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ゲームセンタービジュアライズ#2

ゲームが大好きだ。ゲームセンターができる前から楽しめている。以前書いたもの、その続編。以前は以下に。

街にゲームセンターというものができて、直ぐに行くようになる。自分のテリトリーにはアーケードゲーム専門店が二店舗、どちらも街の繁華街の一等地にあるのにやっぱり暗くていかがわしい雰囲気だった。ライバル店だったのだろうか、今ではそんなことも思うが当時はそんなことは気にもしない。その二店鋪が近くにあったので、それなりの恩恵を受けることになる。後に色々な店鋪ができるが最初はそんな感じだった。近くの駄菓子屋とかではなく街でゲームができるのは、そのゲームセンターか繁華街の映画館とその外のバーガーショップのオープンスペースに台があったりとか、デパートの屋上くらいだった。ゲームセンターはオープンする直前に行くのが好きだったし、デパートの屋上は学校をサボってたわけじゃないハズだけど、人のいない場所でアップライト筐体のゲームを楽しんだりジュークボックスで音楽をかけながらプレイしたりした。お金が必要なのでそう毎日も行けなかったけどそういう時間もあって、それは自分にとって大切な時間だった。


機械じかけの黒船

ある日ゲームセンターに出かけると、テーブル筐体のコントロールパネルに付いているのが普通のジョイスティックではない変なものを発見した。それがディフェンダーだった。ジョイスティックの先に赤いボタンが付いていて、レバーは上下にしか動かない。それにボタンが多い。面食らった。画面の解像度が低く、英文字も一見無機質で読みにくいフォントだった。アドバタイズ画面を見ればある程度分かるのだが、一見ではシューティングゲームだなという程度のことしか分からない。それにBGMが一切ない。効果音のみだ。インストラクションカードもそれなりに複雑でタイトーと書いてあった。画面にはWilliamsと出ていてタイトーとは出てこないので輸入物というのが分かった。月面のような場所に人、若しくは生物がいてランダーというエイリアンが降下してそれを捕獲しに来る。ランダーは捕獲した後、画面上部にて軌道を離れようとするのだが、軌道を離れた途端、捕獲した生物を内部に乗せミュータントとなる。ランダーは降りるだけで敵としては易しいが、ミュータントになると動きも激しくなり攻撃もしてきて厄介だ。レバーでは上下にしか移動できず、ボタンで加速ができる。レバー上部の赤いボタンで方向転換できるのだ。方向転換、加速、方向転換、加速で実際には左右スクロールだった。また月面らしき場所にいる生物を撃つこともでき、ランダーに捕獲されている最中の生物をランダーを倒して救うこともできる。時間が経つにつれいくらかの敵が出てくるが、一定数出現する敵を倒せば面クリアとなる。面に時間が掛かりすぎると、UFOのような薄くて早くて撃ち落とすのが難しい敵が出てくるので、緊急避難的にワープを使ったりする。またはスマート爆弾で画面上の敵を一掃するかだ。日本にはないゲームでコントロールパネルを見てもちょっとした駄菓子屋に置けるようなものでもなかった。とっつきにくいゲームだったがとても印象に残るゲーム。シンプルで複雑なゲームという感じである。似たような雰囲気は渋いアステロイドとかレバーの派手なルナランダーとかベクタースキャンのゲームにはあったが、こういうのは初めてだった。QIXとどちらが先だったろう。忘れないのはやはりあの独特の見た目、雑誌で見たApple IIのゲームのような配色、方向転換、加速、ショット、スマート爆弾、ワープと数多いボタン。独特の素晴らしいゲーム。


街の夜の二人打ち

何かの拍子で夜ゲームセンターに行くと独特の雰囲気が漂っていた。いつものアーケードゲームには人はちらほらになり、コントロールパネルに横一列、AからNまでのボタンが並ぶジャンピューターに、タイを外した白いビジネスシャツのサラリーマンが座っていた。そうして昼間でも。それは対CPUの二人打ち麻雀で、独特の都会の夜景を模したタイトル画面を鮮明に記憶してる。麻雀はしないわけではなかったけど、積極的にするのはもっと後のことで、その頃はシューティングやアクション、レースゲームが大切だった。記憶が定かではないが、麻雀牌を壁とか障害物?に使ったゲームはあった気もする。しかしジャンピューター以降から常にあのコントロールパネルのテーブルはゲームセンターに置かれるようになる。そしてジャンピューターやTTマージャンの時代は長かったけど、それ以降様々な数え切れない種類のアーケード麻雀ゲームが増え、脱衣麻雀というようなものも登場し、後にはそれが主流となってゆく。ビジネスシャツのサラリーマンも増え、麻雀じゃなくても喫茶店じゃなくてもプレイするようになった。でも思い出すのはあの時の一瞬の異質な光、能天気な音楽、牌を捨てる時の独特の効果音、そしてそこにあったのはジャンピューターだった。


