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近似とテイラー展開

 大学の数学で、テイラー展開(マクローリン展開)というものをならった。なにやら複雑そうな式がつづき、そもそもなんのために存在するのやら、意味がわからなかった。
 文系だったので、高校数学もよく知らないまま、いきなりこういう式を見てもわからないのは、当然だった。
 大学を卒業したあとに、せめて高校レベルの数学くらいは理解したいと、高校の受験参考書を読んでいたら、「発展・応用」として、けっこう分かりやすくテイラー展開について書かれていた。

* 以下、数式がつづくので、読み飛ばしてもかまいません。

「まとめ」だけ読んでいただけたら嬉しく思います。


 テーラー展開の発想は、「割り勘」の計算と似ている(と思う)。

ある曲線の一部分

 ある曲線の一部分を顕微鏡🔬で見るように、拡大していくと、最終的には、「・」の近くでは、直線のように見える。つまり、1次関数で近似できる。
 
 「テイラー展開」とは、複雑な関数を簡単な関数に置き換えるようなイメージである。ある関数の接線を求めるのと同じような感じ。

 つぎに、1次関数ではなく、たとえば2次式で、COS x を近似することを考えてみよう。

2次式で近似を考えたから、次は3次式による近似を考えてみる。

 ここに挙げた計算は「あそび」である。
 二つの関数を「……とおいてみる」と書いたが、「=」は実際には成り立たない。だから「あそび」である。しかし、「あそび」のほうが、厳密な証明より、分かりやすいと思う。
 きちんとした証明は、専門書をご覧ください。

 まとめ

 何度でも微分できる関数の、ある点における接線(1次関数)は、その点の近傍における元の関数の近似式だと考えられる。より精緻な値(近似式)を得たいならば、次元を上げていけばよい。

 先ほど、テーラー展開と「割り勘」とが似ている、と書いた。
 そのこころは。。

 たとえば、3人で飲みに行った。
合計で、

「9681」円だった。

割り勘にすると?
ふつうに3で割ればよいのだが、
桁の大きな部分に注目すると
「9000」を3で割って「3000」円。
残りの「681」円は誰かひとりにお任せしてもいいかもしれない。
 いや、「681」も3人で割ることを考えるなら、桁の大きい「600」円を3で割る。そうすると一人「200」円。
残り「81」円は誰かに任せてもよいだろう。
 いや、ここまで来たら「81」も三等分しようと思えば、
81÷3=27

きっちり計算すれば、「3227」円だが、どこまで計算するかは、

必要に応じて行えばいいと思う。

「割り勘」と「テーラー展開」の発想は似ている。

 「必要に応じた」数値の扱い方は、普段の生活の中でも、無意識的にみんなおこなっている。
 たとえば、徒歩で学校に通っている子どもに、家から学校までの距離を尋ねれば、「◯キロくらい」とか「◯◯メートルくらい」と答えるだろう。「1234m」のように、下一桁まで正確に答える必要はないだろう。
 車で会社まで通うサラリーマンに、家から会社までの距離を尋ねれば、答えは「◯十キロくらい」「◯◯キロくらい」となるだろう。
 ゆとり教育のころ、円周率は「3」と教えられたという話を聞いたことがあるが、日常生活ならば「3」としても、いいだろう。
 さすがにタイヤのメーカーであれば、「3」ではまずいから、円周率は、
3.141592…と細かい数字まで必要になるに違いない。
 どのくらいの精度まで必要とされるのかは、目的によって変わりうるものだ。

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