手紙が来る日を待っている

人生で一番影響を与えられた本は?と問われたら真っ先に『ハリーポッター』と私は答える。

それに何度も、児童書じゃないか…という無言の視線を浴びせられた事もある。それでも、影響を与えられたのだから児童書かそうじゃないかなんて関係ないのだ。

初めて出会ったのは小学校5年生の時。第1巻のハリー達とほぼ同じ時期である。

それまで読書はなんとなくしていたが、分厚いあの本を読むクラスメイトの姿をみて、興味を持った。

ちょうどその頃、ブームが到来し、賢者の石が映画館で上映されることになった。私が興味がある事を話したら、叔母が連れて行ってくれて一緒に観たのを覚えている。

その時から世界観に圧倒されて、私は魔法界の虜になった。

そしてその年のクリスマス。

3巻のアズカバンまでが発売されており、親にクリスマスプレゼントとして買ってもらったことから私とハリーポッターとの物語は始まっていく。

最初は1巻読むのに1週間くらいかかった。小学校から帰ってから毎日毎日読み続け、3巻まで読み切る頃にはすっかりハリポタ漬けになっていた。

その後、4巻が発売されるまで、読み終わったら繰り返し読み続けた。何を持ってそんなに虜になったのかたまに考える時がある。

きっと当時の現実逃避、本の世界にいる間は現実から逃れられることが出来て、至極安心したのだと思う。あの当時はまだストレス、という言葉をよく理解していなかったけれど。きっと子供なりにいっぱいいっぱいで追い詰められていたところを助けて貰ったのだ。

ハリーもロンもハーマイオニーもクライスメイトのようだったし、出てくる大人たちも嫌いな人もいたけれど、優しさも溢れていた。

私の青春時代はハリー達と共にあり、ハリー達と大人になった。リアルタイムでそれを味わえた事はとてつもなく贅沢だったと思う。


いつか私もふくろう便で手紙が届けばいい。

そんなことを思いながらいつしか私は大人になって、今もこの9月1日に夢を馳せる。

どんな時にも背中を押してくれた物語に感謝を込めて。

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