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Alien Mind Cafe #11

「はるきくん 素晴らしい音色を聞きたくないかい」
1年以上も遠ざかっていた『Alien Mind Cafe』の世界がノックした
はんは55,000円もした火箸を持ち込んだ
これは正確にはドアチャイムらしい
火箸同士がぶつかり音が出る
この火箸は12世紀半ばから明治まで甲冑を作って来た家系であり「明珍」と言う名前を天皇よりいただいた53代続く名家の作品である
甲冑は今では需要がない為、火箸制作に移行したと言う流れらしい
高額なわけだ
火箸同士がぶつかり音が鳴る
確かに素晴らしい音色だ
えんえんと火箸と明珍について話していたが、わたしはその音色に聞き入っていた
明くる日、今度は夏限定の風物詩「風鈴」を持ち込んできた
火箸から着想を得たのだろう
デザイン、素材、音色どれも素晴らしい
風鈴はどんどん増えていった
決してはんが選ぶ風鈴は安くない
5,000円から10,000円の間の風鈴を10個程購入して
素材の違いを延々説明してきた
わたしは多忙だったので、自身で制作して中止していた「水」を使ったサウンドシステムの構築、これをわたしは「灌漑サウンドシステム」と名付けている
これと風鈴の相性は良さそうだなと思っていた
はんは燻製の開発と風鈴の収集に躍起になっていた
わたしは注視しながら、次のステージに行けないはんを眺めていた
毎回持ち込まれる風鈴の音色に耳を傾けていた
音色は心地良いのだが、当の本人が煮詰まっていた
そろそろスルーパスが必要だったので、はんのお肉屋さんで仕込んでいる燻製を仕入れた
そのまま、まだ稼働してない屋台で燻製ポークと燻製豆腐を販売した
はんは仕事が終わると「はるきくん 売行きどうだった?」と聞いてきた
ほとんど完売していて、特に燻製豆腐の評価は高かったと伝えた
はんはノッタ
そのまま屋台に今ある全ての風鈴を設置し出した
しかし風が吹いても風鈴は音色を発せなかった
風量が足りないのだ
ネクストステージだぞ
わたしはそう思いながらしばらく様子を見ていたが、はんは何もせずハイボール飲んでいた
わたしはここまで充分に伏線を張っておいた
屋台に燻製販売→風鈴設置
もはやこの先が見えないはんが可笑しいとしか思えない
流石、他力本願
わたしはスピーカーと同じ様に2基のサーキュレーターを設置して、3Dに風を送る事にした
屋台全体をサウンドシステムとして捉えて見せた
風鈴は待っていましたとばかりに各々の音色を響きわたした
「はるきくん これだよ これなんだよ」
「これこそがAlien Mind Cafeなんだよ」
はんは興奮していた

続く

※Alien Mind Cafe試聴方法
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