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【イベントレポート】『日本酒はおいしい!』刊行記念トークイベント〜月の井酒造店の杜氏・石川達也氏をお迎えした日本酒呑み比べの会〜

日本酒本の決定版『日本酒はおいしい!』の刊行を記念して、4月6日(土)にトーク&日本酒の呑み比べ会を、神保町にあるPASSAGE bis!にて開催しました。

月の井酒造店の杜氏・石川達也氏をゲストにお迎えした、ディープな日本酒と本の話の一部をお届けします。


イベント登壇者
月の井酒造店の杜氏 石川達也氏
『日本酒はおいしい!』著者 ワダヨシ氏/浅井直子氏

(向かって左から)浅井氏、石川氏、ワダ氏。参加者の皆様も、お猪口を掲げて「乾杯!」からのイベントスタート

日本酒が面白い時代に、日本酒の議論を深める入門書を

3月に発売した『日本酒はおいしい!』は、醸造方法・麹・酵母などの基礎知識から、海外の日本酒事情、国内外の注目の蔵から歴史、味わい方など、知っておきたい日本酒の最新情報をイラストで解説する資料的価値の高い1冊です。
本書を企画した背景について、「日本酒ジャンルが面白い時代、現状をキャッチする入門書を作ろうという目論見があった」と著者のワダヨシさん。共著者の浅井直子さんからも「これまでの歴史で持ち上がってきた、日本酒の議論をさらに深めることを意識した本にしたかった」とお話しされました。そのため、酒造りの現場にいる方でないと分からない、視点が不可欠と考え、本書の制作には途中段階から日本を代表する杜氏の石川達也氏にアドバイザーとして参加いただくことに。本書完成を記念したイベントでは、石川杜氏をお招きし、著者二人から本書には掲載しきれなかった酒造りにまつわる深いお話を色々と伺いました。

石川達也
茨城「月の井酒造店」杜氏、広島杜氏組合長、日本酒造杜氏組合連合会会長。神亀酒造での修業を経て、1996 年に「竹鶴酒造」の杜氏に就任。 2020 年10月より「月の井酒造店」へ。杜氏として 初の文化庁長官表彰(2020 年度)を受ける。 (イラストは『日本酒はおいしい!』P77より)


「狙わない酒造り」を追求する石川杜氏

トークでは、石川杜氏の「狙わない酒造り」の話題から、数々の文献を読み解きながら確立してきた氏の酒造りの姿勢が垣間見えました。「今の造り方を当たり前に思うが、昔はどうだったのかを検証すると、今の常識とは少し違うことが見えてくる。」と石川杜氏。「歴史を勉強することは、歴史的な知識を得るのではなく、(今の酒造りに)昔の視点を取り入れること。」と話された氏は、昔の人の仕込み配合に挑戦されているそうです。先人たちが残した知識に対する深いリスペクトを感じました。
※石川杜氏の「狙わない酒造り」の様子は、先日NHK水戸で放送されました。

大柄な石川杜氏。掌も大変大きいです!この大きな手で美味しい日本酒を醸すのですね


月の井酒造店のお酒4種類の飲み比べ

トークの間、参加者の皆様には、月の井酒造店の4種類のお酒を呑み比べていただきました。

今回の呑み比べにご用意いただいた、石川杜氏が仕込んだ月の井酒造店のお酒

石川杜氏から直接、それぞれの色や風味、醸造方法までお話しいただく貴重な時間となりました。石川杜氏から、市場にはなかなか出回らない1本、「和の月80 滓酒 新酒」もご提供いただきました!『日本酒はおいしい!』を読みながら、燗酒を嗜み、石川杜氏のお話をいただく貴重な会となりました。月の井酒造店の方々がおかわりも注いでくださり、参加された方は、一人一合以上はいただいたようです。

月の井酒造店の方々から、会場の皆さまに燗酒をお酌していただきました
石川杜氏が絶大な信頼を寄せるお燗番の方に絶妙な温度で燗をつけていただきました


日本酒を飲む人に思いを馳せてほしいこと

様々な場面で見聞きすることの増えた「タイパ(タイムパフォーマンス)」「コスパ(コストパフォーマンス)」の価値観が、酒造業界にも及びつつあるとのこと。石川杜氏は、蔵元が減少しつつある現状について、造り手側のコスパを重視した大量生産に警鐘を鳴らしつつも「日本酒を呑む人たちにも、蔵が長く続くにはどうすれば良いのか少しでも思いを馳せてほしい」とお話しされました。
「酒は人が造るものではなく、授かるもの。神に祈りながら造るものであることを頭に入れている」という姿勢で日々酒造りと向き合う石川杜氏だからこそ、重みを感じる言葉でした。
当日は30名近くのかたにご参加いただき、大盛況のうちにイベントは終了しました。改めてご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

イベント終了後には杜氏にサインをお願いする方が列をなしていました! 参加者には、官公庁の方から、大学教授、酒屋を営んでいる方まで、日本酒を支える面々がたくさん集まりました。みなさまご参加ありがとうございました!

「日本酒に興味がある」「日本酒の知識をもっと深めたい」という方は、ぜひ『日本酒はおいしい!』をお手に取ってお楽しみください。


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