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続・二項対立を超えるための「止揚」と「差延」

昨日に続き、ダイヤモンドオンライン
名和高司さんへのインタビュー記事
ネタに、二項対立を超えるための方法論
について書かせていただく。

二項対立を「止揚(アウフヘーベン)」で
超えるのではなく、「差延」で超えるべき

というのが名和さんの主張。
そこにイノベーションが生まれる
というのだ。

その方法論として、「思考のずらし」
使うという記述がある。
具体的には4つの軸で「ずらす」ことを、
新著の中で説明しているのだという。

1つ目は、時間軸でのずらし
平面的な「既存」と「非既存」という
デジタルな二分法に、時間軸を加えると、
「未顧客」とか「未体験」のように、
「非」のものが「未」に変わる可能性
あると名和さんは指摘する。
この「未」を切り取るのはとても難しく、
そこにこそイノベーションがあるとの
主張だ。

2つ目は、空間軸でのずらし
最近流行りの「両利きの経営」を例に取り、
「深掘り」の話と「探索」の話とを、
空間的にデジタルに二分してしまうところが
大きな間違い
だと指摘する。
むしろ必要なのは「ずらし」であり、
自分が得意なものを横にずらして「探索」し、
そこで見つかった方法論を素早く既存のものに
入れれば、既存のものの「深掘り」となり、
ビジネス規模を10倍にできる、というのが
名和さんの主張である。

3つ目は、価値観軸でのずらし
当たり前の客観的な正義ではなく、
主観的な正義、すなわち自分たちの
思いを込めた正義を追求すると、
自ずと「ずらし」が生まれる。

その主観的な正義は、「志」とも
言い換えられそうだ。
世間一般に迎合するのではない、
自ら考え抜いた「志」を追求すれば、
イノベーションが生まれるという
趣旨の主張である。

4つ目は、勝ち軸でのずらし
マイケル・ポーター流の競争優位を、
静的に過ぎると指摘した上で、
時間軸上の学習優位の方が持続的であり、
ダイナミックだと説く。
記事上では、やや説明不足な感を免れず、
名和さんの『学習優位の経営』または
新著を当たらないと理解は難しそうだ。

恐らくは、一時点での市場における
ポジショニング争いよりも、
自分たちが得意とすることを深掘り、
時間を味方に付けて競争優位を築いて
いくべき
、という趣旨だと推測される。
ただ、時間軸の話をしている点で、
1つ目と同じではないのか、疑問が残る
ところ。

自身の哲学的素養のなさゆえだろうが、
結局、二項対立を超えるためには
「止揚」より「差延」の方が方法論として
良いのか否か、自信を持って断言できる
ほどには理解が深まらなかった。

ただ、こうして記事に自分なりに色々
ツッコミを入れ、調べながらまとめる
ことで、少なからず理解は深まる。
と同時に、何が理解できていないかも
分かるし、間違いではないか?という
ような粗(あら)にも気付くことがある。

最後は余談になるが、一時期、
速読できるようになりたい!と
頑張っていた時期があった。
しかし、本や雑誌の記事というのは、
やはり噛んで味わうような精読の方が
かえって効率的
なのではないか、
最近はそう思うことが多い。

質の良いテキストを見つけ、
精読を繰り返すことで、
その内容を我が身に取り込むような
読書
を目指したいと思う。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。