林真理子

林真理子が好きだ。エッセイストとしては日本で間違いなくNo.1だと思う。

彼女のことを知ったきっかけは週刊文春だった。夜更けの縄跳び。洒落た名前じゃないと思う。誰が考えてるんだろうか、誰がつけたか夜更けの縄跳び。

彼女のことをNo.1のエッセイストとして私が意識するようになったきっかけは間違いなく伊藤詩織さんの告発を彼女が自身のコラムで取り上げてからだ。

週刊新潮に端を発したこの事件。安倍総理に関しての著作があることで知られる山口敬之氏が女性に性的暴行を加えたとして週刊新潮で報じられたのがこの事件だ。そして伊藤詩織さんはこの事件の被害者だった。そんな彼女が開いた記者会見を見て林真理子はこう書いた。

私は詩織さんの会見を見て感動した。女性に対しての性被害はどんなことがあってもあってはならないことなのだ。と、

多くの人は何だその程度かと思うかもしれない。これはその程度のことではない。林真理子が連載を持つ週刊文春は事件の加害者である山口敬之氏の事を記者として重宝してきた。慰安婦問題に関しての特集記事を文春で掲載させた。文春の元編集長である新谷学は山口氏のことを「総理に最も食い込んでいる記者」と著書の中で高く評価している。それもあってか山口敬之氏によるレイプ事件が文春で報じられることはなかった。そんな中。林真理子は文春にコラムを連載する人間として、直木賞作家の意地をかけて伊藤詩織さんの事をコラムの中で書いたのだと思う。その時の彼女のコラムは詩織さんの会見への称賛にとどまらない。こう続く。

こんな時にウヨウヨ出てくるのがネット上のボウフラたちだ。やれ、美人局だなんだと非難してくる。私は、これこそが最もゲスな行為であると思う。と。

私もそう思う。詩織さん自身も著書の中で左右問わず私の事件を利用して自身の主張を通そうとしてくる人がいたと記載している。そして、それが嫌だったとも。この事件は一人の女性が傷つけられたのに加害者と目される男はまんまと逃げおおせた。そんな事件なのだ。酷い話だと何故思わないのか。その方が私は気になる。

そして、林真理子がコラムの中で書いた「どんな格好をしていたからといってそれが女性を傷つけていい理由にはなりません」との記述は後にドラマアンナチュラルの中で石原さとみが発する台詞にも採用されている。今の時代に最も売れている脚本家が今の時代に最も売れているような作家に発せさせたいと思うような言葉を紡ぐことが出来るのが林真理子の凄さだと思う。

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