ディルタイ

解釈学以前

解釈学は一つのダイナミックな思想運動
常に発展・展開=意味変更
×固定した学説
×確定した方法でもない

始まり
古代ギリシアの解釈術
解釈とは「意味不明な言葉や事柄を
理解可能な言葉で表現し他者に伝達する事」
そのための技法

17~19Cまで西洋の伝統
文献学・神学・法学の「基礎学」「補助学」

17Cシュライエルマッハー「一般解釈学」
「理解」「解釈」の働きそのものを主題化・理論化
→独立した学問…現代の解釈学の出発点。まだ「哲学」ではない
ディルタイ・ハイデガーにより、哲学の核心部へ

方法論的二元論

学問全体を二つに分類
自然科学…「説明」が目的、機械的な因果運動
精神科学…理解する

ドロイゼン(歴史家)…方法論的二元論の先達
自然科学…帰納によって法則を探求、法則に基づいて個々の現象を演繹的に導出する
歴史学…精神の感性的な表現を理解する(形態学)
個別的なもの(特殊的・感性的)を通して全体的なもの(一般的・精神的)を理解する
この相互理解の関係が「解釈学的循環」

根本思想:「生を生それ自身から理解する」 =人間の自己理解

心理学と解釈学

心理学(豊かな内実は捉えられない)としての精神科学の対象は人間的生(の基本的構造の解明)
→「体験」に立ち返ること
体験…心的生・本源的所与
分析… 体験を要素に還元せず、その有機的組織を損わないようにしながらその分肢を分節化すること

ディルタイはこの心理学の考え方を転回
解釈学としての精神科学の対象は「歴史的社会的現実」…体験の表現
→「表現」を通して「体験」を「理解」する…三つの連関が精神科学の原理
これが解釈学=理解の理論

解釈とは

・様々な理解内容を統一にもたらす働き
 あるいは予め理解されていることを
 さらに展開する働き
・未知と既知との間
 →予め理解されていることから出発、
  未知の領域に進んでいくこと
→解釈学的循環(あらゆる解釈の限界)

理解とは

・「表現」を手がかりに「体験」を捉えること
 ex.他者理解…自己の体験を移入することで追体験(ガダマーはこれを批判・主観と主観の神秘的な交わりになる。事柄・事象による一致を目指すべき)
・「個性」の把握を目指す(人物や作品のそれ)
最高目標→作者が自分自身を理解していた以上によりよく彼を理解すること

晩年の展開

①時間性
 →進展していく生において理解はたえずズレていく
 →一方、理解の「普遍妥当性」を目指している(生と学の分裂、これもガダマーは批判。対象化された歴史ではなく生きられた歴史へ戻るべき)

②「客観的精神」の概念の導入
 特定の時代や社会における共通の意味地平。そこに生きる人々の思考・感情・意欲の限界
→人間存在そのものの歴史性・有限性
 出会うもの全てに「○○として」理解される

解釈学の変貌
「精神科学の方法」から「生活世界」の理論へ

ガダマーが継承したこと
・人間は歴史的存在
・客観的精神≒「先入見」


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