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Au pair ワーホリ カナダ生活135日目 「初めて自分の意見を言った」

子どもからの意地悪はやまない

 子どもたちのことは好きだ。一緒に遊んでいると楽しいし、本当に可愛らしい。何かイベントが起きると、教えてくれたりする。
 でも、子どもたちからの些細な意地悪はやまない。
 例えば、「おばあちゃんの家に行くよ、あなたも来る?」と聞いてきたので「行きたいな」と答えると、「来るな」「お前は来ちゃダメ」と何度も言われることがある。
 本当に些細なことだし、「子どもの言うことでしょう」と思うかもしれないけれど、そんな子どもたちと同じ屋根の下で暮らし、毎日顔を合わせていると、うんざりすることも少なくない。
 しかも彼らが悪気なく、本心から私のことを受け入れられないということなら私自身も納得できただろうし、この家を去る決意をかためて飛び出すだけだった。でも、彼らは自分達に悪意があることを理解している。私たちの間に何が起きているのか、ホストペアレンツには言われたくないからだ。それがなんとも言えない気持ちになる。
 そしてとうとう先日、再びそれを言われたので、私は心底行く気をなくし、ホストファザーに「こういうことを言われたから、今日は行くのはやめます」と伝えた。
 4ヶ月間、どんな意地悪をされても今まで言ったことがなかった。そもそも、私はそういうことを伝えることが苦手なのだ。告げ口のような気がしてなんだか気分が悪いし、子どもの言うことなんだから私が流せばいいだけのような気もして、結局何も言えずにいた。言語の壁も、その理由の一つだと思う。
 どんな親だって、自分の子どもが人に迷惑をかける嫌な一面があるとは思いたくないんじゃないだろうか。自分が我慢すれば、表面的には上手くいっているように見えるのだから。
 でもここ最近、この考え方はだめなんだって気が付いた。自分を大切にしながら他人とも共存していくには、話さなくてはいけない時もあるんだと。
 海外に来て改めて、私は他人との共存が苦手だし、下手くそなんだと気が付いた。気が付いても30年も染みついたこの癖はなかなか直せそうにないけれど、極力、思考を正そうと努力している。

 そんな気付きとバンカスが終わったら他の家に行こうということを決めたからなのか、すんなりとホストファザーに伝えることができた。
 家族で話し合いが行われた後、子どもは謝りに来てくれた。それで今回の出来事は終わりにしたものの、結局ついて行くことはやめておいた。

 初めて、人から何かをされて嫌だと伝えたかもしれない。
 私はふっくらとしている外見と明るく見える性格とが合わさって、気軽にひどいことを言われる存在だった。それから、どんな悪口を言われても、その場の空気を悪くしたらいけないと思ってヘラヘラし続けてきたから、たいていの悪口に対して鈍感になった。
 それでも傷つくときはあったけれど、笑って流して自分を大切にしてこなかった。

 きちんと自分の意見が言えたという体験を、もっと重ねていきたいと思う。

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