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低解像度で顔を描く(その2)

さて、前回下描きから主線を抽出するところまで出来ました。で、軽く色を置いたところで「全然原画に似てねえし、最後まで似ないかも知れねえ!」と泣きを入れた訳ですが、今回は低解像度による顔ドットを仕上げていってみましょう。

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半泣きスタートで本番のドットを打って行っても良いのですが、ここはまずどういう風に仕上げていくか、ちょっとした方針を立ててみましょう。

まず顔の特徴です。線画は渋谷凛を目指して描きました(本当か?)が、ああいうクールな感じでなくて、タヌキ顔というか、目は大きくて少々垂れ目気味の隙のある感じです。この印象は外さないようにしましょうか。

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次に実際のドット置く上でのポイントですが、頬のラインは柔らかめに明るいドットアウトラインに配置して膨らんだ感じ、顎から首にかけてはピシっとなるように濃いドットで締める感じでいきましょう。

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髪の毛の影が額に落ちるセルフシャドウを追加したり、グラデーションの濃淡で顔の”回り込み”の陰、ドットの不必要に自己主張が強い部分を色を明るくすることで抑えて、ドットが不用意に目立たない部分は少し濃い色で主張させます。このあたりは以前紹介した”半ドット”の効果なんですが、隣り合うドットの明度差によって1ドットより小さく見せたりする効果です。

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上記を踏まえてドットを置いてみました。頬を丸く、膨らませるために膨張力のある明るい色のまま、あえてドットを閉じませんでした。すぐ隣にある髪の毛の影にあたるドットのおかげでボケた先を暗い色でぐっと締められているので、絵的には統制の取れた感じです。次にまつ毛です。まつ毛のラインは女性キャラにとって結構重要ですが、まつ毛の跳ねている様子を直接描くわけにはいかないので、ここはまつ毛にあたる部分を少しだけ太く、馴染ませるように描くことで、まつ毛があるような効果を狙っています。この部分は少しボカした方がそれらしく見えるようです。あと、髪の毛の”落ち影”と、顔の奥側に”回り込み”の陰も入れました。

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口は拡大しても意味不明なのではないかと思います。実際、この部分について理屈の通った説明をするのが難しいです。何度もトライ&エラーを繰り返し、実線で描くより、ボケたグラデーションを置いた方がそれらしかった…としか言えません。口内の奥にあたる部分を濃いドットで締めてあるので、それが「口の中である」ということを示す役目になっているんだろうな、ということ以外に、何か腹落ちする理由を出すことができないのです。と、このように、理屈は判らないけど「なんかそんな風に見える」というドット配置があることも、ドット絵の奥深いところですし、面倒臭い部分でもあります。結局やってみないと判らないので、言語化しにくい部分なのです。

この、理屈は判らないけど「なんかそんな風に見える」の勘所は、ある程度場数を踏んで練度が高まると、なんとなく判ってきますのでご安心を。

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というわけで、いろんな表情を作ってみました。ちょっとの違いですが、結構表情を変えられることが確認できると思います。個人的には口を尖らせてる表情が結構うまく描けたと思っています。

また、特に白目になってる絵が顕著ですが、明るい色の周りに暗い色をわざと配置することで、より白目が目立つようにしています。このようドットの明度には、隣り合うのドットの見え方に影響を及ぼすので、そういったところを意識しておくと、低解像度でもそれらしく可愛い顔が出来るのではないでしょうか。

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さて最後に、元絵に似たかどうかという点です。まあ結果的にあんまり似なかったと思ってるんですが、元絵の持つツボは一応押さえられたので、低解像度ドットとして、イラストとは同一人物と思えなくもない…というところに着地できたのではないでしょうか。苦しい言い訳感はいたしますが、タフすぎてソンはない。違った、かわいすぎてソンはない、ということで「低解像度による顔ドットの打ち方」はこれにて終了したいと思います。

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