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社会人気分

中学・高校生だったとき、定期テストが近づいてくるとかならず教室のどこかから「やばい今回まじで勉強してない」「いやノー勉でいけるでしょ」「ノー勉はつよい」「今回はやばい」みたいな話し声が聞こえてきた。僕は中学生のときは勉強ができたからこの手の会話があまり気にならなかったのだが、高校生になって勉強をしなくなると友達のこういう発言が気になりはじめた。こういう台詞はけっこうちゃんと勉強をしている人に限って言ってたりするので、勉強ができない立場からするとなんだか騙されたような感じがす

    • 今週見たもの

      フィルメックスで山本英『熱のあとに』を観ながら、今週見たものについて何かを書こうと思ったけれど、いざ、ノートパソコンを開くと、何をどこから書けばいいのか、わからなくなった。 文体がなければ何も書けない。ツイッターの140字くらいならなんとかなるけど。もしかして文体がなければ読むこともできないのではないか。村上春樹を読んでるときの、物語とは全然関係ない部分の、あんまり興味も持てない部分の、面白さ、みたいなもの。文体?いや、よくわからないけど、とりあえず、なんか書こうと思います

      • 6-7月 観たもの・読んだもの

        6月に現場が終わって、次の仕事を入れずにいる。勉強しながら本とか読みながら、仕事も探しながら何かしないといけない。 劇団普通『風景』(演劇) @三鷹市芸術文化センター 星のホール 追いかけている劇団の一つ。また青柳さんが出ていた。今回、出演者が多くて、親戚の集まりで集合する人数も多かったし、3つくらいの家族のシーンがそれぞれあったので、少し長くて途中眠ってしまった。内容は詳しく覚えていないけど、法事か何かで集まった親戚たちの話だった。青柳さんて、どこの親戚の集まりにも居そう

        • 7月16日

          演劇。 スヌーヌー『長い時間のはじまり』 三鷹SCOOLで。あるアパートに引っ越してきた「林」、その隣の部屋に住んでいる夫婦は、いつも同じ会話をしている。その夫婦にはかつて息子がいて、その夫婦はやがて亡くなる。林が引っ越しを手伝ってもらったかつてのアルバイト仲間の「土井」は町田に住んでいて、また漫画を描き始めようかなと言う。その一年後、薬を大量に飲んで林に連絡してきたことがあった。やがて林も亡くなって、アパートは取り壊されて、100年後、そこは更地になっていた。 というような

        社会人気分

          暇か否か

          暇なときと暇じゃないときで考えていること(というか文体?)が全然ちがうような気がする。暇なときに見る映画と暇じゃないときに見る映画も。風の感じ方とか本の背表紙の見え方もちがう。 暇じゃないときには物事が前に進んでいる感じがするし、昔のことをくよくよ思い出したりしなくて済む。 暇になると、さて、何から考えようか、何から考えるかを考えるためにどこに行こうか。誰と会おうか。ってところから始まる。またここからか、という感じがする。選択肢があり、可能性に打ち開かれている。 ある映

          暇か否か

          わたしはあなたと旅人として出会いたいのだ(コンパートメントNo.6をみて)

           導入は陽気なハウスミュージックがかかるホームパーティーで。文学の一節を読み上げて作品を当てるというような遊戯に勤しむ大人たち、の間をふらふらと移動する主人公ラウラは誰もいない寝室に入る。楽しんでる?と聞いて抱きついてくるイリーナは彼女のパートナーであるらしい。ラウラはこれから、ペトログリフという古代文字を見るためにロシア北西部の最北地ムルマンスクへ旅立つ。ベッドで戯れながら、自分が行けなくなってしまったことを謝るイリーナを見返すラウラの表情はどこか所在なげである。  二等

          わたしはあなたと旅人として出会いたいのだ(コンパートメントNo.6をみて)

          2022年観劇ベスト10

          ①マームとジプシー『cocoon』 @さいたま芸術劇場 もうこれは、ひとつの「作品」として見ることができない。台詞とかもあったけど、全部かき消されて、「音」でしかなかったし、「役者」なんてものが、舞台上にそもそもあったのかどうか。与野本町の夕方に、自転車で買い物に行く人や体育着で家に帰ろうとしている人たちを見ただけで感動した。だからその3時間は「上演」ですらなくて、ほとんど「歴史」を見た(?)というような感覚に近い。 ②ダダルズ『QPQの地点』 @SCOOL 2022年

          2022年観劇ベスト10

          2022

          起きてしまったことは起きてしまったのだからしょうがない。なかったことにはできない。だけれどほとんどの起きてしまったことは、まさにそのようにして、なかったことにされて時間は進んでいく。それがおとなのやり方だと、自戒を込めて思う。 覚えていることのほうがずっとむずかしいし、過去にとらわれているほうが、滑稽で、むしろたくましい。 とはいっても、2022年、またとくに何も起きないまま終わってしまった、と振り返ってみて思う。環境や立場、生活習慣が変わっても、結局はずるずると他人に依

