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モーションRIGのこと(その2)

さて。初心者向けRIG制作という、あまりにニッチでディープすぎるテーマに、若干後悔しているワタクシです。前回は、前段としてRIGの概念とかそれを構成する前提のお話に終始してしまいました。今回は、実際のリグ制作について少し触れられたらと思います。

ここでおさらいをしておきますと、キャラクターをボーンを直接触ってアニメーションを作るのではなく、外部のコントローラーを使って遠隔的にボーンアニメーションを作る、と申しました。そのメリットは、コントローラー側に様々な便利機能を持たせて、アニメーションを作りやすくする、ということでした。実際に、人間型キャラクターのボーンを直接、移動、回転をさせてアニメーションを作るのは、困難を通り越して無謀である、ということも判って頂けれると思います。

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では、人間型キャラクターのRIGをどう作るかが今回のテーマです。前回、キャラクターのボーンの階層構造に似たコントローラーを作れば、キャラクターのボーンを直接触ることなく、遠隔的にポーズ、アニメーションを作ることができる、と言いました。今回は、ただボーン構造を真似たコントローラーを作るのではなく、手足のIK(インバースキネマティクス)で行えるようにしていきましょう。

RIGの設計

何事も設計が大事であります。特にRIG制作に於いてはノープランでやると大抵ひどい目に遭いますので、事前に「どんな風に動かしたいか」の計画を立てておき、どうやって実現するか、といった算段を立てておくに越したことはありません。

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と、ざっくり設計すると上図の感じですね。手足はIKを使ってマニュピレーターを”移動”させてポーズをつけたい、尻、腰、胸、肩、首、頭、などは”回転”を使って、ポーズをつけたい、ということで、コントローラーを使って制御できるボーンをどういうトランスレートで操作したいか、あらかじめ考えておくと良いでしょう。後述しますが、IKで制御する手首、足首(ここにIKのエンドエフェクタが設定される)を回転で捻ることもあるでしょうし、腕全体、足全体を捻りたいときもあるでしょう。移動させつつ、回転もさせたい、というようなコントローラーもありますので、このへんの部分については後ほど解説いたします。

IK(インバースキネマティクス)の設定

さっそくやっていきましょう。まず、腕や足などの蝶番状のボーンの始点と終点にIKの設定を行います。Mayaの場合なら、上部メニューの「スケルトン」から「IKハンドルの作成」を選んで、対象となるボーンの始点と終点を選べば設定終了。

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これだけのことでIKが設定できました。アウトライナを確認すると「ikHandle」というオブジェクトが追加されました。これがIKのエフェクタ(エンドエフェクタ)です。これを選択して移動マニュピレータで操作したら、腕をグリグリと動かせると思います。

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アップベクターについて

後々のRIG制作で関わってくるので、今は理屈だけ判ってもらいたい部分として「アップベクター」というものがあります。直訳すると「上方向」という意味なんですが、これはまさに、IKを設定したもの(腕とか足とか)の「どの面が上なのか」を明示するものです。

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IKを設定した始点部分に、上図、丸で囲った部分に白い矢印があるのが判ると思います。この矢印はIKの上方面を示しています。この矢印を回転させることで、腕や足の捻れが表現できるようになります。

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ということで、アップベクターを回転させて、手足を捻ってみました。地味ですが、実はかなり重要な要素ですので、覚えておいて頂ければと思います。

全ての手足にIKを入れてみましょう

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両手足にIKを入れてください。すると、アウトライナは上図のようになると思います。では、IKを設定した状態で、キャラクターの腰を動かしてみましょう。

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作成された"ikHandle"を摘んで、移動させると人形のように手足のポーズをつけられます。これでIKの設定は一旦終了ですが、今のままだとアウトライナー上で見ると、これらikHandleはボディのボーン構造からは独立しているように見えるのですが実際に胴体などを回転させると、エンドエフェクタの位置が体の回転に合わせて移動していってしまいます。

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これもRIGの機構として間違いではないのですが、どんなにキャラクターが動いても、エンドエフェクタをワールドに”置き去り”にしたいことはあります。そういったアニメーションを作るときにはどのようなRIG構造にしておく必要があるのでしょうか。次回は、IKも内包した、より具体的なRIG制作についてお話いたします。

続く

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