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進化心理学の入門書を読み終えて

ゴールデンウィークの
前半3連休と後半4連休で、
『進化心理学から考えるホモサピエンス』
という書籍を、読書会仲間と
共に読み進めておりました。

その「本質」部分「さわり」
まとめてみたのがこちらの記事と
なります。

7日間では全てを読み終えることは
かなわず、半分ほど読み進めた
ところで一旦終了。
残り部分は、独りで読みました。

折角読み終えたので、自分なりに
総括を言語化して残しておこうと
思い立ち、こちらで紹介させて
いただきます。

まず、全体を通して、我々人類は
「サバンナ原則」に常に忠実な
「動物」である、ということを
これでもか!という位に徹底的に
認識させられる本だということを
改めて強調しておきましょう。

「サバンナ原則」というのは、
人間の脳はここ1万年間ほどは大きく
変わっておらず、その前の何百万年の
間に主に生存していたサバンナ環境で
狩猟採集民として適応して来た状態に
最適化
している、という考え方。

人類は、あれよあれよとその文明を
発展させてきましたが、脳、あるいは
遺伝子が変化するには、たかだか
数千年や1万年では足りない
のですね。

ですから、人間は石器時代から、
基本的にその本性ほんせいをほとんど変えて
いない、変わっていない
ということ
なのです。

そして、その本性というのは、
詰まるところ
・生存できるか
・生殖できるか(子孫を残せるか)

これら二つで説明できてしまう
というのが結論だと言っても
過言ではないのです。

正に「動物」そのものですよね。

いや、人間はもっと理性的な存在だ!
動物と一緒にするな!
そう言いたくなるのも分かります。

ただ、確かに著者のいう通り、
遺伝子レベルで考えるならば、
上記二つの要素で色々と説明できて
しまう
というのは、納得せざるを
得ないなぁというのが正直な感想
であると述べておきましょう。

その例証として、
色々な事例を取り上げているのですが、
中には眉唾なものも混じっているものの、
概ねどれも正しい可能性が高そうな
内容ばかり。

男は若い美女ばかりを好み、
女は必ずしも若い男だけを好むわけでは
ない
という傾向は、
いかに確実に自分の遺伝子を後世に
残すか、という観点からすると極めて
合理的だと言えます。

とはいえ、正面切ってそんなことを
言われても、アレルギー反応を起こす
ほかないご仁も多いことでしょう。

それでも、著者はひるむことなく、
淡々と「進化心理学」の知見として
似たような研究結果を提示します。

一夫多妻は、実は合理的な制度であり、
世界に多く例が見られるのに対し、
一妻多夫は、繁殖戦略上あまり有利で
ない
ためにほとんど例が見られない、
そんな話も紹介されていました。

いわゆるフェミニストの方がこれを
聞いたら、怒り出してしまって、
まともな会話が成立することはかなり
難しいでしょう。

しかし、繁殖戦略の観点からすれば、
確かに「一夫多妻」の方が、安定的に
子孫を残すことに寄与する
という指摘
には、説得力がありました。

これら以外にも、人としての本性が
垣間見られる数多の事柄が登場する
本書は、政治的にかなり物議を醸す
ことが予想
されます。

実際、冒頭の「謝辞」の部分で、
出版までの道のりが相当苦難に満ちて
いたことが書かれていました。

その意味で、本書を出版する決断
行ったパンローリング社の勇気は、
賞賛に値します。

人はつい、見たいものを見、
聞きたいことを聞く

言い換えれば「バイアス」「偏見」に
陥りがち
であることは疑いの余地が
ありません。

そんな「バイアス」「偏見」を外して
オープンな心で学ぶことを心がけたい、
改めてそのように考えた次第です。

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