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TMR編集室月報23.02|芋も大根もごぼうも、お経もロックミュージックも

Podcast「Temple Morning Radio(略称TMR)」編集・配信を担当する遠藤卓也の、お寺や音に関する活動月報(2023年1月21日〜2023年2月20日分)

音の巡礼 / TMR のこと

2月はとにかく出張の日々だった。伊豆にはじまり、福岡2泊(博多〜北九州)、北海道2泊(札幌〜苫小牧)。各地でお寺に参り、取材、世間話、勉強会、そしてともにお酒を飲む。
1月末に横浜 中華街で占い師から「あなた、今の仕事だからこそ、心豊かな日々を生きられているのね」と言われたことを、まさにそうだなと実感する旅だった。各地でお世話になった皆さん、本当にありがとう。

西法寺(北九州市八幡西区)

北九州市にある浄土真宗本願寺派のお寺 西法寺では、25年間毎朝門徒さんと一緒にお勤めしているというお朝事を録音させてもらった。
編集したら「音の巡礼」コーナーで配信するので、お楽しみに。(西法寺のお朝事の取材記事は『地域寺院』2023年4月号に掲載予定)

お朝事で紹介された言葉「芋もご恩 大根もご恩 ごぼうもご恩」

西法寺住職の西村達也さんは2022年1月にTMR出演。


酒場の巡礼 / 喫茶の巡礼

  • エビス屋昼夜食堂(黒崎)

  • ホームラン(黒崎)

  • 博多純情らーめんShinShin 住吉店(博多)

  • 居酒屋 浜っぺ(すすきの)

  • 麦酒停(札幌・中島公園)

  • 小田原らーめん いしとみ(酒匂)

  • 珈琲エプーゼ(大井松田)

  • 萬珍楼(元町・中華街)


お寺のこと

札幌・モエレ沼公園で行われていた「Big Buddha Project - 令和の大仏造立」展を取材した。あの有名なピラミッドの中に、6mの「棚大仏」があらわれ、棚には全国各地のワークショップで人々が拵えた約1,200体のミニ大仏が並んでいる。

2020年〜コロナの真っ只中で47都道府県のお寺を巡るキャラバンを行ない、各地の喪失や失望を「供養」してきた僧侶でありアーティストの風間天心さん。彼と共に「GERMAN SUPLEX AIRLINES」という名義で活動するアーティストの前田真治さんの二人による3年に渡るプロジェクトの成果だ。

途方もない思い・熱量を携えた巨大造形物が、一面真っ白のマイナス温度の静かな世界に屹立している。
それだけで、あらわしがたい興奮と感動を感じた。

モエレ沼は雪だらけ!

天心さんと話していると、大仏造立以外にも、僧侶だからこその発想で様々なプロジェクトを考えていることがわかる。
それらはこれまでの信仰や習俗を掘り下げる宗教学・民俗学的な視点を、未来につなげていこうとするマーケティング目的もはらんだ取り組みだ。
「アート」は、多くの人たちとのコミュニケーションツールであり、そのことを熟知する天心さんならではのアプローチになっている。
天心さんの先進的な活動は、宗教界のためのリサーチにもなっていているように見え、その成果は、これからのお寺・僧侶にとって有用な情報源になっていくという気がする。今後のご活動にも注目していきたい。
(風間天心さんへのインタビューは『地域寺院』2023年5月号に掲載予定)

風間天心さんと棚大仏

各地のお坊さんたちと話していると、天心さんと同じように、これまでお寺や神仏が信仰の対象として地域に存在してきた意味にたちかえることで、これからのお寺や僧侶の役割を探求する動きが見えてきたと感じる。その動きは本質的で、寺院の継続可能性にも大いに連なる。
例えば『地域寺院』誌で取材した香川県の金倉寺は、副住職夫妻の不妊の経験から「子授け祈願」そして「安産祈願」に力を入れた。古くから訶梨帝母のお堂が信仰されてきた歴史もあったことに加え、現代の子育て世代のニーズを意識したデザインセンスで若い世代の信頼を得ている。
「当事者性」「歴史性」「地域性」はこれからのお寺を考える上で、重要な3つのキーワードだと思う。

