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実況パフェ記録

この世でもっとも甘いとされている生クリームの谷間に柄の長いスプーンを差し込むと、もっと甘い汁が出てくる。そのままなにもしなくても、上と下が自動的に混ざっていく。スプーンを持ち上げてみると、そのさきにいろいろが絡み合ってくっついている。銀の柄が生クリームを崩して果物がすこし動く。なにもかも皿に落ちてしまわないように、それだけに意識を集中させると、やはり甘く、食感に乏しい冷たさが口の中に届く。温い水を飲む。温い水はテーブルの上で汗をかいている。水道水の味がする。私は姿勢を正す。それからしばらく無心で、その動作を繰り返す。今度はなにもかもが倒れてしまわないように、左手でガラスの縁を支えながら果物にフォークを刺してみる。熟した香りが先に鼻腔に届く。前歯が果肉を押しつぶすと、それは紛れもない果物であったので、口内では歓声が湧き上がる。それを受けて目は、次なる獲物を捉えようと、すでに均衡を失った脆い建造物の上を弄る。いまや疲れ切ったスプーンは蜜の底に沈んでいる。それを救出するという名目で、また右手はなにかそれによって壊されるものをさがしている。溶けて痕跡となった甘い汁が、かつてそれらが本物だったかのような顔をしてガラスの花弁にへばりついている。——甘い戦争が終わった。誇らしげに口の中をすすぐ。

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