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Au pair ワーホリ カナダ生活171日目 「次の街、ハミルトンに到着」

 まず、最近フォローしてくださる方が少しずつ増えていてありがたいなと思っている。どんな方がフォローしてくれているかはよくわからないけれど、海外に行きたいと思っている人が少しでも前向きに身を軽くして外に飛んでいけるようなきっかけになるものが書けたらいいなと思いながら、また今日も文章を書いてみた。

ティミンズ空港に到着後もトラブルだらけ

 前のホストファミリーの家からティミンズ空港まで、約2時間以上かかる。
 ホストファザーが送ってくれた。朝10時ごろに出発した。14時ごろに着けば良かったので、「えらい早く出発するな。お昼ご飯でも一緒に食べるんやろうか」と思いながら車に乗った。
 2時間の道のりの中で、半年前にここに来た時はずっと寝ていたなと思いながらホストファザーと話をした。他愛もない話だったけれど、英語で会話ができたことに安心したし、少しだけスキルは伸びているのかもしれないなと思った。
 12時半ごろには見覚えのある空港に着き、感傷にひたる暇もなく、ホストファザーと最後の別れの挨拶と握手をして、一人きりになる。どうやらお昼ご飯は一緒に食べないらしい。どうしたものかと悩んでいると、スナックの自動販売機があった。でも、カードが使えない。現金のみだった。私は現金を持っていないのだ。
 隣にはATMがあったので、「しまったな。ホストファザーに聞いておけば良かった」と思いながら、カードを差し込んだ。フランス語だったので、余計によくわからない。
 とりあえずDeeplのカメラ翻訳を駆使して、ボタンを押していくがエラーでお金がおろせなかった。飲み物も買えず、スナックも買えず、たまたまリュックに入れていたキャンディを舐めながら椅子に座り込んだ。
 16時半搭乗なのでまだまだ時間はあるし、そもそもスタッフがいないのでチェックインすらできない。
 ぼんやりと過ごしていると、15時半ごろにスタッフが集まり始めたのでまず荷物をスキャンする場所に行く。英語がわからずスタッフを少しイライラとさせてしまうが、とにかく荷物をコンベアに乗せた。その時、親切な人が手伝ってくれた。
 荷物には何も異常はなく、カウンターで搭乗手続きを済ませようとしていると、女性スタッフから「あなた、荷物がオーバーしているわよ」と伝えられた。58kgだった。とてもじゃないけれど、23kgまで減らすことはできない。いくらか聞くと「140CADよ」と言われ、素直に支払う。恐るべき金額だと思うけれど、もうこの時の私にはどうすることもできないので何の感情もなかった。もし嫌だと思っても、減らすことは出来ないのだ。
 ここで、なぜ行きは荷物を段ボールに分けていたのかを思い出した。今回の荷造りでは「あー、荷物減ったんだな」と思っていただけで、すっかり忘れていたのだ。追加荷物の方が安いので、段ボールに詰めた方が良かったのだけれど、後悔先に立たず。
 もう一つの荷物も大きすぎて本来は追加料金だったのだろうけれど、私が機内に持って行けるかどうか尋ねようとしたところ、「まあいいわよ。機内に持っていっても」という形でOKをもらえた。多分荷重料金が高いこともあって温情をうけることができたのだと思う。まあ結局、搭乗する時に機内の荷物入れに入れることができないと言うことで機内には持ち込めなかったのだけれど。それでも無料でひとつは運んでもらうことができた。

 機内に乗り込んで音楽を聴きながら、今までのことを振り返って私の中にふっと込み上げてきたのは「あぁ、楽しかったな」という一言だった。もちろん大変なことも多かったし、子どもたちの態度に苦しめられたこともあったし、それが理由のひとつで今ここを去ろうとしているのだけれど、それでも子どもたちと一緒に遊んだトランポリンや彼らの笑顔を忘れることはないだろう。汗だくになって、ぜぇはぁぜぇはぁ言いながら寝そべったトランポリンの上で、彼らの体温や肌の柔らかさを感じた。
 涙が込み上げてきて、泣いた。去ることにはなったけれど、ここに来たことは間違っていないし、ここを去って次の街に行くことも間違っていない。
 そんなことを思いながら飛び立つのを待っていると、機内トラブルで降りろというアナウンスが流れた。
 ドラマチックな別れとはならず、私は機体を降りた。20分後にもう一度乗り直しながら「この飛行機、本当に大丈夫なのか」と思いつつ、乗ること1時間半。
 トロント・ピアソン空港に着いた。

 荷物を取りに行くために、早歩きで空港内を歩く。半年前に来た時の道をそのまま辿っていた。不思議な気持ちだった。
 あのときのこの道は本当にどきどきしていて、緊張していた。きちんとファミリーの元に辿り着くことができるのか、これから自分はうまくてやっていくことができるのか。英語が話せないから誰も味方がいないような気持ちでいっぱいだった。荷物を少しでも減らしたくて着込んでいたせいで暑かったし、浮腫んだ足で履くブーツは少し痛かった。
 英語が話せないのはあの頃と一緒だ。でも、私の心はとても落ち着いていたし、身軽だった。何かが起きても誰かが助けてくれると思った。
 何の進化もないと思っていたけれど、この半年間で少しは変わったみたいで、確実に時間が流れていることを実感した。能力を取得することだけが前に進んでいる証拠ではなく、周囲にはわからなくても自分だけが理解できる進歩というものもあるのだ。
 英語が話せた方がいいに決まっているけれど、話せなくてもなんとかはなる。


