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人生とオムレツはタイミングが大事

はじめまして。

大阪で小さなワインスタンドを営んでおります。

いつかチャレンジしたいと思いながら中々一歩を踏み出せずにおりましたが、
少しだけ時間にも余裕が出来たので今回「note」にて駄文を書く運びとなりました。

SNSでは少しでも多くの方にお店やワインに興味をもっていただきたく日々投稿しておりますが、こちらでは自らの備忘録も兼ねての極々 私的な (或いは変態的な) 文章を書き連ねていこうかと思っております。

所謂ナチュラルワインを初めて飲んだのは20歳の頃、2006年くらいでしょうか。
その当時、私はシャンパーニュやブルゴーニュの銘醸ワイン (あまり好きな呼び方ではないのですがグランヴァン) を扱うフランス料理店にソムリエとして勤めていました。
それと並行して、当時空前のビオワインブームだった大阪で、幸運なことに数々のワインをテイスティングする機会に恵まれました。

ピュズラやブルトン、ラパリュにシュレールといった現在でも変わらず愛飲している素晴らしい造り手のワインと出会わずして今の私はなかったと思います。


そんな中で人生の分岐点と言いますか、今までと違った道を進む決断をする時に不思議といつも口にするワインがあります。

それは惜しまれつつも2010年に解散したドメーヌ デ グリオットの「プティット ガトリー」です。

畑を馬で耕し一貫して亜硫酸ゼロの醸造にこだわり抜いた造りで、後に多くの生産者にも影響を与えたワインを生み出した、伝説のドメーヌです



20代最後の年にお世話になっていたレストランを退職し、念願のフランスへ留学することになります。
ソムリエ資格を取得するにあたり当然ながら専門的な知識を学び、プロとして誇りを持ってサービスに従事していました。
ところがある時、自分が日々扱っているワインが生まれるまでの背景を実は何も知らないのではないかと気付かされたのです。

フランス語もままならない自分が果たしてワイナリーで働かせて貰えるのかも、短い期間でワイン造りの何たるかが理解できるのかも当然ですが分かりません。
だけれど、このチャンスを逃せば一生後悔するかも知れないし、もし上手くいかなければその時に考えよう。
雀の涙ほどの資金とそれに不釣り合いな情熱を胸に、2015年9月にフランスに旅立つことになります。  


お世話になっていた先輩が餞別にと飲ませてくれたのがこの「プティット ガトリー」、そしてフランスから帰国した時に恩師が飲ませてくれたのもまたこの「プティット ガトリー」でした。  

危うくて儚げな果実味でどちらかといえば足の早いワインだけれど、妖艶さを纏ったその世界観に引き込まれるともう堅気には戻れなくなってしまいます。

奇しくも人生の節目にいただいたこのワインは、フランスに滞在していた1年少しの熟成を差し引いたとしても、留学の前と後で味わいも香りも全く違ったように記憶しています。



話は変わりますが表題の「人生とオムレツはタイミングが大事」とは、私のバイブルである「王様のレストラン」からお借りした言葉であり、そして私の座右の銘でもあります。
どんなに手に馴染んだフライパンでどんなに良質な玉子を使ったとしても、タイミングを誤れば美味しいオムレツを巻くことは出来ません。 

美味しいオムレツを巻くために日々フライパンの手入れを忘れず、そして技術を磨くための鍛錬を怠らないこと。
そして最高の素材を探すことへの情熱と探究心を持ち続け、それを楽しんで継続すること。王道に近道なし、継続は力なり。


一本のワインとの出会いが、その後の人生を大きく変えてしまうかも知れない。
そんなワインに人生を狂わされ、現在進行形でワインに狂わされ続けている小さなワインスタンドの店主の話。

日々思うあれこれや是非ともお伝えしたいワインに纏わるお話を、このnoteにて書き綴らせていただきたいと思っております。

乱筆乱文ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。


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