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Au pair ワーホリ カナダ生活195日目 「レストランのトライアルが決まる」

 近頃、10度前後の寒さになってきた。カナダは冬の様相を見せている。私はまだカナダの冬を体験していないので、どんな冬になるんだろうと思っている。


トライアルで仕事が決まる

 今お世話になっているオペア先では、お給料が出ないという話を何度かしていると思う。食費や日用品を捻出してもらっているし、やることも少なく、自由時間が多いので不便なく日々を過ごしているので何も不満はないのだけれど。
 でも、なにかとお金のことは気になるものだ。ほとんどお金を使わない生活を送っているので目減りはじわじわとしたものだけれど、やっぱり減っていくのは少し焦りを感じる。
 お金のことだけが不安だということを前々からホストファミリーに伝えていたので、ホストマザーも気にかけてくれており、たまたま見つけた求人を2件ほど紹介してくれていた。
 中国人のオーナーで日本食のレストランとお弁当屋さんを営んでいるところだった。オーナーは過去に日本に住んでいたらしく、少しだけ日本語が話せる。メニューの料理を見てみたけれど、日本食という感じで、すき焼きまであったり、日本への愛を少し感じた。

 まず、ホストマザーがまだ募集しているかを電話で聞いてくれた。彼女は本当に親切だし、同じ日本人なので配慮が細やかだ。
 その電話のときにオーナーさんが日本人アクセントの英語だなと思ったのか、「日本人?」と聞いてきたそうだ。そこから、「履歴書を持ってきて」という話になり、直接持っていく段取りになったのだけれど、当日、ホストマザーに「電話してから持って行った方がいいかも」と言われ、前回履歴書を持ってきてと言われたので今日の午後にいこうと思うけれど問題ないかと電話をすると「メールで送って」と言われてしまった。
 メールで送ったけれど返事はなく、ホストマザーに「こうなったら直接行きましょう」と言われ、1週間ほど経ってから直接渡しにいくことになった。
 そんなこんなで履歴書を出しに行ったのだけれど、このときの空気は不思議な空気感すぎて、渡し終えた後にレストランの前で思わず笑ってしまった。もちろんこれは、渡すときに私の日本人らしい性格がでてしまったがゆえに起きた失敗であり、不思議な空気だったのだけれど。
 何度も言っているように、私は英語が話せない。勉強をしていないわけではないのだけれど、一向に話せるようにならないのだ。多分、やる気がない。カナダにいるのに、英語を使わずとも生きていけてしまうからだと思うし、英語取得という目的が第一ではないからだと思う。
 このことについては、まあいつか話せるようになるだろうと思ってのんびりふわふわ勉強している。そんな英語力で履歴書を配りに行って、何度も練習したフレーズを言ったけれど、オーナーはどことなくぽかんとした雰囲気だった。
 シミュレーションとして色々な動画を見ていたけれど、私が想定していないシチュエーションだった。私が動画で見ていた時は、だいたいは受け取った人が「OK、オーナーに渡しておくわね」といった具合で受け取られるか、少しだけ「どこのポジションがいいの?」みたいな会話が始まっていたので、向こうのアクションを見て反応していこうと思っていたのだ。
 向こうはその場で履歴書を見てくれて、そのあと沈黙が続いた。
 私はどうしたらいいのかわからなくて、「Thank you」と言ってその場を離れた。あとからホストマザーに言われたのは、「ここはアピールする文化だから、自分のセールスポイントを話してくれるのを待っていたんだと思う」ということだった。
 レストランから出てすぐに、ありがとうしか言えなかった自分もなんだか間抜けだし、なんで沈黙になったのかもわからなくて、変なのと笑ってしまった。そのあと、あぁこうやって英語で言えばよかったなぁと、ホストファミリーが迎えにくる間の暇つぶしで散歩しながら考えた。
 歩いていると、ホストマザーから「どうでした?」という連絡が届き、ことの顛末を伝えると、「もしかしたら向こうも理解していないかもしれないから、私からもう一度説明しますね」という返事が来た。
 というのも、今のホストファミリーは毎週金曜日はテイクアウトデーと決めており、ちょうどいいから金曜日に渡しに行こうという話をしていたのだ。仕事帰りに私を迎えに行って、そのついでに日本食のお弁当屋さんでテイクアウトしたものをもらって帰路につこうという予定だったので、ホストマザーはオーナーと直接話すタイミングがあったのだった。
 17:15頃にお店の前に集合と言われたので、17:10に飲み物を買いにジュースショップにいると「着いたので来てください」と連絡が入る。
 意外とジュースがくることが遅かったり、信号が複雑だったりでもたついていると、彼らはテイクアウト品を持ってレストランから出てきてしまっていた。
 「連絡するから心配しないでって言ってましたよ」と言われたので、1週間くらいのんびり待つかと思いながら帰路についた。
 正直、仕事が決まらなくてもよかった。決まったらラッキーだし、決まらなくてもとりあえずレジュメ配りは一度だけ経験できた。
 ホストマザーは日本人コミュニティーにも入っているので、「他のファミリーにシッター募集している人いないかどうか聞いてみますね」と言ってくれた。
 ホストマザーが色々と気を配ってくれるので、とてもありがたいし、こうやっていい人と繋がることができる運があって良かったなと思う。

