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返報性の原理を活用するサカイ引越センター

チャルディーニの『影響力の武器』
読書会で読み進めている。

社会心理学、行動経済学といった
分野に分類されるであろう名著で、
長年にわたり多くの人に読み継がれて
いる。

本書では、
6つの重要な原理が紹介されている。
その6つとは、以下の通りだ。

返報性:昔からある「ギブ・アンド・テイク」
コミットメントと一貫性:心に住む小鬼
社会的証明:真実は私たちに
好意:優しそうな顔をした泥棒
権威:導かれる服従
希少性:わずかなものについての法則

『影響力の武器』目次より引用

現在は、1つ目の「返報性の原理」
丁度読み始めたところ。
その意味するところは、
人は自分のために何かしてもらうと、
「お返し」をせずにはいられない

そんな抗いがたい特性を持っている
ということである。

早速交わされる、参加者の具体的な
体験談がいちいち興味深い。
その中で特に興味深かったのが、
「パンダの引越」である。

引越の見積もりを取った際に、
3社ほどの合い見積もりをした
らしいのだが、そのうちの1社が
見積もりを取っただけなのに、
パンダ印のお米を1㎏プレゼント
してくれたそうだ。

そういうのに誤魔化されたくない!
と思って拒否しようとしたが、
「皆さんに差し上げているので」
とのことで強く押し返せなかった
様子。

ふたを開けると、見積もり金額は、
3社のうち2番手。
あっさり1番手に決めても良かった
はずだが、2番手(パンダ)に事情を
話した上で金額交渉
を行うことに。
結果、1番手よりも安い額を提示して
くれたので、成約したとのこと。

客観的に見れば、
お米のプレゼントが確実に効いている
そう言わざるを得ない。

読書会が終わった後に調べると、
そんな「返報性の原理」を駆使した
営業
をかけているのは、
引越業界最大手のサカイ引越センター
であった。

訪問見積もりのお客様には全員に
ひとめぼれ1㎏(約700円相当)を
プレゼント
しているのである。

このようなプレゼントを、有料無料に
関わらず受け取ってしまうと、
何かお返しをしなくては、という
モードが自動的に発動してしまう

のが人間の性。

極めて強力な法則の力に抗えず、
その法則の存在を分かっていても、
ついその相手に依頼してしまう

方へと誘因が働くのである。

この「返報性の原理」の存在も、
そこそこ認知が高まり、悪用事例の
存在が世間で目立ってくると、
「だまされるものか!」とばかりに
警戒モードに入る人たちも
少なからず出て来る。
そうなると、プレゼントをする側も、
非常に営業がかけにくくなるだろう。

それでも、とにかく無料で配布する
ことを徹底して営業に課している
のだろうと推測する。
無料であれば、高尚なスキルなど
なくとも、誰でも実行しやすいし、
何より心理的負担が軽い

そして、とにかく無料で渡しさえ
すれば、後は半ば自動的に、
「返報性の原理」の影響の下、
成果が上がってしまうはず
なのだ。

サカイが業界最大手にのし上がった
背景には、この無料お米サンプルが
かなり寄与したであろうことは、
想像に難くない。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。