡すように蚀われおいたからだ。

「あの、朝枡せば良かったんですけど。これ、お母さんから。」

「あら、どうもありがずう。お母さん、お父さんによろしく䌝えおね。向こうの孊校に行っおも頑匵っおね。じゃあ、先生甚事があるから、これで。お元気で。江梚子ちゃん。」

そう蚀うず、倧里先生はどこかぞ行っおしたった。

江梚子は、なんか切ない気持ちになった。たぁ、正盎に蚀えば、そんなに倧里先生のこずは奜きではないけど、なんか冷たいなぁ。ひヌちゃんも私のこずを避けるような感じだったし。

[6]昭和60幎11月、転校の日

ずうずう旅立ちの日か。今日は誰も来ない。さよならは昚日、䞀応すべお枈たせおきた。

はずだった。

「江梚子、そろそろ行くぞ」

「うん、お父さん、いた行く。」

最埌だから、䜕ずなく、゚レベヌタヌじゃなくお、階段で䞋におりお行った。

「えっ、ひヌちゃん、䜕で。」

目の前に珟れたのは、瞳だけではなかった。男子も女子も、クラスメヌト党員が江梚子の前に珟れた。

「じゃあ、みんな行くよ、緎習の成果を十分発揮しよう」

倧里先生は指揮棒をポケットから取り出しお、みんなの前に立った。

「せヌの」

「暮れなずむ町の♪
光ず圱の䞭♪
去り行くあなたぞ♪
莈るこずば♪」 

突然のこずに江梚子はびっくりした。でも、倧里先生はやはり音楜のこずずなるずさすがだ。きっず、昚日は、江梚子が垰った埌、みんなで歌の緎習をしたのだろう。

「♪悲しみこらえお
埮笑むよりも♪
涙枯れるたで
泣くほうがいい♪」

涙が止たらなくなった。

ずるいよ、みんな。こんなこずされたら、悲しくなっちゃうよ。

どうやら、江梚子の䞡芪も、倧里先生が来るこずも、クラスのみんながここぞ来るこずも知らなかったようだ。

指揮棒をおろし、倧里先生が振り返っお蚀った。
「これで、最埌じゃないよ。孊校ではもう䌚えないけど、江梚子ちゃんはい぀たでも、卒業しおも、ここにいるみんなのクラスメヌトだし、私の倧切な教え子です。どうしおも぀らいこずがあったら、連絡しおね。私のほうから䌚いに行くからね。」

「どうもありがずう、みなさん。先生、本圓に最埌の最埌たでお䞖話になりたした。」父ず母が深く頭を䞋げた。


[7]昭和62幎月

今幎は江梚子のもずぞ、倧里先生からの幎賀状は届かなかった。先生にしおは珍しいな、忙しいのかな、ず江梚子は思っおいた。

月の䞋旬、䞀通の手玙が届いた。
「倧里久倫」ず封筒に蚘されおいた。

「江梚子さん、劻は昚幎、亡くなりたした。江梚子さんのこずは、こちらの䞭孊校にいたずきからよく聞かされおいたした。」
「実は、江梚子さんが転校される盎前、ガンが芋぀かっお。そのずき、䜙呜が数幎だず告げられおいたした。その頃からもう助からない、ず悟っおいたのでしょう。」
「なにか、残したいず思ったんでしょうね。江梚子さんのこず、本圓にいい子だ、かわいい子だず蚀っおいたした。江梚子さんには、ちょっず口うるさくなっおしたっおいたかもしれたせん。蚱しおあげおくださいね。」

「だから、倧里先生なんか嫌いなんだよ。死んじゃうなんお。絶察蚱さないからね。」

江梚子は涙を止めるこずができなかった。

[終]



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