 その週の木曜日の22:00ごろ。知らない番号から電話が来た。カナダの携帯の電話番号は、使いまわしているらしく、私の前の電話番号の持ち主の知り合いらしき人からたまに電話がかかってくることがあった。
 ホストマザーの電話番号にも似ていたので、出てみると日本食レストランのオーナーだった。
 電話での英語だったので、本当に自信がなかったけれどやるしかないしなるようにしかならないのでとりあえず話した。
 なんだかんだで今週の木曜日にトライアルで働くことになったらしい。
 次の日、ホストマザーに伝えると「良かった。電話こなかったら、こっちからもう一度電話しようと思ってました」と言われ、不屈の人だなと思った。

オペアとしての子どもとの距離感の掴み方

 今週の月曜日は私は子どもと2人きりで過ごす、2回目の夜だった。1回目の夜は、パパとママがいないということと慣れていないこともあってやや大変だったのだけれど、今回は大分私に慣れてくれたのか積極的に遊んだりした。笑うことも多く、自分でたくさんの本を持ってきてくれたりしたので、大きな変化を感じる。
 正直、私は保育経験がほとんどない。身近に子どももいないので、子どもがどういう生態系なのかよくわかっていない。
 そんな中、感じたことは保育経験のない人がオペアになって辛いのは子どもとの関係を築く最初のひと月なんだろうなということ。少なくとも、私は最初のひと月がしんどいなと思った。特にオペアが来ることになれていないファミリーかつ低年齢の子どもの場合だ。
 それから、子どもと初対面から仲良くなれるという幻想は持たない方がいいと思っている。こちらが子どものことを好きだろうが、そんなことは子どもからしたら一切関係ないのだ。
 あくまで突然あわられた異国の人間なので、警戒心が強くて当たり前だし、仲良くなるのには時間がかかる場合もある。
 動物と同じ感覚だ。かわいい野生動物を見て、こちら側には悪意もなくただ少しだけ撫でさせてほしいと思っていても彼らにはそんな意図はわからないし、私たちのことは他の捕食動物と同じに見えている。

 年齢によっても違うと思うけれど、なんとなく、仲良くなるコツは一緒によく遊ぶことと抱っこのような気がした。
 安心感を与えることが第一だと思うのと、こいつは面白いやつだと思わせると一緒に遊ぼうとたくさん声をかけてくれるようになる。子どもたちにとって、抱っこは安心できる要素のひとつのように感じている。
 私は正直他人の子どもを抱っこすることに抵抗がある。怪我をさせたら嫌だから接触をしたくないと思ってしまうのと、馴れ馴れしすぎる気がして、抱っこすることが苦手なのだった。
 でも少し慣れてきたくらいに抱っこをしてみて嫌がらなかったら、積極的に取り入れるようにしてみると、仲良くなるスピードも早まったように思う。

