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大村益次郎の銅像を見上げて

【Strategy】
戦略
、(目的達成のための)計略、策略、計画、方策、方法、手順

Weblio英和辞典

【Tactics】
戦術
、兵法、用兵、方策、策略、かけひき

Weblio英和辞典

元々、戦争に使われる用語であった
「戦略」「戦術」
企業経営を戦争になぞらえて、
これらの言葉が頻繁に使われている
のはご存知の通りだ。

ただ、これらの言葉を正しく理解し、
正しく使っている人は、思いのほか
少ないのではないか。
そんなことを感じることも少なくない。

「戦略的に考えると」
この言葉をアタマに付けるだけで、
言っていることが何となく高尚な
雰囲気を帯びる。
よく考えて、練り上げて言ったこと
のように聞こえてくる。
何だか正しい方向性を示してくれて
いるような気がしてくる。

しかし、それは気のせいである可能性
十分
なのだ。
その言葉を使っている当人が、
どこまで「戦略」とは何かを分かって
いるか次第
なのである。

江戸幕府の後期、ペリー来航後に
次々と海外から開国のプレッシャーが
かかっていた時分。
この「戦略」と「戦術」の違いをよく
分かっている人材など、
ほとんどいなかった。

そんな時代に、卓越した語学力と、
圧倒的な学習能力を活かして、貪欲に
海外の事情を集めてはつぶさに理解し、
「戦略」と「戦術」の違いをはじめ
当時の最新、最高の知識を得て、
日本陸軍の基礎を作った傑物。
それが、冒頭の写真にある人物だ。

その人の名は、大村益次郎
長州(今の山口県)の田舎の町医者
という身分から、その才能を見出した
宇和島藩経由で江戸へと上り、やがて
出世街道をひた走る、明治維新の大の
功労者
である。

大村益次郎のエピソードを、経営に
活かすという観点でまとめた読み物を、
弘中勝さんの『ビジネス発想源』という
メルマガで随分以前に読んだことがある。

彼は一体どんな人物だったのか。
戦術、つまり戦い方のHow to、いわば
「戦闘術」ばかりが重視される風潮の中、
戦略、つまり政治や経済なども綜合した
「将帥術」こそが重要であると喝破し、
その修得と伝播に力を注いだ人なのだ。

戦術の失敗は戦略で取り返せても、
戦略の失敗は戦術で取り返せない。

戦略は、戦術の上位概念であり、
良い戦略を取った上でなければ
戦術は生きてこないのだ。

他を圧倒する戦略眼の持ち主だった
彼は、残念ながら彼の国民皆兵論を
はじめとする「急進的」と言われた
考えを疎んじる勢力の刺客に襲われ、
その時の傷が元で亡くなった。

靖国神社の起源である東京招魂社の
建立に奔走
した後に亡くなったという
ことで、彼は単に靖国神社に合祀されて
いるにとどまらず、日本で最初の西洋式
銅像
として、参道の丁度中間地点に、
今もそそり立っている。

中国では習近平氏が国家主席三選を果たし、
独裁体制が益々強化された。
台湾有事がいつ起こるとも分からない、
不安定な状況が続く。

そんなニュースを見聞きする度に、
大村益次郎像のことを思い浮かべ、
日本が戦略的に動けていないことの
もどかしさ
を感じざるを得ない。

中国にいいようにもてあそばれている
ように見える今の政権が、いざ有事と
なった時にどんな対応ができるのか。
政権を選んだ我々国民自身が、
その責任を負うことになるわけだが、
暗澹たる気持ちになるというのが
正直なところ。

我々の国を守ろうとして、惜しくも
散っていったご先祖様を尊く思い、
感謝の気持ちを捧げる。

これを、他国の干渉などお構いなく
当たり前のように行う「普通の国」
なる。

まずはそこから立て直さない限り、
日本が力強く復活することは難しい
のではなかろうか。
逆に言えば、そこを立て直すことで、
まだまだ日本は世界のリーダーとして
平和に貢献できる存在足り得る
はず。
そんなことを強く思う。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。