ホストファミリーと対面する

 ホストファザーと無事合流する。彼は日本語が話せるので、日本語で会話をした。フレンドリーで話しやすく、ホストファザーというより、友達のような距離感だった。
 駐車場料金を支払っている時、後ろに並んでいた男の子たちが日本語を話していたので、まるで日本にいるような感覚に陥りながら、日本人いるんだなと思った。
 他愛ない話をしながら車で走ること1時間半ほど。家に到着した。周囲は大きな家ばかりで、住宅街の奥にあった。夜に出歩いている人もちらほらいて、治安の良さを感じた。
 ホストマザーは日本人で、テレビ通話したときの印象通り、率直な感じで裏表のない雰囲気の人だった。
 その日は子どもを寝かしつけた後で子どもに会うことができなかった。色々部屋を案内してもらい、夜ご飯を食べた後、ぐーすか寝た。
 翌日も何もすることがなかったので、ぼんやりしたり荷解きをしたりして過ごす。毎週金曜日はテイクアウトの日と決まっているらしく、ベトナム料理店のフォーを頼んだ。ピックアップされたお店は色々あり、次回はお寿司を頼もうと思っている。これだけでも、前いた場所とは全然違うことを感じた。


買い物に出かける

 歩いて行ける範囲に、映画館や本屋やらショッピングできるお店がいくつか集まった場所があり、ホストファザーとともにそこに向かった。
 まずは画材屋さんへ。アクアブルーの絵の具が欲しかったので買おうとすると、ホストファザーが一緒に買ってくれた。ありがたい。
 その後、本屋さんに連れていってくれる。
 実は、私はカナダのワーホリが終わったら、日本に戻り、働きながらチェコの美大を目指そうと思っていた。チェコの美大からテストの際に読んでおくと良いという本が3冊ほど提示されていたのを知っていたので、英語の勉強がてらその本を読みたかった。ないかどうか探していると、見つかった。今年新しく出版され直していたらしく、この本が売っていたのは本当にラッキーなことだと思うし、これだけでここに来て良かったと思えた。
 読み始めてみたものの、圧倒的な単語不足で1ページ読むにも1時間以上かかるという亀っぷり。心折れそうになるものの、頑張って読み上げたいと思う。

 その後もスーパーに連れていってもらったり、Walmartに連れていってもらったりした。Walmartでは、シャーペンの芯を買いたかったのだけれど、ひとつもなく、さらに言えば文具コーナーは商品がぐちゃぐちゃになっていて、海外を感じた。しかもシャーペンの芯も0.7mmしかなく、「標準って0.5mmじゃないのか」と思った。
 こちらはとにかく芯が太い。ボールペンも0.7mmが多く、私は細い方が好きなので困っている。日本人が細いペンを必要とするのは細かい描写のある漢字文化だからなのだろうかと1人思っていたりするのだけれど、どうなのだろうか。
 ホストマザーもこちらの人はみんなほとんどボールペンを使っていて、シャーペンは使わないらしい。確かに前の家でも子どもたちは鉛筆を使っていたし、よく鉛筆にの頭についている絶対紙を汚す消しゴムで文字を消していたことを思い出した。ホストマザー曰く、こちらはデジタル化も進み、ほとんど文字を書くことがないため、文字が下手くそな人が多いのだとか。


初めてのお仕事

 ここでの私の役割に、子どもの面倒はほとんど含まれていない。基本的には週2、3回犬の散歩と夜ご飯をつくり、週1回掃除をするくらいだ。簡単な仕事をする代わりに、賃金は発生しない。
 なので、英語ができない私でもできる仕事を探している。運がいいことに日本人を探しているお弁当屋さんが見つかったので、今週はここに履歴書を持っていく予定だ。このお弁当屋さんのオーナーさんは元々日本でお店を開いていたことがあり、日本語が話せるらしい。ホストマザーが架け橋をしてくれたおかげで、良い縁と繋がることができるかもしれない。ありがたし。

 今日はハンバーグを作った。前のホストファミリーではよくハンバーガーが出たのだけれど、ミンチをただ丸くしただけのもので、日本のハンバーグとは違っていた。もちろん、これはこれで美味しいのだけれど、日本のハンバーグが恋しかったので、作ってみた。
 予想以上にお肉が脂っぽかったけれど、玉ねぎがたくさん入った日本のハンバーグを食べることができて良かった。ご飯がすすむ。いつも入れる豆腐を入れれなかったのは残念だったけれど。
 ホストマザーも家庭の味だと喜んでくれて、お世辞だったとしても嬉しかった。人にご飯を食べてもらう機会なんてほとんどない私にとっては、少し緊張したものの、久しぶりに料理をして楽しいなと思った。
 次は肉味噌ナスをつくる。これも私が食べたかった料理なので、作れることが嬉しい。そもそもナスを食べること自体、とても久しぶりだった。ナスが大好きなので、作れることを楽しみにしている。

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