セガの息吹

あるゲームが大好きだった。そのゲームは当時人気作品の多かったコナミのスクランブルを感じさた。それがセガのジャンプバグ。開発はアルファ電子らしいが、セガの作品の多くにアルファ電子のものがある。そのジャンプバグというゲームが好きだったのは常にジャンプする車の浮遊感、それが楽しい。また世界観もどちらかというと未来の星という感じのスクランブルとは違い、コミカルで人間的なものだった。スクランブルに似ていると思ったのは色使い、それに街から山岳地帯など面が切り替わる所だが、やはり色使いがその多くを占めるのかもしれない。街から始まり郊外を経て山岳地帯を抜けピラミッドに入る。敵はそんなに手強くもなく自機(インストラクションカードによるとワーゲン)の浮遊感できっちりと思ったところに行きにくい。ピラミッドではバックすることもあるのだが、反対を向かないので本当のバック。だから後ろの敵は攻撃できない。そういった面白さもある。バックはできるが振り向けないのだ。だから正面ではない背後の敵は撃てない。郊外からそういう敵が出てくるがそこまで苦労するという事もなく楽しい。基本的に現金袋を取りながら得点をしてゆくのだが、郊外から雲に点数が書いていて、そこでジャンプすると得点が入る。一つの雲に何度もバウンドをして得点を稼げる。自機は常に弾んでいるのだ。ピラミッドまでが一面という構成になっていて、二面は郊外の山岳地帯風の場所を抜け海に入る。海には大クラゲやチョウチンアンコウ、鳥からの攻撃がありグラフィックも楽しい。地形的にも海上に出られない場所もあり、潜水艦かボンドカーみたいでそれもいい。そして面をクリアしたと思ったらしていなくて、急に空に打ち上げられてしまう。宇宙かなとも思ったが雲があるので空だろう。空の下には海面があり、海面に落ちても海には落ちず浮く。そうこうしていたら分かりやすい矢印のある着地地点があり、着地すると二面クリア、一周となる。そこで最初の街に戻るのだ。このゲームが好きだったのは浮遊感、世界観だった。スクランブルと同じように一周するのはそんなに難しくなくクリアできた。あまり長くは遊べない面白いゲームもあったが、このゲームはある程度浸っていられた。一面のピラミッドは、似てもないけど何故かスクランブルと同じコナミからその後に出たツタンカームを思い出す。ピラミッドだからではなく感覚的に何故か思い出すのだ。


高次元調和

アーケードゲームをやり始めた頃、喫茶店やドライブインでしかゲームができなかった頃、その黎明期ともいえる頃から輝いていたメーカーがあった。それはナムコだ。多くはタイトーのゲームが置かれていたが、その中でとても光って見えた。すべてのゲームにおいてそうで、ジービーやボムビー、キューティーQでさえそうだった。実際はボムビーとキューティーQしか知らなかったけど、インベーダーが出た後のギャラクシアン、キング&バルーン、パックマン、ラリーXなどすべてが輝いている。それは丁寧な作り方とセンスの良さ。自機や敵や他のオブジェクトのグラフィック、音楽、効果音、フォントに至るまでデザインセンスにあふれている。そしてアドバタイズ面の作りの丁寧さ、分かりやすさ、楽しさ。すべてのゲームにその思想が統一されていて、そういったところがナムコを輝かせていたのだと思う。そしてゲームセンターに行きはじめた頃熱狂したのがギャラガだ。ギャラクシアンの続編だが大幅にパワーアップされている。前作に比べて敵のギャラガの動き、速さ、編隊のバリエーション、進化などだ。それにギャラクシアンと比べ自機は連射できる。そしてそれよりも何よりも自機のパワーアップ要素が大きい。ゲーム中にボスギャラガがトラクタービームを発射してくる。それに自機が捕らえられれば敵にキャプチャというか捕獲されてしまう。その捕獲した自機を背負ってボスギャラガは攻撃してくるが、降下中にボスを倒すと捕獲された自機が下りてきてデュアルファイターとなるのだ。宙返り中などに捕獲された自機を撃ってしまうと得点は入るが失ってしまう。また降下中ではない時に攻撃してしまうと捕獲されたままの自機は敵となり攻撃してくる。やり過ごせば次の面にまたボスギャラガに捕獲された格好で出現する。デュアルファイターになると攻撃力が倍以上になる、それが新しく斬新で面白いシステムだった。こういうのがナムコだと思った。そしてもう一つ何よりという部分がある。それはチャレンジングステージだ。ファンファーレと共にステージが始まり、攻撃してこないギャラガを撃ちまくる。編隊を残さず撃ち落とすとボーナス点、すべての数を撃ち落とすとパーフェクトとなりスペシャルボーナス点が入る。その際にも称えるファンファーレが鳴り響き、その得点と同時に自機が増えたりした場合、その音が聞こえると気分は最高潮になる。そういう部分も計算しつくされているのではないのかと思ってしまうくらいのすごい出来で、ナムコのゲームは得てしてそうだった。効果音でさえも考えに考えられていると思えるのだ。そしてこのチャレンジングステージはパックマンのコーヒーブレイクから進化したものではないだろうかとも思う。休息はとれないが爽快感を与えてくれる。自分はセガの人だがナムコは心の底にずっとある。また、裏技というかバグで敵が弾を撃ってこなくなるようにできる。時間が掛かるというので人がいないときに一二度やったが、思ったよりもすぐできた。しかし普段そういうことはしなかった。難しくても楽しいゲームがあるように攻撃してこない敵を撃ってクリアしても何か物足りない。そういう気持ちになるゲームであり、そういうゲームを作っているナムコという会社であるんだなと思った。

長々と書いてしまったがこれも長い絵巻のほんの一部。素晴らしい時間と素晴らしいゲーム達、そしてメーカー、それらがあって本当に素晴らしい空間、ゲームセンターなんだ。いつもそう思っている。


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