先日、Temple Morning Radioで再配信した、長崎県大村市の正法寺 坊守の長野文さんがはじめた「行ないがわたしを導く時間(略称:おこみち)」も、そうだ。
毎月28日(親鸞聖人の月命日)に、月替りのワークショップを行なう。ハスワークやお線香づくり等のプログラムと並んで、仏具を磨く「おみがき」や、終活ノートを書いてみる等、お寺ならではの内容も含まれている。そして一年の最後は「報恩講」という浄土真宗で一番大切とされる法要で締めくくる。希望者はここで法名(戒名)を授けてもらうことも可能だ。お寺という場で、こんなにも本質的且つキャッチーな場づくりは他にみたことがない。

上記のツイートで長野文さんはこう言う。

お寺に通う習慣を作る。しかも、「家」という縛りを超え、「個」の自覚で通う。それを考え抜いてクリエイションした、「行いがわたしを導く時間」

どうやったら「家」という縛りを超え、「個」の自覚で通ってもらう習慣を作れるか?ということが、今の時代のお寺の場づくりの肝だと強く共感する。


取材記事|地域に根をおろすために過ごしてきた時を想う

『月刊住職』連載(50)は神奈川県足柄上郡 最明寺 加藤宥教さんにインタビュー。zoomでお話し聞いたのが年末のこと。年明けて最明寺へ久々にお参りした。
在家出身、奥さまのご実家の寺の次期住職として、日産のエンジン開発から僧侶へ転身された宥教さん。落ち葉をはき山林を整備し、お経を読むよりもノコギリを持つ時間の方が長い日々を過ごし、ようやく地域に根をおろせたような実感があるようで、なんだかとてもほっこりした一日を過ごさせてもらった。
お墓の上の自分の畑で獲れた野菜をみてニッコリ。これからが楽しみ!


音のこと

  • Yo La Tengo - This Stupid World (LP)

世界で一番好きなバンドの新譜LP。タイトルが「This Stupid World」で、とぼけた絵柄の湯呑み付き。最高じゃないか。

2枚組全9曲。side1〜3までで9曲収録されていたので、side4は何も入ってないのね、、、と思ってひっくり返すと、溝がある
大切なヴァイナルを余すところないように、シークレット・トラックを入れるなんてさすが。

  • Cornelius - 変わる消える(12inch)

4曲入り12inch出た。本人歌唱バージョンが聴けるのはアナログだけなのかなと思ってたら、サブスクにも。

タイトル曲と「続きを」という2曲が、そのままファンへのメッセージのように捉えられる。2曲目の出だしで目頭が熱くなった。
作詞 坂本慎太郎、そしてB面 mei ehara、John Carroll Kirbyの素晴らしいサポートにも涙、、、。

2/6|松丸契カルテット アルバム・リリース・ツアー・ファイナル featuring 石橋英子@ブルーノート東京

お誘いあって久々のブルーノートへ。
松丸契(sax) 石井彰(p) 金澤英明(b) 石若駿(ds) Guest 石橋英子(vo, fl,electrinics)
大胆且つ精緻な音のアンサンブル。5人の纏う雰囲気も含め、その構成力が松丸さんの個性か。良い演奏を聴かせていただいた。

2/16|PAVEMENT JAPAN TOUR 2023@TOKYO DOME CITY HALL

来てるはずの友人たちには誰にも会わなかったけれど、この「来てるよね、みんな(前日講演も含め)」という感覚が久しぶり。ありがとう pavement。
新曲は出してないから、選曲は12年前の来日時と大して変わっていなかったけど、type slowly、groundedが自分にとっては青春の曲だと再確認。
アルバムは「terror twilight」が一番すき。


2023年2月の月報は以上です。3月は名古屋、伊豆、大阪、そしてお彼岸へ!!新しく買ったマイクを試したい。

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