 最初から、親のようにはうまくはできないし、そもそも親自体が子どもに手をやいていることも少なくない。
 子どもたちが言うことを聞いてくれないせいでスケジュール通りにできなかったとしても、「慣れるのには時間かかるし、ぽっと出の私の言うことなんか聞かないか」と、いっそのことふんぞりかえってしまう方が精神衛生上、いいだろう。
 ただし、きちんと注意はした方がいいと思う。何も言わないと、子どもたちは下にみてくるので後々厄介な関係構築になるからだ。この辺りは、犬との関係構築に似ているかもしれない。一度立場が逆転すると、戻すのは難しい。
 例えば注意するときも、説明もなく「やる時間だからやってね」というよりも、「あなたのパパとママがやってねって言ってるんだよ。私はパパとママと一緒。パパとママが駄目って言ったら私のときでも駄目だし、やってねと言ったらやらなくちゃいけないよ」と説明するように伝えることが大切だと思った。
 子どもたちは私たちが思っているより強い自我を持っているし、彼らが私の言葉に納得できるかどうかは信頼関係の構築にも大きく関わると感じている。
 私は実際に、何度言っても私のこと言葉を信用してくれない「自分が絶対正しいマン」の女の子のケアをしていたときに、もう体験してもらうことでわかってもらうしかないと思って、わざと彼女の間違いに従うことをしていた。
 例えば「17時50分にサッカーのために公園に行ってね」とホストマザーから言われていたのだけれど、子どもは「17時に行かないといけない!」という主張し続けるものだから、そのまま連れて行くことにした。案の定、私が正しかったので誰も公園にはおらず、「ほらね、だから言ったでしょう。私のことを少しは信用して!」と笑いながら伝えるということを何回か繰り返した。
 そうすると彼女は次第に私の言葉を信用してくれるようになっていった。言ってもわからなければ、体験させるしかないと思うので、許容できる範囲で失敗を繰り返させることもよい手段だと思う。

 うまくできなかったときはホストペアレンツにどうしてできなかったかの状況説明をきちんとした方がいい。子どもに注意してくれるし、私自身の頑張りも知ってもらえるからだ。
 私は陰口のようで言うこと自体は控えていたけれど、我慢できないことや子どもたちを諌めるためにも要所要所で伝えるようにしていた。
 それで子どもではなく、オペアを責めるようなファミリーは少しおかしいので、ファミリー先を変えてしまうのもいいかもしれない。

 多分、子どもたちとの距離が縮まるのはひと月くらいかかるんだろうなと思っておくと心が楽になるかもしれない。
 それまでは意地悪もされるし、親しか受け入れないという姿勢も見せてくるし、ため息がでることばかりされるかもしれない。
 でも、それが子どもなのだ。失礼なところも可愛いところも、鬱陶しいところも突拍子がなく面白いところもひっくるめて子どもなんだと思うと、私は少し気が楽になった。

漫画ってやっぱりすごいし、面白い

 カナダに来てまで漫画読んでるって何してるの?と思われるかもしれないけれど、最近ものすごく漫画を読むことにはまっていて、今まで忙しくて読めなかった分を取り戻すかのようにせっせと読み漁っている。
 日本にいたときは、仕事のことや家庭のことしか考えていなくて、長編の漫画を読むことはできなかった。子供の頃はあんなにも一生懸命になって読んでいたのに。
 ワンピース、呪術廻戦、ヒーローアカデミア、ハンターハンター、嘘喰い、キングダム、青野くんに触りたいから死にたい、裏バイト、アルテなど、途中で読むのをやめてしまったものやおすすめされたものや気になっていたものを片っ端から読んだ。
 改めて漫画ってすごいなと思う。言葉選びもそうだけれど、心理描写も細やかで臨場感がある。海外からの人気が高いのも、とても納得できた。

 私は本屋が好きなので、よくふらふらと見に行くのだけれど、本のデザインを見ているだけでも文化の違いを感じることができて面白いと思う。
 例えば、漫画コーナーに行ったとき、日本だと漫画は比較的安価で手に入るが海外では普通に1600円とかする上に、カバー表紙がないことに気がついた。
 日本ではカバー表紙があって、それを外すと本体に直接印刷されている表紙を見ることができる。今はどうか知らないけれど、昔はカバーと本体の内容が少し違っていて、四コマになっていたりふざけた小ネタをはさんでいたりと作者の人柄が垣間見える気がして好きだった。折り込み部分にある作者の一言コメントも好きだったりする。単行本を買うたびに、それらを楽しみにしていた子ども時代を過ごした私としては、少しもったいなさを感じた。
 しかも、海外の漫画はものによっては文字量が多い。カードキャプターさくらを読んでいたとき、背景のオノマトペは日本語と英語の2種類になっていたからだ。日本語を消さずに英語を追加しているので、文字量が多く感じた。
 面白い漫画を母国語で読むことができるのは、とても幸運なことだと思う。

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