          実況パフェ記録

          この世でもっとも甘いとされている生クリームの谷間に柄の長いスプーンを差し込むと、もっと甘い汁が出てくる。そのままなにもしなくても、上と下が自動的に混ざっていく。スプーンを持ち上げてみると、そのさきにいろいろが絡み合ってくっついている。銀の柄が生クリームを崩して果物がすこし動く。なにもかも皿に落ちてしまわないように、それだけに意識を集中させると、やはり甘く、食感に乏しい冷たさが口の中に届く。温い水を飲む。温い水はテーブルの上で汗をかいている。水道水の味がする。私は姿勢を正す。そ

          実況パフェ記録

          映画『いとみち』

          去年まだ仕事を本格的にしていなくて時間があったときにとにかく映画を見るようにしていたから、今年からは、その映画を再び見る、ということができるようになってきていて、その体験の豊かさに救われている。 横浜聡子監督『いとみち』はやっぱりとんでもない映画だった。 何度でも見返したい。 横浜作品は、とにかくかっこいい。 これまでのフィルモグラフィーに比べると、登場人物は割と「マトモ」な人が多い。でもやっぱり映画全体を通して見ると、明らかにマトモじゃないところに連れて行ってくれる映

          映画『いとみち』

          苦しい、というのは

          マームとジプシー『cocoon』 もうすでに、作品、として見れない。 今、に、今、を重ねて、限りなく、どこまでも密度を高めてしまおうという手つき。 音だった。 声だった。 言葉さえも、超えてしまっていた。 瞬間にたいする、執拗なまでの、情熱、というか欲望、、、 音だけが、たしかにあった。 瞬間、 かさなってしまうだろう、誰かの記憶に 背中をみつめて、星空が、奥のほうまで広がっている、美しかった 瞬間、でしかない そのとき、そのときの、音、だけ 味覚も

          苦しい、というのは

          平然と

          みんな平然としている。平然としすぎている。 平然として平然でありつづけている。 これは僕はずっと思ってきたことだった。 平然が平然を作り出して、僕はその平然の中に生きている。 そしてときどき、ふとしたはずみに、平然の外があるということを思い知る。だけど信じられない。実感できない。 平然の外でおこなわれていることを、僕は知らない。 人には歴史がある。 それはもう、平然として、平然ではない歴史がある。 そして歴史は巡ってくるのだろうなと予感した夜だった。 平然は繰り返す。

          平然と

          みんなのヴァカンス

          玄関に積み上がった郵便物、シンクに溜まった食器、洗濯籠に放り込まれた衣類にあいさつもせずに、起床。「おはよう」とか、そんなにあんまり言いたくない。言われたくもない。キャンプの朝とかだったら言いたい。言われたい。そういうときはすごく「おはよう」って感じがする。「おかえり」も言われたくない。「ただいま」を言いたくない。「おかえり」は言ってもいいけど、「ただいま」って言われたら言う。先に言ったら、待ってたみたいになってしまう。待ってたのだとしたら、そのときまで待っていなくちゃいけな

          みんなのヴァカンス

          ダダルズ『QPQの地点』

          ダダルズの新作をついに見れました。 演劇に触れ始めて2〜3年経った頃、2019年の夏に同じく三鷹SCOOLで観て、衝撃を受けた『顔が出る』から、テアトロコントや『おいなりさんラジオ』もあったけど、本公演としては3年ぶり。『顔が出る』は、1回観ただけでは物足りなくて、2回観劇に行った。コメディでも不条理劇でもなくて、まったく新しい上演の感触で、うまく言い表す言葉はないんだけど、私はそのときの出来事を「自分のことだ」と思って、忘れられずにいた。 「顔が出る」というのは、タイト

          ダダルズ『QPQの地点』

          トム・クルーズにならない

          トム・クルーズ演じる、"マーヴェリック"は、スピード狂のおじさん。機体のテスト飛行で、マッハ9を出す予定で飛行場に到着したが、急遽マッハ10に変更。しかし視察にくる少佐の意向は、機械による無人飛行の実装を進めることで、パイロットによる超音速の飛行は当日キャンセルされるということだ。それを聞いたマーヴェリックは開いた倉庫のシャッターから外を見やり、思案した様子を見せるが振り返って一言、「まだ来ていないじゃないか」。 操縦席と管制室のカットバックで着陸までの準備を整えていると、

          トム・クルーズにならない

          日記というものを書いてみようと思うのだが、

          日記など続いたことがない。だけども、なにかしら書くということをとりあえずやってみるきっかけとして、日記という体は比較的手っ取り早いところにある。日記を書いていてむず痒いのは、たとえばその日一日の出来事を振り返って、こんなものか、と思ってしまい、自分の一日というもののくだらなさに直面して耐えられなくなるのである。逆に、まさに日記のような一日、すべてが上手くハマった、みたいな日があっても、それはそれで、なんとも落ち着かない気持ちになる。まるで自分が日記を書くためにその一日を過ごし

          日記というものを書いてみようと思うのだが、